My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心に思いついた事柄をつれづれに書き綴ります

2010年01月

イメージ 1
最高の人生とはたいそうな給料をもらい、
テキトーに仕事をすることであると、
羨ましい帯のコピーと題名につられて正月に購入した本の中の一冊。

年をとったら悠々自適の生活を!!
誰もが切に願う希望だが、なかなか実現するのは難しい。

この小説は、誰も何もせず、ただ高給をはむだけで、
何の呵責も感じることもない、ハッピーリタイアメントを絵に描いたような、役人が作り上げた天下りの受け皿会社が舞台だ。


その要旨は

「定年を四年後に控えた、しがない財務官僚・樋口慎太郎と愚直だけが取り柄の自衛官・大友勉。

二人が突如再就職先として斡旋されたJAMS(全国中小企業振興会)は、高給のうえに仕事がないという天国のような場所。

仕事は書類の保管。
昼寝OK、外出自由。
法外な給料と2度目の退職金を保証--

ふたりの再就職先は高給のうえに仕事がないという、
まさにハッピーリタイアメントという言葉にふさわしい職場だが、
ふたりは仕事がないという体質に今イチ馴染めずにいる。

秘書兼庶務係としてこの職場を取り仕切っている立花葵は、
彼らの不器用さに呆れながらも、他の天下り役人たちとは何かが違うと感じる。

ある日、教育係となった葵から、
秘密のミッションを言い渡される…。

そして奇想天外な物語が始まる。

これまでパッとしない人生を歩んできたふたりだが、
葵の発案で始めた仕事では予想を越える活躍を見せる。

仕事が順調に進みだすと、立花は「幸福な退職」実現のため、
大胆な計画を二人に持ちかける。

果たしてその計画とは? 
そして三人の夢の結末はどうなった?」


なかなか、時を得た面白い設定だ。


この小説は浅田次郎氏の著で
氏が、現代を舞台にした長編小説としては7年ぶりの新刊となるものである。

『鉄道員(ぽっぽや)』や『壬生義士伝』といった読者の心を揺さぶる作品から、“泣かせの浅田”という印象が強いが、
氏に言わせると、シリアルな小説より、自分の本質は“お笑い”であるとのこと。

本書にはその“お笑い”がふんだんに盛り込まれている。

だがこの“お笑い ”はタメなる”お笑い”だからなおさら面白い。

コミカルな内容の中にも、人はどう生きるべきか、なぜ天下りがおきるのかまで踏み込んで、浅田流の社会論が明確に打ち出されている。


昨年の夏の政権交代以降、利権と結び付いた天下り構造の理不尽さがますます明らかになり、
大きな批判を呼んでいるが・・少しトーンダウンし始めている面もあるようだが

浅田氏は天下りの根源は江戸時代あると本書で解説している。

それによると、

「かつてわが国には江戸時代という二百六十年余年に及ぶ平和で幸福な時代があった。

これほど長きにわたり戦争をしなかった国家は、
人類史上に例がない。

平和が長く続けば階級社会が確立し、個々が生まれ育った環境に安住する。

おのおのはその生まれついての職分を適当に全うしていればよく、
なるたけ早く家督を倅に譲り、幸福を貪る「隠居」となればよいわけである。

明治維新になり、列強についていくために、富国強兵、産業復興をすすめ、旧制度は崩壊するわけであるが、
制度は変わっても長く続いた習慣は容易に変わらない。


明治以降、行政機構も民間企業も欧米流の三角形ピラミッド型の近代的組織に改変されたが、

古い永い安泰な生活の習慣から生まれた世襲制と終身雇用制とが矛盾をはらみながら運営されてきた。

第二次世界大戦が終わるまでは資本主義社会は膨張し続けてきて、
国も企業も三角形の組織を大きくし、または次々と派生させてきたため人的な問題は起きなかった。

しかし、戦後大きな拡大が期待できなくなった日本の社会は、
大きな企業は"子会社“、行政の役人たちは”天下り“という制度で、古き習慣をも満足させながら、三角型組織を維持してきた。


問題は民間の"子会社“は従業員の賃金を大きく低減し、
厳格な作業環境の下利益を追求しようとしているに反し、
"天下り”は国の税金のもと、高給と厚遇を約束し、そしてなんら経営責任を負わない、いい加減な、破廉恥な、不条理なまでに楽チンな組織体となっていることである。


それでは、どうすればよいのか?

