My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心に思いついた事柄をつれづれに書き綴ります

2009年06月

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今朝(28日)の日経新聞に
「米下院、温暖化対策法案を可決 根強い懐疑論、成立は難題」

米下院が26日、温暖化ガスの削減目標を盛り込んだ温暖化対策法案を可決した。

環境対策と雇用創出の両立を目指すオバマ政権にとっては「勝利」だが、7票差という小差での可決は、温暖化対策に懐疑的な米企業・社会の実情を映す。

上院での審議は難航が予想され、ポスト京都議定書の国際交渉にも影響を与えそうだ。

「企業や国民に負担を迫る悪法」(共和党のベイナー下院院内総務)との見方は根強い。」

とあった。

京都議定書から離脱したブッシュ前政権からの転換を図り、「クリーンエネルギー」先進国を目指すオバマ政権にとって、
大きな前進となったが、企業よりの議員からの反対も多く予断が許さない状況だという。

最近読んだ、トーマス・フリードマン著の「グリーン革命」は、
単なる環境問題やグリーン革命の技術論ではなく、
アメリカ社会を復興させるために、なぜグリーン革命が必要なのかを説き、アメリカの政治論、政策論に焦点をあて、
オバマ大統領が進める「グリーン・ニューディール政策」も大いに参考にされ、
かつ、全米で既に100万部突破する大ベストセラーとなって、多くの人に感銘を与え、
世界のエネルギーをがぶ飲みするアメリカ式生活様式に警告を与えたというのに、
アメリカはまだ「グリーン」を進めるに戸惑い、躊躇があるというのだろか。

「グリーン革命」の原題は「熱く、フラットで、込み合った」世界であり、
著者は地球温暖化と、世界各国でミドルクラスの急激な勃興と、急速な人口増加が一気に重なり、
私たちの地球は不安定になり、これら三つの動きが重なり合って、以下の五つの深刻な問題が引き起こされていると論じている。

1.供給が細りつつあるエネルギーや天然資源への需要の増大。
2.産油国とその独裁者への莫大な富の集中。
3.破壊的な天候異変。
4.電力を持つものと持たざるものを二分するエネルギーにおける貧富の格差。
5.生物多様性の破壊だ。

世界の総人口は、1995年の30億人から現在は60億人2050年には90億人に増加すると推定され、さまざまな課題が生ずるが、このことよりもはるかに重大なのは、フラット化によりアメリカ的な生活を望むミドルクラスの急激な増加である。

著者は大変分かりやすい説明をしてくれている。

アメリカをエネルギーの一ユニットと考え、

つまり、一人当たりの収入が一万五000ドル以上で、コンシューマリズムの傾向を強めている三億五000万人の集団を一“アメリカム”とすると 
長年世界にはたった二アメリカムしかなかった。

・・・一つは北米、もう一つはヨーロッパで、アジア、中南米、中東では、アメリカ風の生活を営む地域は、それぞれ孤立した点として存在するだけだった。

現在は、アメリカムが地球のあらゆる地域で形をなしつつある。

中国は一アメリカムを生み出し、つぎの一アメリカムを胎内に抱いていて、2030年にはそれが生まれる予定だ。

インドも一アメリカムで、やはり2030年にはもう一アメリカム増える。

シンガポール、マレーシヤ、ベトナム、タイ、インドネシア、台湾、オーストラリア、ニュージランド、香港、韓国、日本が一アメリカムをなし、
南米の一部と中東を足すと一アメリカムになる。

だから、いま二アメリカムの世界は、2030年には七、八アメリカムの世界になる。

アメリカの国民一人当たりのエネルギー消費の平均は、一日あたり23万カロリーに相当するという。

これは平均的なアメリカ人は、人間が生物として必要とするだけのもの100人分を消費している。他の先進国の平均的な国民は50人分を消費する。
それに引き換え、中国やインドの現在の国民はアメリカの九分の一ないし三十分の一である。

アメリカがこのままでいいはずがない。

クリーンなエネルギーに転換するとともに、がぶ飲み消費生活スタイルをまず変えなければならない。

そのため、何より重要なのが、これを指導する政治家である。
まず、アメリカが立ち上がり、決断し、実行しなければならない。
アメリカの動性が世界に影響するのだ。

著者はアメリカ国民に、グリーンは巨大なチャンスであり、義務でもある。
グリーンを再定義することは、アメリカを再発見し、再生し、再建することに他ならない。
つまりアメリカを根本的に造り替えることを求めている。

そして、私たちは、過去から借りた時間や財産を食いつぶして長い間生きてきた。

これからは、自分の国、自分の星のため、せっせと働かなければならない。

残された時間は少なく、賭けられているものはあまりにも大きく、これほど困難なプロジェクトはない。

その報いも又、とてつもなく大きい。

と結んでいる。

「グリーン革命」 上下 トーマス・フリードマン著 
日本経済新聞出版社刊 各1900円

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大地を持ち上げ、動かし、歪ませる。
この星の想像を絶する巨大な力は、地球の相貌をいまなお激しく変えつつある。
生まれつつある新しい島々、やがて消えてゆく山脈と海、地球を周回し、衝突と分裂をくり返す大陸。

