My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心に思いついた事柄をつれづれに書き綴ります

2008年06月

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最近読んだ本で面白かったものは? と聞かれれば勿論この「深海のYrr」を一番に上げる。

雑誌を除けば月10冊程度の単行本を購入するが、私が読む小説の分野はかなり限定されていて、翻訳本でアクション、サスペンス、スリラーが主でそれに経済、サイエンス、歴史ものが続く。

ダイビングを始めてからは、深海、深層流、海洋、海底火山などの海に関するキーワードに強く反応して、条件反射的にこれらに関する小説は購入してしまう。

「深海のYrr」もそのひとつで、手に取り深く見ずすぐ購入したが、何しろ文庫本3冊合計1500ページにもわたる大作あるため、1ヶ月ばかり部屋の隅に積んどかれていたが、最近、休日をつかって読破しました。

一言で、この本は超弩級の大作である。
ドイツの作者「フランク・シェツィング」が4年もかけてリサーチした分野は「地球科学」「海洋生物」「生態学」「海洋大循環」「プレートテクニクス」「遺伝子学」「石油資源産業」「海洋科学技術」そして「地球外知的文明」など幅広く、本文中にこの膨大な知識がぎっしりと詰め込まれており、又、小説の構成の重み、物語のスケール、どれをとっても破格だ。

物語は、世界中で次々と起こる海難事故、猛毒を発するエビやカニの海洋生物、人間に牙を向けるグジラやシャチ、そして海底にも異変が及び、異常発生したゴカイがメタンハイドレートを崩壊させため、大規模な海底の地滑が起こり、これにより発生した大津波がヨーロッパの都市を壊滅させる。

パニック・サスペンスの序曲としてこれほど連続で大掛かりな仕掛けを施したものは少ない。
一体次に何が起こるのか、まさに手に汗握る展開だ。

キャラクター造型も見事。

主人公の一人、いかにもヨーロッパの趣味人を思わせるノルウェー工科大学の海洋生物学者シグル・ヨハンソンが新種のゴカイが、海底のメタンハイドレード層を掘り続けて、崩壊させていることを見つける。
一方、カナダ西岸では、ホエールウォッチングの船やタグボートがクジラやオルカの群れに襲われるという事件が頻発し、イヌイットの出自を持つことに折り合いをつけられずに悩む生物学者レオン・アナワクが調査を開始する。

このふたりの魅力的な主人公を軸に、さまざまな登場人物が交錯します。
北ヨーロッパ諸国の都市が壊滅するにいたって、ヨハンソン、アナワクら優秀な頭脳が世界中から集められ、母なる海になにが起きているのか、原因を探り始める。

そして彼らは、異変を起こした海洋生物たちが「ある共通の物質」を持っていることを突き止め、そこからひとつの仮説を導き出します。
その仮説とは、人類にとって未知の領域である「深海」への扉を開くものでした――。

世の中には、侵略モノ、地球滅亡モノ、エイリアンモノをテーマにした小説に登場するモンスターは数々あるが、今回創造されたモンスターは知的でパワフルで神秘的で凄い。

たんなる大災害モノに終わらず、深海の神秘と恐怖を縦横に堪能させてくれる。

そしてなによりもこの小説の面白さは、未知なる深海を魅力的に描いたことである。

海は地球の70%以上を占めているにもかかわらず、私たちは海のことをほとんど知りません。

深海というと海の特別な場所という気がしますが、そうではありません。海の平均水深は約3800ンメートルですし、90%以上の海域で、海底までの水深は200メートル以深の深海です。
この地球上の身近な広大な部分は、宇宙空間よりも解明が進んでいないといわれる未知の領域です。

今回の小説でも大きな脇役として登場している、深海をゆっくり流れている深層海流についてもよく分かっていません。
地球上でただ2箇所、北大西洋のグリーランド沖と南極のウェッデル海で、塩分濃度が高く冷えた海水ができます。するとその重さにより海水が沈み込み、水深数千メートルに達します。これが深層流の始まりです。

深層流はその後、海底の地形に沿って世界中の深海をめぐります。その流れの速度は遅く、毎秒数ミリメートルから数センチメートルで、沈み込んでから湧き上がるまで約2000年もかかる深層部分は深層大循環といわれている。

この深層海流は低緯度(赤道付近)から高緯度(北、南極付近)に熱を運び、地球の気候を穏やかにする役割をしているが、最近、極部の温度が上昇し、氷が溶け、海水の塩分濃度の低下と温度上昇で、深層海流の沈み込みが弱くなっているとの事。

長い時間をかけ、地球の気候を穏やかにしてきたシステムを、我々のエゴのため近い将来の地球を壊し始めている温暖化の問題の根深さと怖さを改めて思い知らされる有意義な小説でもありました。

