
1月20日。
世界は、ワシントンで行われた、米国では黒人初のバラク・オバマ大統領の就任に沸きかえった。
しかし、この歓喜の渦とはあまりにも対照的なことに、同じ日、ニューヨークの株式市場は極めて冷ややかな反応を示した。
ダウ株価が前週末に比べて300ドル以上も急落する事態に陥った。
昨年11月半ば以来という8000ドル割れを記録したのである。
米国では、大統領の就任から3ヵ月あまりを「ハネムーン期間」と呼。
この間は、議会やメディアがそろって新大統領に対する批判を控えて、その船出を見守る慣例あるのだが、
今回、株式市場は、新大統領の就任のその日から、この慣例を無視した。
金融危機を受けて深刻な景気後退局面にある逆風下での船出となったオバマ新大統領の就任演説は、
米国が置かれている厳しい状況を素直に指摘し、国民とともに立ち向かう「責任の時代」を強調していた。
その中で、経済的な面でみると
「我々は危機の真っ只中にいる。経済はひどく脆弱になった。それは一部の人々の強欲と無責任の代償でもあるが、新しい時代の準備をしてこなかった全体の失敗とも言えるが、多くの人の家が失われ、仕事も奪われた。企業は破綻した。健康保険は高く、多くの学校が荒廃している」
「今日我々が直面している危機は現実のもの。それらは深刻で多岐にわたる大変な危機である。とても短期間では解決できるものではない。しかし、これらは必ず解決できる」
「市場が善か悪かという問題ではない。 ・・ 今回の危機は、市場に対する監視の目がなければ、市場が制御不能に陥ることを思い出させた。」
就任演説で決意を表明するとともに、就任早々、矢継ぎ早に政策を打ち出すオバマ大統領だが、市場は更なる経済危機の様相を急激に深めている。
先日、日経新聞の記事に「株価に災い? オバマ人気・・オバマ大統領への期待は残念な結果になる可能性がある。」というレポートを紹介していた。
これによると「前任者に比べ人気の高い大統領が就任した年のダウ工業株価はマイナスになる公算が大きい」とのこと。
具体的に、新大統領と前任者の支持率の差を示す「人気ギャップ」をランキングしたうえで、大統領選翌年の株価の動きと比較した。
その結果は
人気ギャップ差
・2位36ポイント「アイゼンハワー←トルーマン1952年」前年比4%下落
・3位17ポイント「レーガン←カータ 1980年」前年比9%下落
・4位13ポイント「カータ←フォード 1976年」前年比17%下落
・6位10ポイント「ニクソン←ジョンソン 1968年」前年比15%下落
人気ギャップ上位で唯一、株価がプラスになったのは同率4位の「ケネディー←アイゼンハワー1960年」で19%株価が上昇した。
勿論「オバマ←ブッシュ」の人気ギャップは歴代トップの38ポイント。
それ故、今年の株価は危うい? らしい。
人気ギャップ上位の株価が冴えないのは、選挙の年の株価に新政権への期待が織り込まれているからだという。
スタート段階からどうも市場の動きがおかしい。
予測どおりになってしまうのか・・ 例外もあることだし、まア明るく行きましょう。
翻って、傲慢で無知で身勝手な首相への片鱗の期待も持たないどこかの国と比較するとやりきれない気がする。
どうも、オバマ大統領の演説のライターは日本のことをイメージして書いのではないかと思われるくだりもある。
「時間を浪費過ぎたカビくさい政治論争はもはや通用しない」「政府の大小ではなく、政府が機能しているか」「まともな収入を得る仕事、手が届く保険、尊厳ある老後の生活に政府が手を差し伸べているか」と
就任式の前日、日本の国会では、定額給付金を巡り、自民と民主のつばぜり合いが続いたが、
建設的な議論は少なく、言葉の定義や過去の整合性をほじくり返す議論に終始している。
政治家しっかりせよ、不毛な論議をしている間に、日本はますます奈落の底に落ちていく。
最近報告された、過去最悪の経済データ
「過去最大の輸出の落ち込み更新」
財務省が22日発表した08年12月の貿易統計速報によると、世界的な景気悪化を受けて輸出額は前年同月比35.0%減の4兆8333億円となった。
減少率は11月(26.7%減)を大幅に上回り、79年1月の統計開始以降の過去最大を2カ月連続で更新。
「過去最大に迫る日経商品指数の下落率」
主要商品の取引価格で構成する日経商品指数(1970年平均=100)が急落している。
国内景気と相関性の高い前年比騰落率は17種の昨年末値がマイナス25.1%と、アジア通貨危機に国内金融危機が追い打ちをかけた98―99年時の下落率も超えた。
今後、鋼材などの値下がりは指数下落を加速する可能性がある。
第1次石油危機後に記録した過去最大の下落率(29.4%)さえ上回りそうな気配だ。
やはり最後は「神様、仏様、オバマ様」か。