My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心に思いついた事柄をつれづれに書き綴ります

2012年04月

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この二、三日のインターネットで2050年には「日本は極東の小国へ」、「日本はもはや先進国ではなくなる」とか「1人当たりGDPは韓国に抜かれる」など衝撃的であまり聞きたくない言葉が飛び交っている。

それは4月16日、経済団体連合会傘下のシンクタンクである21世紀政策研究所が2050年までの日本と世界50ヵ国・地域の長期経済予測を発表したためだ。

それによると、日本は人口減少や高齢化の進行などの影響で、2030年以降マイナス成長に落ちこみ、最悪のケースでは先進国から脱落する可能性があるという。

報告では
1.先進国平均並み(基本シナリオ1)
2.失われた20年が続く(基本シナリオ2)
3.財政悪化による成長率低下(悲観シナリオ)
4.女性が労働に就く割合が高まる(労働力改善シナリオ)

のケースに分けて経済成長率などを試算している。

その結果「基本シナリオ1」によると、

2030年代からマイナス成長に転じ、50年には現在世界3位のGDPが4位に落ち、その規模は中国と米国の約6分の1となる。
1人あたりのGDPも世界18位と韓国(14位)に抜かれることになってしまう。

また、成長率が最も下振れする「悲観シナリオ」では、

GDP規模は世界9位となり、中国、米国の約8分の1に縮小してしまう。
1人あたりのGDPでは、ソロバキア、ポルトガル、日本、ポーランド、ハンガリーと並ぶ世界28位だ。これが現実のものになると。
わが国は、まさに「極東の一小国」に落ちこむ。

と警鐘を鳴らしている。

そして、このシミュレーションの結果を踏まえて、報告書では大きく分けて4つの分野で提言を行なっている。

1つ目は人材の分野だ。
女性や高齢者の労働参加を促進したり、教育現場の工夫などを利用して人材の強化を推進し、「全員参加型」の社会をつくること。

2つ目は、経済・産業分野でアジア太平洋地域の活力を取り込み、わが国経済の成長力強化を求めている。

3つ目は、今まで痛みを恐れて先送りしてきた、税・財政・社会保障の改革の早期実行。

4つ目に、日米関係を主軸とした国際秩序の構築。

を提言している。

これらの提言はいずれも、当然と言える提言であり、「誰でもわかっていることを着実に片づけることこそ、わが国にとって最も必要なこと」であると言いたいのであろう。


詳細は
「21世紀政策研究所」より100ページを越える報告書だが是非読んでいただきたい。


さて報告書にあるように「税・財政・社会保障の改革」が喫緊の課題であること誰にも疑いないことだが、これらの課題は、いざとなると既得権益層と迎合したポピュリズム走り、痛みや不利益の調整を避けてきた政治家達に先送りされてきた。

ここに来て、現野田政権は消費税に関しては不人気になることを顧みず不退転の覚悟で取り組むと表明しているのは評価できる。

野党も国を想う政治家として、揚げ足やただ反対だけでなく真面目に早急に審議してほしいものだ。


だが、ここに来てさらに「原子力発電問題」が加わった。

原発休止により年間3,4兆円の借金が嵩み、火力発電による環境悪化問題深刻化などにより
このままではこの報告書より更に最悪な状況の到来が早まるのではないかと思える。


大阪の橋下市長は「原発を止めて困るのは電力業界と経済界だけだ」と言い切っている。

本当にそうだろうか、市長として市民に「安全で安定した、豊かで健全な生活環境」を確保することが責務と思うのが・・・。

電気代値上げもダメ、そして原発再開に無理難題を押し付け一部の人には格好よく拍手喝采かもしれないが、一弁護士の発言ならまだしも270万人もの市民の生活を預かる市長としてはどうかと思う。

このままではこの夏も関西電力管内は電力供給がかなりタイトになると思え、折角上向いてきた受注を如何に品質を確保しながら顧客に満足して貰えるか苦慮する中小の経営者や、子育てや病人の看護を涼しい安定した環境でと願う人は多いはずだ。

急遽稼動させる老朽化でリタイヤした火力発電所の突然の故障による大停電の発生なども杞憂するし、
又、原発をゼロとして化石燃料による発電に切り替えると大気汚染に起因する年間死亡者は3000人も増加する(藤沢数希氏著「反原発の不都合な真実」)との報告もある。

原発をなくせば日本はもっと安全になると考えるならば一方では火力発電による環境汚染による増加するリスクも合わせて考えるべきであろう。

特に政治家にはポピュリズムに走らず国民や市民全体のことを考え合わせ難しく困難である判断、や決断が求められていると思うのだが。


我々国民も感情に走らず、国の将来をイメージし、今、何が必要なのか考えなければならない。


国民も政治家も変わることが出来なければこの報告書に書かれている将来が待っていることを覚悟しなければならない。

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先日、新聞広告のある本のキャッチコピーに

「泣いて笑って、日本と世界の経済がストンと分かる」
「晴天の霹靂で日本初の女性首相となってしまった霧島さくら子。稀代の財政家・高橋是清に学び、経済政策を成長路線へと大転換。次々と大胆な政策を打ち出す・・・・。」