皆さんにも未知の深海にふれ、深刻化する海洋汚染を考える意味において、是非ご一読お勧めします。

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6月9日、日経新聞にこんな記事が出ていた。
 
「怒りに近いものを感じる。
何でも、もうければいいというマネー経済、ウォールストリート資本主義の悪い面が出ている」-。経済産業省の北畑隆生事務次官は9日の記者会見で、1バレル=140
ドル目前に達して天井知らずの原油高騰に怒りを爆発させた。
 同次官は、米機関投資家のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーが原油高は今後も続くと予測したリポートを公表後、原油が急騰したと名指しで非難。「
片方で投資をしておいて(取引に)有利な情報を流す。(市場の価格が)しかるべき水準に収斂するメカニズムが機能していない」と不満を述べた。
その上で「どんなことがあってもファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は60ドルだと言い続ける」と強調した。

以前より私がブログに書いていた内容だ。ゴールドマン・サックスは例の何でもありの会社で、COEにボーナス63億円も出す会社だ。
やっとそれなりの人の発言だ。
 
でも遅い!何故先日(6/7)青森で行われた主要8カ国(G8)と中印韓3カ国によるエネルギー相会合で発言してくれないのだろう。

それではこの会合でどんな話になったのか
 主要8カ国(G8)と中印韓3カ国によるエネルギー相会合は高騰が続く原油価格について「異常であり、消費国、産油国双方の利益に反する」との共同声明を採択。産油国への増産要請などで合意した。
前日のニューヨーク原油先物相場では1バレル139ドルに上昇し最高値を更新した。1日の上げ幅も10ドルを超え過去最高であった。

このような背景の中、共同声明では強い表現で懸念を表明した。 
議長役の甘利明経済産業相は記者会見で「これだけの消費国が結束し危機感を発信するのは初めての試みだ」と指摘。

中国の張国宝・国家発展改革委員会副主任は「ヘッジファンドなどが原油先物市場に流入し、商品取引にとどまらず金融の道具になっている」と述べ、投資マネー主導の原油高に懸念を示した。

一方では米国のボードマンエネルギー長官は個別にこんな発言もしている。
 原油価格の急騰について「市場を不安定にしているのは石油の供給量が増えていないことだ。
(増産に向けた)適切な投資を期待する」と述べた。

投機資金が急騰の一因との観測に対しては「金融的な要因ではない」と否定的な見方を示した。 

同長官は「石油への需要が高まる一方、供給量は過去3年間増えていない」と原油高の構造的要因について指摘した。 とある。

英米がこの20年間進めてきた金融の儲けで経済全体を回してきた、金融魔術の弊害をそう簡単に認めることが出来ないのだ。

この主要国の声明に対し産油国の反応は6月9日の記事では
原油価格が1バレル140ドルに迫り、日米欧などの消費国が産油国への増産圧力を強めていることに対し、サウジアラビアやイランなど石油輸出国機構(OPEC)の主要加盟国は8日、相次いで増産に慎重な姿勢を表明した。
 
世界最大の原油輸出国サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は、「原油価格は市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)とは関係なく上昇している」と語り、供給サイドの責任ではないとの見方を改めて強調した。

 リビア国営石油会社のガーネム総裁は、ロイター通信に「原油供給は十分あり、OPEC加盟国はどこも(緊急増産を話し合う)臨時総会を求めてはいない」と述べて、当面の生産枠引き上げに否定的な考えを示した。

そうだろう、産油国としては限りある資源を無理して増産して、価格をさげてしまうより、ほっとけば投機マネー(自分たちも含まれる)が勝手に原油の値段を上げてくれる現状は彼らにとっては大変居心地の良い状況なのだから。

しかし、10日に「産油国・消費国対話を・・サウジ呼びかけ、不足なら増産も」という記事がでた。

これによると、サウジアラビア政府は9日、最近の原油価格急騰への対応を話し合う産油国と消費国の会議開催を呼びかける声明を発表した。

石油輸出国機構(OPEC)と協力して市場への安定供給を続けると強調し、供給が不足するような事態になれば即座に増産する用意を表明した。
一方では、「市場への原油供給は十分あり、価格の高騰はファンダメンタルズ(基礎的条件)では説明できない」との立場を改めて強調している。

この背景にあるものは、産油国に対する消費国の批判が強まる中で、価格の沈静化を狙い消費国との強調姿勢を示す狙いがある。

少しはいいほうへ向くのだろうか? じっくりと見定めていきたい。
原価30ドル/バレルといわれている原油が140ドルもし、一日の変化が10ドルも超すような現状は誰もが異常と思っている。

米国の金儲け主義による経済の終焉を意味するものであろうが、マネーゲームに参加していない、世界の殆どの人が被る被害とどこへも持っていく場がない怒りをなくす、金融規制とシステムを早く構築して欲しものだ。

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先週一週間、沖縄・粟国でのダイビングと沖縄本島南部戦跡めぐりならびに美ら海水族館見学などの欲張った旅行に行ってきました。