かつての超大陸とはいかなるものだったか。

大陸を動かすエネルギーの源とは。
生命40億年の歴史を乗せた、この大地と海の壮大なドラマを一望する!
いま地球の見方が大きく変わる。

リチャード・フォーティ著「地球46億年全史」 の表紙の扉に記述されている言葉である。

こんな言葉に魅かれて購入した本だ。

本の内容は、46億年に達する地球の歴史を、世界各地に残る様々な地殻変動上の痕跡を実際に巡りながら分かりやすく解説している。

ベスビオ火山やポンペイ、アルプス、ハワイ諸島、スコットランド、ニューファンドランド島、サンアンドレアス断層、グランドキャニオンなどを訪れ、彼の地の鉱物・岩石・岩盤・断層・地質構造などを見て、その地域の形成のされ方や形成時期などについて語り、

ヨーロッパアルプスでは、新しい地層が古い地層の下に位置するという逆転現象を、ハワイ諸島では一列に並ぶ火山島を、大陸が移動するプレートテクトニクス理論を用いて分かりやすく説明している。

又、プレートが移動するスピードは人間の爪が伸びる速さとほぼ同じであり、プレートが地球の端から端まで1周するのに10億年もかかるという、
地球が誕生していままでに、新しい大陸でき、分裂集合を4回も繰り返してきた事になる、とか素人が読んでも分かりやすく、興味を引く話題をちりばめてくれている。

しかし、全570ページもあり、図表や地図が少ないので、中々読み進みにくいが、私は「徹底図解 地球のしくみ」という本をあわせ、メージの構築をしながら読んだが、やはり読破するのにはかなりの時間がかかった。


本書を読んで、特に興味を強くしたのは、今では常識となった「プレートテクトニクス」という考えに、

超大陸の生成と分裂は何故起こるのか?
そもそもプレートはどのような力学で動くのか?
沈み込んだプレートはどうなるのか?

などの疑問を解決するために新しい「プルームテクトニクス」理論が加わり、地球の奥深くの雄大なマントルの動きが解明出来る様になった事である。

「プルームテクトニクス」とは地震波トモグラフィーと呼ばれる観測技術により、マントル中の巨大な「キノコ型」の対流(プルーム)を発見し、
このプルームを手がかりにして超大陸の生成と分裂、生物大絶滅など「地球史の重大事件」を説明できる可能性を拓いた新しい理論である。

何億年にも渡って大陸の下のマントルに沈み込んだプレートは、その後どうなったのか? 疑問に感じませんか。

地震波トモグラフィーによると、上部・下部マントル境界付近で変形して「漂った」状態になっているという。
プレートが上・下マントル付近に漂うのはプレートの密度(約3kg/cm3)が上マントルより大きく、下マントルより小さいからだ。

アジア大陸の下には、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレートなどが沈み込み膨大なプレートの残骸が漂い、「プレートの墓場」というべき状態になっている。

沈み込んだプレートの残骸は高温、高圧で徐々に変質し重くなると、プレートの残骸がちぎれて下部マントルの中を外核まで落下していく。

このプレートの残骸の落下を「コールドプルーム」と呼び、この巨大な重量の落下が、暖かい下部マントルの上昇流を作る。
これを「ホットプルーム」と呼ぶ。

このホットプルームがプレート分裂させ、移動させる元となる「海嶺」をつくり、ハワイ諸島などの火山のホットスポットを作ることになる。

マントルの上下の物質が大きく入れかわることを「マントルオーバーターン」という。

このマントルオーバーターンは1億年周期で起こり、このときホットプルームが活発化するので、火山活動が活発化し、プレートの移動が早くなり、大陸の衝突合体が繰り返され、超大陸が形成される。

超大陸の下には周りから沈みこんだ大量のプレート残骸が漂っており、これが超大陸の周辺で落下すると、
大規模なマントルオーバーターンを起こし、スパーホトプルームが生じ、超巨大噴火や超大陸を分裂させることになる。

地球は誕生から今までに数度の生物大量絶滅を起こしているが、其のいくつかはこのような超巨大噴火によって引き起こされたと考えられている。

例えば、2.5億年前には、シベリアなどで洪水玄武岩が巨大噴出した時期であるが、これは超大陸パンゲアが分裂を始めた時期と一致し、又古代の生物が大量絶滅した時期とも一致している。


どうですか、我々の足元でこんな雄大で、壮大なドラマが繰り広げられているとは、地球科学に私は増々興味がつのります。

「地球46億年全史」 リチード・フォーティ著 草思社刊 2800円
「徹底図鑑 地球のしくみ」新星出版社 1400円

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先週末の日経平均株価は9768円と年初来高値を更新して終了した。
バルブ後安値からの上昇率は38%で、1万円回復まであと232円に迫っている。