著者はある対談記事の中で、基本的に人は年を取ったら悠々自適に遊ぶべきですと言い切る。

もちろん幸福すべてはお金で買えるわけではない。
本書の中で、いつまでも権力や金に固執する矢島という人物が出てくるが、彼はストレスの塊で、不幸な人生の象徴。

二人の主人公が彼を不幸と見切り、目覚めるというのが小説の主旨なのです。

仕事をすることに生きがいを見いだすのは否定しませんが、それだけでなく、趣味に生きるとか、
本当にやりたいことをするのが本当の“仕事”だと思います。

30、40年も勤めてきた惰性だけで働くのは貧しいでしょう。

と述べていた。


私も意を強くして、ダイビングに勤しもうか・・・

でも先立つものが


 「ハッピー・リタイアメント」 浅田次郎著 幻冬舎 1500円

イメージ 1
1月9日の日経新聞朝刊に「日航 更生法活用で再建」と一面に記載されていた。

とうとうか、私的再建か? 公的再建か?で色々もめていたが、
透明な手続きの下で経営の立て直しを狙い、政府が決断したようだ。


記事には

「会社更生法の枠組みを使って再建を進める方向となった日本航空について、公的機関として支援に乗り出す企業再生支援機構はリストラ策を拡充する方針を固めた。

迅速な手続きを活用して抜本的に経営を立て直すのが狙い。
機構は金融機関に要請中の債権放棄を3500億円に上積みし、国内外の路線撤退や人員削減も上乗せする。

株主責任は100%減資で上場廃止にするか、持ち分を残して上場を維持するかで両論があり、政府内で調整を続ける。」

とある。


日航の再建問題は、過去何度か、自民党政権下で国土交通局の官僚の主導で実施してきたが、
大物議員の地元路線を廃止できないなど、抜本的対策を示せず、
経営悪化が続いていた。


今回政権交代がなされ、新政権は「自民党政権で先送りして問題を根本的に解決する」と民意の力もかり、
国交省の官僚にタブー視されてきた法的整理を再建手法とすることにしたのであろう。


再建案の骨子は

1)3500億円の債権放棄
2)減資および約3000億円の資本増強の実施
3)3年間で1万30000人の人員削減および路線の削減
4)経営陣は退任 最高経営責任者(CEO)は民間より
5)企業再生支援機構と日本政策投資銀行による6000億円規模の融資
6)現役、OBの企業年金の圧縮

という計画のようだ。

1と5が、取引銀行が負う責任(?)部分で、
3と6は、従業員の負担
4は経営陣の責任部分、
2は株主が負う責任部分です

ここで株主責任といっても、私など少数株所有者から見ると、
減資により株が紙くずになるかもしれなく、
また増資により価値が希薄化するので、逆に犠牲者と思うのだが。

だが、そもそも、株主は、最高意思決定機関の株主総会で経営者を選ぶなど、
強力な権限を持ち、会社が成長すれば無限のリターンも手に入れるということで、
会社破綻に大きな責任があるというのだ。

勿論、少数株主である、私自体は株主総会で意思決定するようなチャンスもなく、株主であった期間、無配を続けている日航から僅かなリターもなかった。

やはり、犠牲者と感じてしまう。

しかし、こんな私たち株主も責任を取り、JALの経営者、従業員、OBもリストラ、減給などで責任取る。勿論、銀行団は多額の債権を放棄して責任を果たす。

JAL再建に関し、破綻に責任あるもの皆が応分の責任を果たす。
これも仕方がない。

だが、JALを破綻に導いた陰の責任者、無作為に空港を作り続けた航空行政の役人たち、自らの利益のみを考えてJALに路線開設を強いた族議員たちの責任はどう取るつもりなのだろうか。

前回のブログでも書いたが、日本の航空行政はおかしい。

外国では、港湾でも空港でも一極集中のハブ化の明確な長期ビジョンたて、実行してきた。

その間、日本は各地にコンテナ船が一週間に一隻しか来ないペンペン草がはえる港湾と一日一便しか飛ばない閑古鳥が鳴く空港を作り続けてきた。


この失敗の元凶のもとが時代錯誤の遺物、「特別会計」だ。

ここでいう特別会計は16種ある事業特別会計の中で公共事業区分に該当する、治水、道路、港湾、空港などの特別会計事業である。

公共事業区分での21年度の予算が約5兆円、空港関係で約5300億円もの予算がついている。

これらの予算の使い道は不透明でどのように使われているか全くわからず、また作られた空港とか、道路、港湾などの投資効果なども明確にされていない。

こんないい加減な予算に利権を求めて族議員や企業にいいように食い物にされ、
役人たちが長期的な考えもなくばら撒いた結果が今日の日本の道路、港湾、空港などである。

このうち、道路特別会計については、国民の声に負け、2008年9月、当時福田康夫前首相の電撃辞任会見の席上、道路特別会計の見直しを約束した。

しかし、空港整備特別会計(空備特会)については、過去何度か、表向き、改革するという政府見解は何度か聞かれた。

05年12月に公開された行政改革方針で「空整特会制度は将来の独立行政法人化等について検討する」という方針をうちだした。

しかし、2年半後「社会資本整備事業特別会計空港整備勘定」と名称が変わっただけだ。

いい加減にしてくれ、名前の変更なら誰でも出来る。

日航をここまでにした、特別会計制度。
今回関係者、皆が責任を取る。

航空行政に携わった役人たち、族議員たちも責任とってほしい。

政府には、JAL再建の対策のひとつとして、空整特会をいつまでに、どのようにするか明確に宣言してほしい。

検討するといって2年半もかかり名称変更のみなどはもうごめんだ。

しっかり見守っていこう。

イメージ 1
今年の正月は大変静かだ。

ダイビングを始めて5年近くになるが、正月はいつも西表島で潜っていた。

だが、今年は、東京の実家の母親が、昨年の11月に入院しため、東京/神戸を何度か往復したりしている間に大寒波も来襲したりして、ダイビングの計画がまったく萎えてしまいどこへも行かない静かな正月を送ることになった。

