
最近、気候の変わり目なのか体調がすっきりしない。
少し風邪気味かなと思っても直ぐ戻るが、再び熱っぽい日が繰り返す。
こんなときこそ読書と、あまり外出もせず、部屋の隅に山のように平積された本のなかから
1冊、2冊と取り出して読んでいる。
私の最近の本の購入はインターネットによるものが多くなっている。
本屋で購入する場合、面白そうな本を見つけても、手にとってぱらぱらと捲って、装丁や活字や値段など内容以外のものを見て購入するのをやめてしまうことが多い。
ネットの場合は殆どが直感だ。
だから失敗も多い。
宅配された本を見て、自分の思惑とチョット違っていると、直ぐ読まず平積みしてしまう。
下のほうに平積みされた本の多くはネットで購入されたもので、中々順番が回ってこないのだ。
しかし、最近はデータ処理技術の進歩のおかげか、私の過去の購入履歴や検索キーワードなどを分析し、私が良く買う著者や趣味の分野の本が発刊されると、私向けに的を絞った広告メールがネットショップから頻繁に送られてくるようになってきた。
好きな著者や、好きな分野の本であるので、ついネットで購入してしまうことになり、ネット購入が多くなるのだが、失敗することは少なくなり、買い損じることもなく重宝している。
このところ、「深海」がブームだ。
今年1月に、NHK が深海に棲む幻の巨大イカ・ダイオウイカの生きた姿を放映されたのに続き、3月には、愛知県の渥美半島沖の海底にあるメタンハイドレートから天然ガスの生産に成功したと報道された。
少し前だが、南鳥島周辺の水深5600mの海底に国内の年間消費量の200年分の「レアアース資源」の発見も大きな話題となった。
この「深海」というキーワードは私にとっては、ダイビングと言う観点意外にも、生物的、科学的、地質学的にも地球の誕生の歴史を紐解く謎が多く隠された、神秘的で冒険的で大いに惹かれるものだ。
さて、そんな中、あるネットショップで「深海」というキーワードで送られてきた書籍広告メールで、購入して、最近読んだ本が次の三冊だ。
「太平洋のレアアース泥が日本を救う」 加藤泰浩 著
PHP新書 780円
「日本の深海」 瀧澤美菜子 著 講談社 刊 800円
「深海大戦」 藤崎信吾 著 角川書店 刊 1800円
の三冊だ。
「太平洋のレアアース・・・・」は東大の加藤教授が書いたもので、ハイテク産業には欠かせないが、中国が独占的に所有していて政治的にも利用され問題となったレアアースが日本の南鳥島周辺の海底でもその巨大な鉱床が発見されという痛快で喜ばしい話だ。
発見に至る経緯、何故南鳥島に、そしてその開発方法について詳しく述べられている。
是非一読して欲しい本だ。
「日本の深海」は著者の前作「深海の不思議」日本実業出版社刊は深海に関する全般をイラストを用い解説したが、本作はより深海の資源と生物に的を絞り詳しく解説している。
日本の領土面積は世界第61位にすぎないが、領海と排他的経済水域(EEZ)を含めた海の面積は領土の約12倍、世界第6位である。
なかでも水深5000mより深い海域の海水の保有体積は世界第1位であり、日本は深海大国である。
この深海に目を向け、4つのプレートが複雑に絡みあって作り出した日本列島の誕生と多様な生物ならびに海底資源について、上記「太平洋のレアアース・・・・」とかぶるところもあるが、著者は科学ジャーナリストという面から大変わかりやすく説明してくれている。
さて、最後の「深海大戦」の著者紹介に「米国の海洋学を学び、広範囲な科学知識と原始アニミズムや神話のモチーフを縦横無尽に駆使し、スケールの大きな作品を発表している」とありこれまた私の興味を抱かせる内容であろうと、即購入したものである。
内容は
日本周辺海域をはじめ、各地で海洋資源開発が進み、その資源が世界のパワーバランスをも左右するようになった近未来が舞台で、海洋エネルギー供給の役割を与えられている、海を生活の場に選んだ海洋民の利害関係の争いを描いたSF。
小説の冒頭はメタンハイドレート採掘基地での突如暴噴大事故の発生だ。
以前にも紹介した「深海のYrr」フランク・シェツイング著(2008年6月23日付ブログ参照)もメタンハイドレートの異常崩壊による大津波の発生だ。
将来の夢ある資源と期待されるメタンハイドレートだが、圧力と温度の一定条件化で存在するため条件が狂うと大事故になる可能性があるのだ。
およそ8千年前ノルウエー沖でメタンハイドレート崩壊によるメタンの大量噴射がおきており、噴出口の痕跡が海底に1千キロメートルに渡って広がっているという。
地球歴史上、過去5大生物絶滅災害があったとされるがそのうちいくつかはメタンハイドレートが起因だとも言われている。
夢ある資源だが扱い方を間違えると取り返しのつかないことが起こる可能性がある。
人類の英知を集めてじっくりと進めて欲しい。