株価の上昇は世界に共通する。

米ダウ工業30種平均は昨年末の水準をほぼ回復。
新興国はさらに戻りが顕著で、中国やインド、ブラジルの代表的な株価指数は、すでに昨年9月のリーマン・ショック前の水準に戻った。

世界的な金融緩和や景気底入れ期待を背景に、金融危機で萎縮していた市場資金が動きを早めており、世界の投資メネーがリスク資産に少しずつ向かい始めているのだ。

動き出した投資マネーは収益機会を求め、国際商品にも流れ込んでいる。

ニューヨーク市場のWTI原油先物は5日の時間外取引で一時、1バレル70ドルを超えた。
景気底入れへの期待先行の買いなどが原油相場を押し上げ12月19日の安値(32・40ドル)から2倍以上になっている。

ニューヨークの金先物も1オンス1000ドルに近づいている。
穀物市場でもシカゴの大豆やトウモロコシが昨年12月の安値から5~6割上昇、リーマン・ショック前の8割まで値を戻している。

原油等の商品価格の急騰を呼ぶ投機マネーの流れの行き過ぎは、世界経済の持ち直しの芽を摘む恐れもあるなか、
「安全資産」として買われてきた米国や日本の国債は売られやすくなっている。

財政出動や国債増発という危機克服の「副作用」もあいまって、国債の価格は下落(金利は上昇)傾向にある。
   (日経新聞6月6日記事抜粋)

最近この国債と格付け機関の評価で腑に落ちないことが起きているという。

「格下げかと思ったら格上げだった」。

米格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが5月18日、日本国債の格付けを上から3番目のAa2へ1段階格上げした直後の市場関係者の感想だ。

過去最大の経済危機対策(財政支出で15兆4000億円)の財源に充てる約17兆円の国債(財投債含む)発行が見込まれる日本では、
膨大な増発で国債価格の下落と長期金利上昇の懸念がくすぶり出しているなかでの再格上げだ。

ムーディーズは昨年6月末にも日本国債の格付けを1段階上げて上から4番目のAa3にした。

(その頃より)景気は悪くなるばかりなのに、なぜ、又、格上げ、という違和感だ。

同機関は、多額の国内貯蓄や1兆ドル規模の外貨準備など「日本の強み」を指摘。
追加経済対策に伴う大量増発についても「市場は吸収できる」と強調、 金利上昇などへの懸念を示さなかった。

日本国債の格付けは先進7カ国(G7)中で最下位だったが、 今回の格上げでイタリアと並んだ。

一方米国は
今年に入り、米国債の下落が始まり、昨年末に2.8%だった30年もの国債の利回りは4.1%まで上がり(価格としては20%下落)、
今後は来年にかけて5%へと上がる見通しだ。

米政府は財政赤字を急増させており、そのリスクを勘案すると、米国債の価格はもっと安く評価されても不思議ではないという

「このまま米政府の財政が悪化すると、ドル(米国債)は、いずれトリプルA格を失う」と警告する人もいる。

米政府運営の国民健康保険であるメディケアなどの社会保障費の赤字増加と、金融危機対策による財政赤字急増が抑制できない場合、
米国債は1913年以来の最優良格付けを失うと予測されている。

すでに債券のリスクを表すCDS(破綻保険)の料率では、
米国債がマクドナルド社債より高リスクと評価される局面も出てきたと指摘されている。


米国と並んで従来の覇権体制を担ってきた英国の国債格付けは、すでに引き下げが始まっている。

5月21日、米英の格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、英国の国債を従来の「トリプルAで安定」から「トリプルAだが悪化方向(ネガティブ)」に引き下げた。

金融危機対策としての財政赤字増、不況による所得税・法人税の減収で、英政府の財政赤字が急増していることが理由だ。
まだ格付け自体は最優良のトリプルAだが、今後も事態が悪化すれば格下げされる。

1980年代の金融自由化以来、米国・英国・カナダなどのアングロサクソン諸国は、政治的に、すべて国債格付けがトリプルAと決まっていた。

金融の強い国、つまり英米中心のアングロサクソン諸国が、製造業立国(日中など)やエネルギー産出国(アラブ、ロシア)など他の主要国を牽引して世界を運営(支配)するのが、この30年の世界体制だった。

S&Pやムーディーズといった格付け機関は、政治的に、英米中心体制を維持するための機構の一部であり、
アングロサクソン諸国には甘く、日本を含む他の国々には厳しく格付けをしていたと考えられる。

どうも色々な背景を見てみると、各格付け機関は、
内容の悪くなっているが、日本の格付けを上げ、
相対的なバランスを保ち、米英のトリプルAからの格下げ防止を図ろうとしているのではないかと勘ぐりたくなる。

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