ということで、静かな正月を読書三昧ときめこみ、
年末近く購入した10数冊の本の中の一冊がここで紹介する、森 功氏著「血税空港」だ。

普段東京へ行くには近くの神戸空港を利用し便利さを感じているが、しかし、関空、伊丹、神戸の関西3空港問題、羽田、成田のハブ化問題、さらにJALの再建問題と、最近日本の航空行政の問題が取りざたされている中、タイミングよく本書が発刊された。

本書の紹介文に

「「オープンスカイ」(=空の自由化)の世界的潮流でアジア各国が空港を整備し飛躍するなか、日本は致命的な後れを取った。

羽田空港は頭打ちの国内線中心。
米航空会社に占められ新規参入枠がない成田空港は、「アジアの玄関口」の座を周辺諸国に奪われて久しい。

鳴り物入りでオープンした関西国際空港をはじめ、全国津々浦々99港のほとんどが火の車だ。

その補填のため毎年5000億円もの税金が垂れ流し。
そんな航空行政の呆れた実態を緊急告発。」

とある。


狭い日本の国土に今年開港するであろう、茨城空港をいれると99もの空港がある。

数は世界でもトップクラスで、1万平方Kmあたりの空港が2.6は英、独に次いで世界3位。
2.0の米、0.2の中国をはるかに上回る。

これは、道路特別会計と同じような「空港整備特別勘定(空整会)」という特別会計という曲者によって
「わが県、おらが村にも空港を」と空港整備という名の下、
ばら撒き建設土木行政を支え、むやみに造り続けられた結果だ。

空整特会はプール制となっていて空港ごとの財務諸表が作成されていない。

しかし、世間の批判から、2007年4月に9空港について2005年度の試算を公表された。

仙台、羽田、新潟、広島、高知、福岡、那覇の7空港が赤字で、新千歳、大阪の2空港が黒字だった。

一方、民間による試算によると、羽田、新千歳、大阪のみが黒字で、他の空港はすべて赤字であるという結果がある。

羽田空港の滑走路拡張費用が少なくなった中で、
役人の無計画、無策で作った空港の赤字の後始末にわれわれの年間5000億もの税金が当てられている。

空整特会の原資は飛行機の着陸料など空港使用料や航空機燃料税だ。

ガソリン税が道路建設に回されるのと同様、空港整備名目で全国の空港にばらまかれる。国内だと1人1回の利用で3000円だという。


いい加減にして欲し、日本の高い国内運賃はこんなところにある。


役人というのは、無尽蔵にあると思っている人のお金を使って、無責任かつ非積極的な仕事をし、
自らは安泰な生活をしようとするのは、どこの国でも本質的には同じと思うのだが。

だが、他国の役人たちは、同じアジアでも、シンガポール、韓国、タイ、台湾、中国などではいち早く航空業界の先を読み、ハブ空港構築へ舵を切り替え成功している。

日本だけが取り残されている。

他国の役人に出来て、日本の役人では出来ない理由はなんだろうか?

この期に及んでも、役人たちは、「国内線は羽田、成田は国際線」にこだわっている。

自分たちの非を認めないのと、地方空港にとってドル箱である羽田線をなくすと、赤字の増大と、空港の存在そのもの問題が顕在化されるのを恐れているのだ。

また、国際線は「成田」という割には、40カ国以上の国から乗り入れを要請されているに、どうしようもしない。


成田と同程度の面積で2本の滑走路を持つ、ロンドン・ヒースローは年間50万回の発着で6700万人の利用者だという。
成田は22万回で3400万人だ。

この違いは、まずは、成田は騒音の関係で夜間は飛べず(いまどきの国際空港で24時間でない)17時間運営であるためである。

しかし、17時間空港でも運用次第では30万回までいけるはずという。

なぜ22万回しか発着できない理由は

 ・米国の権益が大きすぎるため、融通がきかない
   普通国際空港では自国枠は半分ぐらい、成田は39%

 ・昼間でも時間帯により騒音のため発着を少なくしている

 ・2本の滑走路の使用率を航空会社別に制約している
   普通大型機は2分間隔、小型機は1分間隔で発着しているが、
   小型機は短い滑走路を優先的に使えば効率が上がるが、
   滑走路の使用枠制限があるため難しい

いずれも役人が誰かにいい顔をするために決めたことだろうが、
これからでも役人が熱意を持って、少しでも努力すれば解決するはずだが・・


正月早々愚痴っぽくなったが、今問題なっている航空行政の実態を知るにはいい一冊です。


   「血税空港」 森 功著 幻冬舎新書 760円

↑このページのトップヘ