My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心に思いついた事柄をつれづれに書き綴ります

2012年02月

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先週の土、日曜日と久し振りのダイビングショップ主催の紀伊田辺のダイビングに行ってきました。

前日から降り続いた雨の中、早朝5時に起きて、神戸から明石市にあるショップに集合し、大きなバンの後部席の爆睡付き3時間のドライブであっという間に到着です。

しかし、いいことばかりではない、田辺も風交じりの小雨の悪天候。

気温は6度。

こんな悪条件にも拘わらず、到着して即、慌しくドライスーツに着替え、器材の準備、装着し、そして小さなボートに20人ばかりのダイバーを乗せ昼食前の一本目のダイビングへの出発です。

港からポイントまでの30分は本当に寒かった。
吹付ける風、雨、波。

流行のヒートテックの下着にカイロまで貼り付け、ドライスーツ用の保温インナーを着込み、フードまでつけましたがそれでもブルブル震える寒さは本当に最悪でした。

水温は16度。

飛び込んだ瞬間、16度の温度が天国のように感じました。

16度はかなりの低温だがドライスーツの着用と地上との温度差10度が天国に変えてくれました。


田辺は神戸から近いため、Cカード取得の海洋実習やナイトロックスの研修にと何度も来ており、今回で5回目だ。

雨が降ると透明度が悪くなるが、15mぐらいはあったのでユッタリとダイビングが出来た。

何よりも今回は今まで行けなかった「ショウガセ」に
2度も行けたことである。

「ショウガセ」は田辺湾の出口部にある頂部が水深13mの大きな根で、頂部から一気に水深40mまでのドロップオフになっており、
その水底には世界的にも珍しいオオカワリギンチャクが群生しているのだ。

暗い海中にネオンイエローに光輝くオオカワリギンチャクの群生は本当に涼しげで幻想的な光景である。

オオカワリギンチャクはイソギンチャクの仲間で、白浜~南部沖と伊豆大島で確認されている新種ですが、普通は100m程度の水深に生息しているのが、田辺湾では40mの水深に群生している。

そのため、多くのダイバーがオオカワリギンチャクを見るために
田辺に押しかけるのだ。


寒波が来たら最悪のコンディションになるだろうと予想される2月末の今回のダイビングに参加した目的は、このオオカワリギンチャクを見ることと、私が大変お世話になった女性インストラクターの「さよなら記念ダイブ」でもあったのだ。


今から7年ほど前になるが、私が60歳を過ぎて、時間的にも少し余裕が取れるようになり、何か新しいことをしたいなと思っていたところに、冷やかしで飛び込んだダイビングショップで対応してもらったのが彼女だった。

彼女は冷やかしの私に、ダイビングの楽しみや面白みを親切に説明してくれ、私のような年でも大丈夫なのかと心配な私に、60,70歳を越した多くのシニアダイバーが元気にダイビングを楽しんでいますよ!! とにっこり笑って、一緒にダイビングを楽しみましょうと躊躇する私の背中を押してくれた。

彼女のスマイル(営業?)と、背中の一押しでダイバーになった私だが、今では本当に感謝している。

煌く水中と生き生きとした色とりどりの鮮やかな生物達、青い空と白い砂浜、そして多くの人々との触れ合い。

特に海外のダイビングの魅力に嵌り、仕事や観光では行ったことがない国々ではダイビングの他に、そこの国の人々や地理、歴史にも触れることも出来、本当に新しい楽しい世界が開けたようだ。

その彼女も私が始めてお会いした時は一般のインストラクターだったが、今では出世して店長となっておられ、そして今度3月より少し離れた町のダイビングショップの店長としてローテーションで変わられるのだ。

と言うことで今回が彼女がインストラクトとするラストダイブであり、どんなに天候が悪かろうと参加しなければならないダイビングであったのだ。


田辺は確かに寒かった。
でも新しい魅力溢れる世界に導いていただき本当に有難う。

だが、一つ、彼女が言った60,70歳を越した多くのシニアダイバーが元気にダイビングを楽しんでいると言われたが私の今までのダイビングでは殆どのケース(若者好みのアドベンチュラスの所が多いためか)で私が年長者であり実感できていない。

しかし、統計的には日本のダイバーの世界でも高齢化が進んで事故も多いようだ。

海上保安庁の報告で、平成22年のマリンレジャーに関する海浜事故による死者・行方不明者数は、312人で、遊泳中で132人次いで釣り中が100人で、これらで全体の7 割を占めているが、スキューバダイビング中が25人であり、昨年より11人増え、特に40代以上の中高年齢層の事故者数が増加しているとの事。

高齢者になるとパニックへの対応能力が落ちることや、高齢者特有の心臓疾患なども事故に繋がっているようだ。


折角、ダイビングという新しい素晴らしい世界に導いて貰ったのだから、体を鍛え、無理をせず永く続くよう努力していきたいものだ。

本当に有難う。これからも宜しく。

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最近は近年にない寒さのため家に閉じこもる日が多くなってしまった。