噂に違わず粟国のギンガメアジは凄かった。
数千匹のギンガメアジが群れを作り、この群れ自体がひとつの意思を持った生き物のように、形を大きな玉からトルネードなどへと自由に変化させながらゆっくりと移動している。

群れにはいつも、数匹の大きなローニンアジがついており、これが時々アタックしたときは銀色の体色を閃かし、瞬時に反応し動き、形を変え、そして又何事もなかった如くもとの形に戻っていく様は全く驚き唖然とするばかりである。

私の粟国滞在中は最終日を除き天候に恵まれ、晴天、べた凪で流れもなく、本当にダイビング日和だった。
一日の3本のダイビングをギンガメアジの群れが集まる「筆ん崎」ポイントに潜ることが出来、そして、毎回、ギンガメアジノ大群に遭遇することが出来た。

ギンガメアジは私どもの動きの遅いのを見切ってか、近づいても大きく逃げることもなく、手の届くほどの距離を保ちながらゆっくりと移動していく。
群れの中に突っ込んでいくと、360度ギンガメアジに囲まれ、目と目を合わせる距離にいると、歓迎はされてないものの、無害なものと無視されている様子だ。

群れの中に入ってしまうと、前後、上下、左右周りはすべてギンガメアジだ。本当に群れの一員になったように周りの動きに合わせてゆったりと移動するのはなんとも爽快である。
だが、外敵や周りの状況が見えないのに、何かの拍子に全員が瞬時に同一方向に向きを変えて変化するさまは感動で愕きである。

また一方では、ギンガメアジや数多くのローニンアジ、イソマグロやナポレオンなどの大型種の豪快さだけでなく、粟国では、きれいな珊瑚礁に、透き通った明るい海の中、無数のキンギョハナダイ、アカネハナゴイなどが視野いっぱいに広がり、乱舞する癒しの面もあり、ダイビングの醍醐味を十分満足させくれた。


だが、周囲12km程度の小さな平和な島にも戦争の跡を見ることが出来ました。
当時の人口2800人の軍事施設も軍隊も駐在していなかった平和な小さな島に、突如4万人もの米軍が上陸して、そのおかげで10数名の住民が殺されたという。

何故こんなことになったのか、それは蘇鉄の丸太製の「偽砲」が島の西南のマハナという岬に据え付けられていたからという。

このマハナの岬に行ってきました。ここは海抜約98mの高台で、凝灰岩の地層で出来ており、崖の高さが数十メートルに及ぶ景観は英国のホワイトクリフを彷彿させます。
ここからは慶良間諸島や渡名喜島や久米島などが海上はるかに眺めることが出来る見晴らしの良いところです。
この岬の先端に3m角四方で高さ50cmぐらいの「擬砲」の土盛の跡が残っていました。
この土盛の上に蘇鉄の丸太を据付け大砲と見せかけたのです。
こんな小さな土盛の「擬砲」が米軍に脅威を与えたのはここの地形がなせるものだが、当時の米軍の情報収集力に改めて驚くとともに、何故こんなつまらないものを作ることになったのか、当時の戦争一色に塗りつぶされた思想統一とその幼稚さを思い知る。

粟国でのダイビングの後、3日間で沖縄本島の「美ら水族館」と南部地区の戦跡を訪問しました。
この訪問詳細は別途ホームページなどで報告する予定ですが、ここでは今回訪問したひとつである「ひめゆりの塔」での感じたことをちょっと触れてみます。

勿論、ひめゆりの搭というのはご承知のように、沖縄県立第一高等女学校と沖縄県師範学校の生徒たちによって構成されたひめゆり学徒隊が陸軍病院に配置され、献身的な看病をするも、理不尽な戦争により219人もの尊い若い命が奪われ、この犠牲になった人々の鎮魂のために、ひめゆりの搭と納骨堂が立てられた。

このひめゆりの搭と納骨堂の前に整然と並んで黙祷をささげていた30人ぐらいの男女学生の一団があった。
代表者が前に出ていろいろ感想などを述べていたが、聞くともなしに眺めていると、岡山県から来た中学生で今回の修学旅行は広島原爆平和記念公園に引き続き2回目という。

皆はきはきとしっかりとした感想(事前に準備はあったのだろうが)を代表として述べていた。

今時の修学旅行というと、海外へ行くとき飛行機の中とかでよく出くわし、傍目から見ると騒がしい限りであるが、海外への観光が主流になっている感が強いが、それはそれなりに得るものも大きいものがあるのだろうが、今回の中学校のように地味であるが、しっかりした目的を持った修学旅行を計画している学校(私の認識不足で多くの学校でも実施しているかも)もあるのだと感心し、そして教育問題が色々取りざたされている中で、一面では少し安心をしました。

ということで、色々あった今回の沖縄行きでした。
詳細は私のホームページで後日ご紹介します。

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