
最近の日本および世界を取り巻く経済の状態は目を覆うばかり悪化の一途だ。
近々に発表された記事から拾ってみると
・まず、世界の景気は全世界で”嵐“だ。
「日本経済研究センターは18日、世界の主要国・地域の景況感を示す1月の「世界景気天気図(インデックス)」を発表した。
世界経済をけん引してきた中国が7年ぶりの最低評価「嵐」に転落し、ほぼ全地域を同時不況の波が覆った。
世界は7カ月連続、日本は3カ月連続でそれぞれ「嵐」となった。
天気図は各国・地域の輸入と生産、小売販売額の前年比増減率を基に指数を算出。直近3カ月の平均値をとって5段階評価で示す。
中国はまだほかの国・地域に比べると底堅い面があるものの、個人消費の低迷など内需の不振が評価を下げた。
世界経済の悪化ぶりは深刻だ。 1月の指数は「世界」がマイナス30.7。
データのある1996年以降で見ると4カ月連続で過去最悪を更新した。
日本もマイナス22.6と2カ月連続で過去最悪を更新中。前回の景気後退局面で記録した最低値(2002年1月のマイナス15.4)を下回っている。」
・一方日本国内では一致指数が6ヶ月連続悪化。
「内閣府が10日発表した1月の景気動向指数(速報値)は、「CI」(合成指数、2005年=100)の一致指数が前月比2.6ポイント下落の89.6と6カ月連続で悪化し、2002年12月(89.3)以来、約6年ぶりの低水準となった。
急速な景気悪化を受け、一致指数を構成する9指標のうち、鉱工業生産指数や有効求人倍率など8指標がマイナスを記録。
(景気動向指数は、先行指数が景気の先行きを、一致指数が現状を示す。一致指数は製造業の生産状況や小売店舗での売れ行き、雇用環境などを示す11経済指標のうち、3カ月前と比べ好転した指標の割合を示す。指数が継続して50%を超えれば景気は上向き、割り込めば下向きと判断する。)
・このような不況が続くと、各国は保護主義に走り始める
特に米国では
米議会が2月13日に可決した景気対策法案には、政府調達で米国産品を優先的に購入する保護主義的な「バイ・アメリカン条項」が盛り込まれた。
世界貿易機関(WTO)などの国際ルールに違反しないことが条件だが、経済摩擦を招く危険性がある。
公共事業や政府施設の建設、改修などで米国産の鉄鋼、工業製品の使用を義務づけた。国内調達を優先する同様の法律はほかにもあるが、国内雇用の重視路線を打ち出すため、盛り込んだ。
米国が保護貿易主義に傾斜するのではないかと危惧(きぐ)する。
米国の景気対策は急いでもらいたい。
だからといって、国内産業を守るため輸入制限する保護主義は、世界の資本を引きつけてきた米国の成長モデルを崩し、米国自身の利益も大きく損なうだけである。
懸念されるのは、自国の産業を保護する動きが米国だけでなく、ロシアやインド、フランスなどに広がりつつあることだ。
・こうなると、報復する国も出てくる
「メキシコ政府は18日、米国がメキシコからのトラック乗り入れ規制を緩和しないことへの報復として、米国産品90品目の輸入関税引き上げを発表した。対象は生鮮、日用品など多岐にわたり、関税率は10-45%」
・やはり世界は保護主義に傾いてきている。
「世界銀行は17日、日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)が緊急首脳会合(金融サミット)で保護主義の阻止を確認した昨年11月以降、G20の17カ国・地域を含む国々が合計47の貿易制限措置を実施したとの調査結果を発表した。
調査が貿易制限措置としたのは、新たに各国が実施した関税引き上げや国内産業向けの補助金など。
この結果、世銀によるとG20では日本、サウジアラビア、南アフリカの3カ国だけが「貿易制限国」とされなかった。」
保護主義の末路は悲惨である。 歴史が教えてくれる。
1929年の株価大暴落を受けた米国は翌年、産業保護を目的にスムート・ホーレーリ関税法を制定、世界が自国保護に走る口実を作った。
(スムート・ホーリー法:アメリカが1930年6月17日に成立した関税に関する法律であり、20,000品目以上の輸入品に関するアメリカの関税を記録的な高さに引き上げた。
多くの国は米国の商品に高い関税率をかけて報復し、アメリカの輸出入は半分以下に落ち込んだ。一部の経済学者と歴史家はこの関税法が大恐慌の深刻さを拡大した、あるいはそれ自体を引き起こしたと主張している)
世界は経済ブロック化を経て第二次世界大戦に突き進んだ。
グローバル化の進んだ現在、このような戦争になることはないと思うが、一国の保護主義が、他の多くの国の経済を低下させ更なる不況に追い込む。
日本としては、財政出動の国際協調などを行うとともに、保護主義を防ぐための相互監視と安易に保護主義に走らない自制心を世界に求めていって欲しい。