こんな時こそ少し元気を貰おうと、平積みされた本から選んだものが此れだ。

海洋冒険小説で、地球科学、歴史などのエピソードを含み、若い美貌の女性とアメリカ人好みの主人公の超人的活躍で悪人グループの企みを阻止して全世界の破滅を防ぎメデタシ、メデタシという話なのだ。


少しだけこの本の内容を紹介すると

巨大な波に襲われアメリカの最新鋭大型貨物船が大西洋航行中に消息を絶った。
それを機に各地の海で奇怪な超大型渦潮が観測され、船舶が沈没する事件が多発し、世界が恐怖のどん底に叩き込まれる。

それは電磁波によって地軸反転を引き起こして、経済混乱を生じさせ、多額の利益を得ようとするネオ・アナーキスト達の企てだった。

調査に乗り出した国立海中海洋機関の主人公達は、北極のシベリアから南大西洋のリオデジャネイロ沖まで、悪人達の企み阻止すべく縦横無尽の活躍をするのだった・・・。


破天荒な海洋冒険小説と片付けてしまえばそれまでだが、この主人公(オースチン)のシリーズは早くも6作目でる。

前作「失われた深海都市にせまれ」では大西洋中央海嶺から西に15kmほどの地点にあるアトランティス山塊の頂上の近で発見された、まったく新しいタイプの熱水噴出孔を題材したもので大変面白かった。
(2010年9月24日付け私のブログを参照下さい)


本作の「運命の地軸反転・・・」でも主人公の超人的活躍はやはりやりすぎだと思う面もあるが、だが今回も小説の題材として大変興味あるものを取り上げている。


一つが海運事故史上最悪の9千を越す犠牲者を出したドイツ客船「ヴィルヘルム・グストロフ」号。

そして
「地軸反転」と「南大西洋異常帯」である。


先ず、ヴィルヘルム・グストロフに号ついては、本小説のキーとなっている電磁気の理論を開発したハンガリー人科学者がこの船に乗り合わせ九死に一生を得ることになっている。


第二次大戦中、ナチスドイツはソ連軍との戦局の悪化とともに東プロイセンから200万人を超す傷病兵や民間人を、客船や貨物船、軍艦などあらゆる種類の船を動員してドイツ西部へ海路脱出させる為の海上避難輸送計画「ハンニバル作戦」が発動された。

客船であったヴィルヘルム・グストロフ号も同作戦に投入され、1945年1月30日、一万人を超す乗客、殆どが女性や子供らを含む避難民を乗せ、護衛艦の故障などで護衛のないまま、ゴーテンハーフェンを出港し出港してその夜、ソ連潜水艦S-13に発見され攻撃されて沈没してしまった。

この攻撃による犠牲者は9,343名(ほとんどが一般市民で、半分以上が子供)で海運事故史上最悪となった。
これが戦争犯罪に当たるかについては今もなお議論があるらしい。

避難民輸送計画ではドイツ西部へ250万人の軍民を避難させることに成功したが、グストロフ号の他にも客船シュトイベン、客船ゴヤなどが同じくソ連潜水艦の雷撃を受けて沈没し、難民などに大勢の犠牲者(シュトイベン:4,500名、ゴヤ:6,666名)を出し、計画合計では3万3千人の難民や軍人が亡くなったという。

この事件についてはC.ドブスン著の「バルト海の死闘」やギュンター・グラス著の「蟹の横歩き」そして映画「シップ・オブ・ノーリターン ~グストロフ号の悲劇~ 」に詳しく取り上げられている。

私は、映画は見たが本はどれも読んでない。
是非今度読んでみたいと思った。


「地軸反転」と「南大西洋異常帯」については

小説では地球のある地点(南大西洋異常帯)に強力な磁場をかけると、南北の地軸が90°回転し、異常気象・異常磁場を発生させ世界を混乱させようとする企みだが、

地球の極を短時間に反転させることは膨大なエネルギーが必要であり、月を生成した原因と考えられるジャイアント・インパクト仮説においても、
火星ほどの質量が地球に衝突して、地球現在の地球の公転面に対して地軸を23.5度傾斜させるに留まっている。

又、南大西洋異常帯は大西洋のブラジル沖にあり、面積は約800万km²。

この海域では磁場が弱まっており、同高度で比較すると放射線量が異常に多く検出されている。

通常、ヴァン・アレン帯内帯における最低高度は約1,000km以上であるが、ここでは高度300から400km程度にまで下がっている。

磁界が弱い南大西洋異常帯に強力な磁場をかけて地軸に変化をもたらそうと言う企ては理屈に合っているようだが、大型船に積載された発電機ぐらいで地軸反転を起こそうと言うのは全く荒唐無稽な話である。


