
10月より月一度の「キリスト教美術とギリシア神話」なる講義に参加することにしましたが、
先日始めてその講義を受講しました。
今回のテーマは「ヘラクレスの選択」でした。
ヘラクレスはご承知のごとく、「ヘラの栄光」という名を持つギリシア神話の英雄。
ギリシア神話に登場する多くの半神半人の英雄の中でも最大の存在で、後にオリュンポスの神に連なった。
ヘラクレスは、ペルセウスの子孫であり、ミュケーナイ王家の血を引く。
全能の神ゼウスの不義の子として生まれ、ゼウスの妻ヘラに自分の名を称えているにも関わらずとことん憎まれる。
少しその逸話を紹介すると
ゼウスはヘラクレスに不死の力を与えようとして、眠っているヘラの乳を吸わせたが、目覚めたヘラは赤ん坊を突き放した。
このとき飛び散った乳が天の川になったという。
これを恨んだヘラは密かに二匹の蛇をヘラクレスが寝ている揺り籠に放ったが、ヘラクレスは素手でこれを絞め殺す。
ヘラクレスが大人になり、幸福な家庭を築いた時を見計らい、ヘラは彼を狂わせ、わが子を惨殺するように仕向ける。
正気に戻ったヘラクレスは自分の行為におののき絶望する。
そんな彼に罪を償うために、アポローンは「ミュケーナイ王に仕え、12の勤めを果たせ」と助言する。
彼はこれに従い、本来なら自分がなっているはずのミュケーナイ王に仕え、12年をかけその苦難の偉業を達成することになる。
「ヘラクレスの選択」といえば、このように敢えて苦難の道を歩んでいくことをいう。
最近では映画『突入せよ!「あさま山荘」事件』のサブタイトルが『The Choice of Hercules(ヘラクレスの選択)』で思い起こす人も多いと思います。
主人公が、突入するとき、上司の警察庁長官が「全て君の人生は『ヘラクレスの選択』と思え」と言う。
結果がどうであれ苦難の道が待っていることを意味している。
さて、この「ヘラクレスの選択」をテーマとした絵画は数多く、
今回10数点紹介してもらったがその中でも
『岐路に立つヘラクレス』 アンニーバレ・カラッチ(1596年)
ナポリ・カポディモンテ国立美術館蔵 が印象的だった。
英雄ヘラクレスが岩の上に座り、「美徳」と「悪徳」を擬人化した二人の立ち姿の女性の間で、
どちらに従うべきか迷っている様子が描かれている。
地味な服装をした女性は「美徳」の象徴で、足元には月桂冠の冠を戴き書物(知恵をあらわす)を持つ詩人の姿も描かれている。
彼女が指し示す方向は、岩だらけの狭い道が続いており、これを頑張って登れば、名声を象徴する有翼のペガサスが待っていると示している。
一方、右側の薄い衣を身にまとった女性は「悪徳」の象徴で、足元に置かれた仮面は「欺瞞、淫欲」、楽器は「地上的な快楽」の象徴として描かれている。
彼女の示す道はなだらかで、その先は陽の当たる牧場に至り、池では裸の男女が遊び戯れている。
そして、ヘラクレスは最終的に「美徳」の指し示す正しい道を選ぶのだが、私なら即・・・。
だからこそ時代を経ても名画などのテーマになるのだろう。
次回は「ヘラクレスの12の功業」がテーマだという。
星座うみへび座の逸話となった9頭の水蛇ヒュドラとの戦い等の話がどのように表現され、解釈されるのか楽しみである。
さて、話が変わるが、
先日インターネットで「せとうち美術館ネットワーク」
(http://www.jb-honshi.co.jp/museum/index.html)なるものを見つけました。
これはサイトによると、JB本四高速が支援して、瀬戸内海地域に数多く存在する美術館や博物館を相互にネットワーク化し、
地域全体としての文化芸術面の魅力を高めようとするものであるという。
要は瀬戸内海に3つもの大橋を作ってしまい、
何とか交通量を増やしたいと思うその策のひとつだと思うのだが、
なんと、瀬戸内海域で24もの美術館があり、
本四高速道路の週末の割引が来年の3月までであることを知りました。
今年4月に購入したCR-Zが今月半年の定期検査を向かえ、
走行距離が2100kmしか走っておらず、
いつも近場のゴルフ場と買い物だけで、4,50km/nの速度だけを強いているのは折角のスポーツカーとしては勿体無いこともあり、
この際、前述の講義に誘発されたわけでもないが、
本四高速の策(スタンプラリーもあり、スタンプの数によって景品がもらえる)に載って、
来年3月までに瀬戸内海域の24もの美術館を訪問することを企てることにしました。
まず手始めに、2週間で鳴門の「大塚国際美術館」そして
倉敷の「大原美術館」「児島虎次郎記念館」「倉敷市立美術館」と行きました。
既に訪問した所もあるが、今まで感じなかった新たな驚き、感動も多かった。
機会をみてその内容を報告します。