
9月の声が聞こえ始めると、流石に酷暑の連続であった今年の夏も、日々、日差しも少しずつ弱く、吹く風も爽やかになってきた感じがする。
本当に今年の夏は暑かった。
毎日、熱中症の記事が新聞を賑わし、熱中症による救急搬送人数の累計は、5万3千人を超え、80人以上の方が亡くなったという。
高知県四万十市江川崎で最高気温41.0度も記録した。
私が住む神戸も暑い日が続き、8月の上旬のサイパンダイビングから帰国後はダイビングの写真整理やブログの作成もせず、ただ、だらだらと家に篭り気味の毎日だった。
暑い日が続くと生活がだらけ気味となってしまうが、日本の株式も暑さのせいか何かピリッとしない。
お盆休みが終わっても、日経平均株価は長いこと1万3000円から1万4000円のレンジを上にも下にも抜けない期間が続いた。
だが、ここへ来て昨日(28日)のシリア情勢緊迫化による日経平均の200円超の暴落だ。
米国は勿論、アジア、欧州も下がったが日本ほどではない。
日本株はネガティブな情報にいつも他国よりも極端に反応し過ぎているようにしか思えない。
5年前のリーマンショックでも、日本は米国や欧州のように不良債権が少ないから影響が軽微といわれながら、一番の下落は日本だ。
先日5月23日の米国の金融緩和出口を示唆する発言による5.23ショックでも日本株は1100円超えの大暴落をした。
日本株を取り巻く環境は大変いいはずだ。
企業業績は絶好調だ。4~6月期の決算では全体の経常利益がピークだった2007年4~6月期の9割の水準まで戻ってきている。
円安の恩恵を受ける自動車など製造業だけでなく、内需の比重が大きい非製造業も4社に1社が過去最高益であるという。
経済基盤が弱い新興国であればいざ知らず、企業業績が好調な日本株がどうしてこうもネガティブな情報に極端に反応するのだろうかと不思議に思っていたが、28日付け日経新聞電子版に「株価急落を招いた日本人のココロ」と言う記事があった。
それによると
日本の投資家には「底なしへの恐怖、不安」が目立ち、日経平均先物の短期的変動に翻弄され、右往左往するタイプが多く、その結果、プロの投機筋にとって日本は「おいしい」市場となっている。
その理由は
長期投資家の層が薄く、投機筋の売り攻勢に対し、相場の下支え役が力不足なので、容易に売り崩せる。
さらに、日本人の群れたがる本能言える現象なのか、日本市場では一方向に投資家の注文が大きく偏りがちになる。
他人ばかりを気にして、皆が買っているときに自分も買うというスタンスはプロの投機筋の付入るスキを与えるもので、株急落は、要は日本人のココロの中にあると結んでいた。
そんな日本市場に、この秋、世界のマネーも注視する重要イベントが目白押しだ。
まず現在5%の消費税率を来年4月に8%に上げるかどうか10月初めにも政府が決定する。
日経新聞の市場関係者へのアンケートでは96%が消費税上げるべきとの意見だと言うが、
上げれば、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費は打撃を受け、景気回復への期待感は後退するだろう。
上げなければ、格付け会社は日本国債の格下げに踏み切る見通しで、金利は上昇し、日本株、円相場の下落となり、つまり債券、株、円にまたがる「日本売り」になるという。
金利の上昇は、国の借金が1000兆円突破した超債務国としては最も望ましくない状況で世界の投資家からの信頼も失う。
どちらにしても八方ふさがりで「ヘラクレスの選択」と言うことか。
消費税問題と並ぶ政策の関心事であるアベノミクスの「第3の矢」である成長戦略が10月に召集する予定の秋の臨時国会で論議される。
成長戦略を具体化する産業競争力強化法案が提出され、設備投資減税や、激しい抵抗も予想される規制緩和の議論も本格化する。
そして外部要因として、
7日のオリンピック開催国発表も市場へのインパクトは大きい。
又、米国の量的緩和第3弾(QE3)の縮小を巡る思惑も一段と錯綜しており、縮小を議論する注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、9月17~18日に予定されている。
異例の金融緩和の終わりは米国にとっては経済正常化への一歩だが、これにより、米国の金利が上昇すると、世界的に金利に上昇圧力がかかることになる。
日本にとってはつらい話だ。
金利上昇で、日本政府の債務負担はさらに増大することになるからだ。
金利が2%上昇すれば、政府の歳入の80%と同額の利払い負担が発生することになるという。
米ウォール・ストリート・ジャーナルは、日本経済が再生するかどうかは世界経済にも影響するという記事を掲載し、アベノミクスを日本再生への「最高で、たぶん最後のチャンス」と指摘し、「成功で恩恵を受けるのは日本人だけではない」と書いている。
安倍さん、どうか英知と果敢な決断力で日本そして世界を救ってください。