
昨日、日経新聞に最近の世論調査の結果が報告されていた。
それによると
安倍内閣の支持率は1月の前回調査より1ポイント下落の56%でほぼ横ばいで、不支持率は1ポイント上昇の33%。
安倍晋三首相が意欲をみせる法人税の引き下げは賛成が44%で、反対の32%を上回った。
今後の原子力発電所のあり方は「徐々に減らし、最終的にはゼロ」が51%で最多。
ただ1月の前回調査より7ポイント下がった。
2番目に多かったのは「徐々に減らし、ある程度は残す」の30%で前回より9ポイント上がった。「新設も含め主要な電源として維持」が横ばいの5%、「直ちにゼロ」は3ポイント下落の8%だった。
先日の東京都知事選で対応策も今後の日本のシナリオを示すことなく感情的な「原発即ゼロ」を訴えた候補が振るわなかったことと、貿易赤字が拡大し続け、経常収支が赤字になりつつある現状を敏感に感じ取り、合理的な選択肢を選ぶ人が多くなったことを反映しているように思える。
財務省が2月20日に発表した1月の貿易統計では、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆7900億円の赤字だった。
赤字幅は2013年1月の1兆6335億円を上回り過去最大となった。
円相場の下落が進んでも、輸出が伸び悩み、燃料費の輸入金額が増加する流れが続いていおり、貿易赤字は19カ月連続となった。
そのため、輸出入や配当などを通じた海外とのお金の出入りを表す経常収支の黒字が縮んでいる。
日本大震災が起こった11年から大幅に縮小し、13年12月の経常収支は6386億円の赤字と単月で過去最大になった。
赤字は3カ月連続だ。
年ベースでみると、2013年の経常収支黒字は3.3兆円にとどまり、比較可能な1985年以降で最少となった。
13年の経常黒字が前年に比べ約3割細った主因は、前年より4.8兆円も膨らんだ貿易赤字だ。
いつの間にか、日本は輸入大国になってなってしまったのだ。
石油や天然ガスなど化石燃料の13年の輸入額は00~09年の10年間の平均より13.4兆円も多い。
東日本大震災後の原子力発電所の停止が響き、対ドル1円の円安で燃料費は3千億円膨らむ。
大震災以降急激に増えた燃料以外でも輸入比率は高くなっている。
国内の供給量に占める輸入品の比率を示す輸入浸透度を1998年と13年で比べるとスマホなど「情報通信機械」は10%から48%に、衣類など「繊維」で20%から54%にそれぞれ大幅に上昇。
鉱工業全体でも15%から24%に上がった。
工場の海外立地が進んで貿易黒字が減るのは、グローバル化に向き合う先進国の宿命でもある。が、ドイツはこの10年で、日本企業が弱いといわれる「ブランド力や価格交渉力」で新興国との競争に打ち勝って経常黒字を4倍に増やしたという。
企業だけの努力でなく、日本政府一体となり、モノの赤字を特許、実用新案、著作権など、技術や知恵で稼いで補えるかが分かれ目だ。
配当などの所得収支の黒字は、この10年で8兆円増えたが、一方、同期間の貿易収支の悪化幅は20兆円を超す。
2010年代後半に日本が年間で経常赤字に転落するとの見方もあるという。
貿易で稼げず、貯蓄を崩し、財政悪化も続く経常、貯蓄、財政各収支の「三つ子の赤字」に陥り、経済が縮んでいく恐れも浮かぶ。
米国は1992年から、英国は84年からずっと経常赤字が続くが、米英の実質成長率は日本を殆どの年で上回っている。
基軸通貨のドルを持つ米国と、世界の金融市場の中心地の座を保つ英国はお金をかき集める信用を確立し、日本をしのぐ成長を導いてきたのだ。
経常赤字自体は悪いと即断できないというが、経常収支が赤字基調になると、わが国の資金繰りを海外からの資本流入に頼る度合いは一段と高まる。
その局面では、外国勢の日本株投資が売りか買いかで、日本経済が右往左往することになる。
だが、経常赤字が定着し、海外からの資本流入が細っても、日本には12年末で(662兆円の資産に対し366兆円の負債)296兆円にのぼる海外純資産があり、その資産のうち、246兆円は米国債など債券で、それを売ればよいというのだが、そんなことをしたら世界の経済に大破綻が起こることになる。
まずは政府はデフレ脱却と経済再生に一段と本腰を入れ、外国勢の信認をつなぎ留め、それとともに原発再稼働の道筋をつけ、貿易赤字の主因である燃料輸入増に歯止めをかける。
そして、長い目で見た経常収支の改善のために、法人減税や岩盤規制の緩和などで海外投資を呼び込み、企業の競争力を底上げする政策が待ったなしの状況だ。
最近の民意は近未来に起こりうるかもしれない日本の悲惨な姿をいち早く感じ取り、原発の再稼働、消費増税、法人税減税などもやむなしと思い始めているのかもしれない。
何にも変わらないのは何でも反対だけをする野党だ。
票ばかりを気にして、日本弱体化していくバラマキ政策に始終して、民意を反映しているつもりがこのままでは益々民意から離反していくのではないかと思われる。
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