
久しぶりに国内ダイビングに出かけた。
先週の9月20日(金)から9月23日(月)の三連休を利用した三泊四日の短期ツアーだ。
しかし、出発の金曜日は仕事を終えてからも参加できるように神戸を夜の7時半出発だが、現地のホテルに到着するのは真夜中の1時過ぎで、翌朝7時には朝食して8時に現地のダイビングショップに到着するかなりのハードスケジュールだ。
行き先は四国高知県・鵜来島。
高知県の南西部にあり愛媛県に隣接する宿毛市より西へ約20kmダイビングボートで50分のところにある。
4,5km南には沖ノ島があり、共に近伊豆諸島・青ヶ島と同緯度に位置する温暖の島であり、島は太平洋の碧い海に囲まれ、ダイバーや釣り人に人気の場所となっている。
なんと云ってもここの特徴は、日本有数の暖流である黒潮がよく当たる為、南から熱帯性の魚が豊富でサンゴの群生とダイナミックな地形が売りだ。
潮当たりが良いので回遊魚に遭遇する確率も高く、その上、マクロ生物も多い。
更に、ここでは超大物の人気生物、ジンベイ、ニタリ、そしてハンマーヘッドが川となって群れているのが目撃されているのだ。
私の今回の目的は(いつも淡い望みを抱きながら裏切られるのが常であるが・・今度こそはと思いつつ)、勿論超大物に会うことである。
その結果は、3日間とも快晴と穏やかな海況と20mオーバーの抜群の透明度に恵まれるという気持ちのいいダイビングが出来、マクロ好きのチームメンバー達は船に上がってくるたびに、色々のマクロ種の名を挙げ“チョウカワイイ”の連発だ。
一方、私といえば何時も下を見ず上ばかりを見ていたが、超大物(当たり前のことだが)はいざ知らず、大物(カメ、エイは辛うじて見たが)にもみ見放される始末であった。
さて、大物はだめだったが、綺麗な小魚たちに癒されたダイビングの詳細については、撮影した写真をこれから整理して載せる私のホームページに譲ることにし、
ここではダイビングの行き帰りに読破した、最近興味を持っている作家の一人:原田マハ(前回のブログでも触れている「総理の夫」の著者)の新作「楽園のカンヴァス」について述べる。
前にも触れたが、今回のダイビングはショップ主催のツアーで神戸から目的地までマイクロバスの後部席で爆睡付きの超楽チンツアーである。
しかし、眠れず本を読みたくなった時にと用意したのが「楽園のカンヴァス」の電子書籍版である。
普段、電子書籍は利用することはなく、紙の書籍が持つ重量感や鮮やかや重厚な装丁に拘っているのだが、夜間やトンネルが多い高速を走る車の中では電子書籍が勝ると、普段持ち歩くタブレットに前日ダウンロードしたのだ。
暇をもてあまして読み始めたら引き込まれ、行き帰りのマイクロバスでは折角くの爆睡付だったが一睡もせず読破してしまった。
「キュレーター」として働いたことがあり、絵画芸術を愛する著者の情熱が生んだ本格絵画アートミステリー小説で第25回山本周五郎賞を受賞作品でもある。
話の概要は
怪物と呼ばれている謎の大富豪のコレクターが密かにスイス・バーゼルの大邸宅に二人の絵画専門家を招く。
彼はニューヨーク近代美術館(MoMA)所蔵の素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作「夢」とほぼ同じ構図、同じタッチの「夢を見た」という作品を所有しており、その作品の真贋鑑定が依頼目的であった。
そして、彼は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。
期限は7日間。
招待されたのはルソーについては第一級の専門家である、ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンと若き研究家、オリエ・ハヤカワ。
古書には前衛的作風が世間の理解を得られず、貧しいながらに絵を描き続けたルソーの生涯が描かれている。
ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が明かされていく・・・・。
本当に原田マハという人はすごい。
これまでも彼女は2005年に沖縄を舞台にしたラブストーリー「カフーを待ちわびて」以来、女性を主人公として人と人の間に生まれる心の機微を描いてきて読む人に感動を与えてきた。
前回もブログで紹介した「総理の夫」「本日はお日柄も良く」も其の一部だ。
彼女の経歴は、自らの人生を「度胸と直感」だったと言わしめるほど、現代アートに目覚めてから、その積極果敢な生き方で、マリムラ美術館、伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室にそれぞれ飛び込みで職を求める。
森ビル在籍時、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて勤務。その後フリーのキュレーター、
カルチャーライターを経て2005年小説家としてデビューする自ら切り開いた人生だ。
彼女の小説に当分目が離せない。
明日より昔スーキーでよく行った信州へハイキングツアーに行ってきます。
どんな本を持って行こうか悩む・・・・
「楽園のカンヴァス」 原田マハ著 新潮社 1,344円(電子書籍)