
毎年この季節になると、苛立ちと、憤りを思い起こさせる書類が配達されてくる。
何かといえば、自動車納税通知書である。
私の通知書には小さな字で「当該車の税額はグリー化税制により約10%高くなっています」と印刷されています。
これって、ご存じない方もあるかもしれませんが、
平成14年度の自動車税から、環境に配慮した度合いにより、自動車税の負担が軽減されたり、また重課されたりと、異なる税額となる特例措置のグリーン化税制が開始されました。
この制度の飴として、環境性能に優れたクルマは減税され、鞭として、ガソリン車では新車登録から13年を超える低年式車は自動車税が約10%増しとしたものだ。
鞭打ちの理由は古いクルマは環境負荷が大きいからだという。
単視眼的な役人達が税収上のバランスだけから、考え付く、矛盾だらけで、国民の心情を逆なでするような、愚劣な悪制度である。
私の場合、ホンダ・ビガー の平成5年度登録車であるから、既に今年を含めると3回もこの重課分をとられている。
この車、「5気筒で6気筒の静けさと4気筒のコンパクトさを併せ持つ」をコンセプトに(ホンダは時々面白いことを考える)、又、3ナンバーに対応すべく車体を大きくするため、ドアーの厚みなどを厚くしている(車内はそんなに広くない)。
そのため、中々重厚感があり、家内も気に入って乗っていた、思いでのある愛車である。
事故も、故障もなく、今日まで約6万9千を15年間で走行している。
今の燃費は街中で8km/L、高速を使ったドライブでは10km/L程度で、年間5000kmも走らない、
この車が罰則を受けるほど、どのくらい環境に負荷をかけていると云うのだろうか。
何しろこの悪制度はおかしいとこだらけだ。
まず、なぜ13年以上なのか、どのくらい環境に大きな負荷をかけているからという説明がない。
もともと、古い車の持ち主は車を大切に使い、十分な検査、点検をし、年間の走行距離も少ない(だから13年以上でも現役でいられる)人が多いのではないかと思う。
環境に大きな負荷をかけているというなら、なぜ負荷の総量で(燃費X走行距離)で規制しないのか。
新車で、私の車より多少燃費のいい車を購入し、年間2,3万kmも走行する人もかなりいると思うが、この人達のほうが各段に環境に大きな負荷をかけていると思うのだが、
新車購入した人には減税、免税というご褒美。
私には10%増しの重課という鞭打ちの刑。
おかしいと思いませんか。
又、この悪制度は登録年度から13年という基準を使っているが、ここにも大きな矛盾がある。
例えば(あまりないと思うが)、ガソリンをがぶ飲みするような13年以上経った米車を輸入した場合、日本では初登録となり、どんなに環境に負荷をかけようが、鞭打ちの対象にならないのだ。
本当に環境への負荷を少なくしようと思う信念と熱情が役人にあるならば、こんなざるで、根拠のない、いい加減な制度を作るはずがないと思う。
最近のニュースで、
「レクサスのLS600hは、JC08モード走行燃費で11.0km/L(10・15モード走行燃費:12.2km/L、)を実現し、省エネ法に基づき策定された新たな燃費目標基準である“2015年度燃費基準”をいち早く達成」とあった。
この車を買った人は(私には買う気もないが)自動車重量税、取得税をあわせ、74万円ものご褒美がもらえる。
10・15モード走行燃費で12.2km/Lといえば、実態は私の車と同じようなものだと思うのだが。
この燃費基準というのも曲者で、昔の燃費から何%改善したかが評価され、絶対値ではない。
重たい車ほど有利で、レクサスなども、基準を達成できるのだ。
要は、役人達は鞭打ちの刑がいやなら、古い車を捨てて、新しい車を購入しなさい。ということなのだ。
安易に新しいものに交換せよという思想にもカチンと来る。
日本人はモノをじっくり、長く、愛着をもって大切に使おうとする心情がある。
「もったいない」とうい気持ちだ。
ウィキペディアによると、もったいない(勿体無い)とは、仏教用語の「物体(もったい)」を否定する語で、物の本来あるべき姿がなくなるのを惜しみ、嘆く気持ちを表している。
日本の民族信仰である古神道を源流とする神道においては、「散る桜の花びら」や、「吐息の一つ一つ」にまで、命が宿るとされ、森羅万象に対して、慈しみや感謝の念をもって接してきた。
その心根が「もったいない」という価値観の根底に流れている。
この「もったいない」という言葉の意義を、民間を中心に全世界に広げようとする動きが強まってきている中で、
この悪法はこの動きを逆なでするようなものだ。
最近のベンツの広告のキャッチコピーに(車を)「消耗品と思うのか。 人生をともにする道具、と思うのか。」
とあるが、
こんな気持ち、この悪法を作った役人達はには理解できはずもない。