そして
「果して日本は復活できるのか」

とあった。

直ちにインターネットで購入し、即読んでしまった。

購入後未読の本が山積みされている私としては大変珍しいことである。

それだけ、政局のみに走り、自らの票だけを気にし、国家天下のことを考えず、難しいことは後回しにしてしまう現在の政治家達に嫌気をさしていて、フィクションの世界では政治家達はどのように考え、どのように決めていくのかを見てみたく一気に読破してしまったのだ。


その内容は出版社のオフィシャルページによると

混迷の日本。現在と驚くほど似ていた時代があった。
リーマンショック、ユーロ危機VSウォール街大暴落。
デフレ円高不況VS昭和大恐慌。
東日本大震災VS関東大震災。
そして頻繁に失脚する総理大臣…
そんな昭和初期に7度の大蔵大臣と首相として日本を世界恐慌から脱出させたのが、
希代の財政家・高橋是清だった。


不況が続く201X年、大混乱を経て初々しい女性宰相が誕生した。
官邸での就任パーティ。
増税・緊縮財政路線の財務省と成長路線の補佐官との板挟みに疲れた霧島さくら子首相は官邸の庭に出ると桜の下で髭を蓄えた和装の老人に会う。

二人はお互いを知らぬまま政治、経済状況を語り合うのだが、不思議と平仄が合う。
さくら子は老人の確信に満ちた話に感銘を受け、それをヒントに、財務省の筋書きとは違う大胆な経済成長策を打ち出す。

果たしてそれが奏功し、日本はデフレ不況から脱することができるのか。

何度かの邂逅で、さくら子は、老人はもしや高橋是清翁では、と思い始める。ということは…老人は2月26日に大変な不幸に巻き込まれてしまうではないか!どうする、さくら子!


この手の「もし~が~したら」という構成の本は「もしドラ」や「会計士マリの会社救出・・」など読んだが(2010.8.16、2011.10.25の私のブログ参照)構成が奇抜であるが、複雑で難しい事象を分かり易く解き明かし、大変面白くかった。

今回の本も時代を近未来に設定しているが、ずぶの素人の若い女性が首相となる破天荒な構成であるが、現在の経済情勢などは基本的に実態を踏まえおり、具体性があり身近のものとして読むことが出来た。


著者が言いたいことは
日本国首相「さくら子」の就任一年目の衆議院本会議での演説に現されていると思う。
要約すると

「日本政府はこれまで、皆さんを苦しめるような政策ばかりを続けてきました。
国民経済が縮小していく状況で、日本政府は国民所得の減少を引き起こす政策を続けたために、デフレが深刻化した。にもかかわらず、政府はデフレ対策を怠ってきました。
それどころか、増税や公共投資の削減など、デフレを促進する政策を遂行してきた。」

「日本政府の目的は、国民がより豊かに、より安全に暮らすことを実現することである。日本政府はこれまで、この基本的な目的を忘れ、一部の政治家や省庁の自己目的実現のために、歪んだ政策を打ち続けてきました」が、まだ間に合う。

「日本は世界一のお金持ち国家です。対外純資産は世界一、最も成長する可能性を持つ国です。」だからこそ「成長路線に戻ればいいのです」

と言うことで「成長路線」に切り替えることで、日本は世界でいち早くデフレから脱却するのだが・・・


確かに、今問題になっている消費税でも名目成長率3~4%を実現させれば増税の必要がないといわれている。

しかし、問題はいかにして3~4%の名目成長を実現させるかである。

小説のようにそう簡単ではない。


デフレ脱却の重要要素である賃金の上昇にしても新興国の安い賃金と競争しながら製品コストを下げつつ、労働者の賃上げを図ることは容易ではない。

又、実質成長率の引き上げに関しても、人口減少社会に入ってきた日本では労働力の減少が成長へ足を引っ張り、生産性向上へのいわゆる成長戦略は、規制緩和、市場開放、人と技術への思い切った資源配分を実施することであるが、折角人とお金と時間を掛けた開発もすぐ真似され安いものが大量に作られてしまい成長に結びつかない。

このように名目成長率の引き上げは「言うは易く、行うは難し」で実質96兆円の予算で40兆円しか税収がないという異常な財政事情と高齢者の増加による社会保障の自然増が年間1兆円くらい増る現状では、増税無しで済ませられるほどの余裕はないように思うのだが。


私はまず消費税アップ決めながら、成長戦略をいかに描くかだと思うのだが。
消費税反対もいいがはっきりといつまでにの道筋を立てて欲しいものだ。

色々時勢を考えさせられるいい本だ。



「コレキヨの恋文」 三橋貴明 著 小学館 刊 1600円

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