しかし、単なる海洋冒険小説も色々深読みすると違った楽しみが出てくる。

これも読書の楽しみの一つである。


「運命の地軸反転を阻止せよ(上)(下)」 クライブ・カッスラー著
新潮文庫刊 上巻:629円、下巻:590円

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昨年夏あたりから書店に華々しく並べられていたライトノベル。
私の本の趣味から、中々ライトノベルには手が出しにくく、若い綺麗な女性の表紙を横目で眺めるだけであった。

最近のニュースで、本年1月に『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズが累計100万部突破と文庫本では久々のミリオンセラーとなったと報じられ、又、全国書店員が選ぶ「2012年本屋大賞」に山田風太郎賞を受賞した高野和明氏の「ジェノサイド」と文庫本としては初ノミネートとなる本書「ビブリア古書堂の事件手帖」などがノミネートされたと発表された。


もともと、へそ曲がりな私はベストセラーとなると反発して購入意欲が萎えてしまうのだが、昨年私のブログ(2011年10月25日、11月1日付け)でも紹介しているが、私が気に入った高野和明氏の「ジェノサイド」と肩を並べ「ビブリア古書堂の事件手帖」が本屋賞を競っている事を知り急に読んでみたくなったのだ。


「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズは、北鎌倉の片隅にある古書店「ビブリア古書堂」が舞台で美貌の店主・篠川栞(しおり)子と幼いときのトラウマで本が読めない青年・五浦大輔が、客が持ち込んだ古書の謎と秘密を解き明かしていくミステリー小説だ。

まず、この小説の設定が気に入った。

舞台として北鎌倉の片隅で日常の喧騒から少し離れた静寂の中で、ひっそりと営業する古本屋としており、儲けより本当に本が好きでたまらない人がやっている雰囲気が醸し出されている。

又主人公は、若く、透き通るような肌をした怜悧な美人だ。
古書に関して並外れた知識を持つが、極度の人見知りで人と目を合わせることもできないが、本の話をし出すと止まらないと、何とも男性好みの設定となっている。

さらにライトノベルというと表紙のイラストは大きな目をしたミニスカートの女の子が定番のイメージだが、本書は物静かに佇み本を読む綺麗な女性が描かれておりオジサン族にも抵抗なく手に取れる。


さて、内容はというと

ミステリーといっても、殺人事件なるものも密室のようなトリックも出てこない。
ただ、軸となるのは客が持ち込む古書にまつわる謎と秘密である。

この古書にまつわる謎と秘密を、彼女はまるで見てきたかのように次々と解き明かしていく。

登場する古書は実在のもので

第1巻
・夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)
・小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)
・ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)
・太宰治『晩年』(砂子屋書房)
第2巻
・坂口三千代『クラクラ日記』(文藝春秋)
・アントニイ・バージェス『時計仕掛けのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)
・福田定一『名言随筆 サラリーマン』(六月社)
・足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)

が出てくる。

これらの私が知っている有名な本もあるが、全く初めて聞く本など、有名無名、希少な本もそうでない本もとりまぜて、主人公により蘊蓄がとうとうと語られつつ、古書の内容や装丁の状態、持ち込んだ人物の表情などから古書にまつわる秘密が明らかにされる。


物語は小学生の頃の祖母に厳しく叱責されたことが原因で、活字を見るのも嫌になり、読書とは縁遠い人生を送ってきた無職の青年、五浦大輔が祖母が遺した『漱石全集』を査定してもらうために「ビブリア古書堂」を訪れ、祖母の秘密を古書に書かれた署名より、店主・篠川栞子に解いてもらい、その縁で、アルバイトとして「ビブリア古書堂」就職するところから始まる。

各章は一つずつの古書の秘密の謎解きで完結しているが、この謎解きを通じて1巻、2巻全体をとして大輔の栞子への淡い恋心への変化と、人と眼を見て話せない栞子が少しずつ大輔とは話が出来るようになり、大輔の無骨な仕事ぶりに戸惑いながら次第にひそかに目を細めるようになる栞子を描いている。


ライトノベルと言いながら大変面白く1巻、2巻と続けて1日で読破してしまった。

この本の底流にあるのは著者の“本”に対するこだわりだ。

文中で栞子は

「わたし、古書が大好きなんです……人の手から手へ渡った本そのものに、物語があると思うんです……中に書かれている物語だけではなくて」

と言わしている。

著者三上 延氏は電撃文庫『ダーク・バイオレッツ』にてデビュー。
ホラーからファンタジーまで、幅広い作風で活躍されているが、古書店にも勤めていた経歴の持ち主で、本が好きで、本を大切に愛おしく思う気持ちがページ上ににじみ出て来ている。


どんな本も捨てきれず本箱から溢れた本が部屋中平積みされている私としては大変共感する作品である。


4月には第3巻が発刊されるとの事、今から大変楽しみだ。


ビブリア子書堂の事件手帳(1)・栞子さんと奇妙な客人たち  590円
ビブリア子書堂の事件手帳(2)・栞子さんと謎めいた日常   530円

著者 三上 延  メディアワークス文庫刊  

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