参議院選挙で与党が大敗した。
菅首相が主張した消費税問題が敗因だとして、責任論問題をとやかく言う輩がいるという。
民意を反映した結果が己の意に沿わないから、けしからん、責任問題だというのも我々としても不本意だ。
菅首相が消費税の増税を主張したから負けたといった見方は、民主党以上に増税を主張した自民党が票を伸ばしたことと相いれない。
首相就任から1ヶ月の菅氏の責任だけではなく、昨年の政権交代以降に、極小政党によるモラトリアム法、郵政改悪法などの悪乗りを黙視する統治能力欠如を暴露してしまったことと、
政治と金への不信、経済政策、外交政策の稚拙さが批判されたと考えるべきである。
くだらない党内勢力争いを国政に持ち込まないで欲しい。
日本の財政再建と経済成長の促進は急務である。
先日6月27日、カナダ・トロントで開催されたG20サミット(20カ国・地域首脳会議)は「先進国は経済成長に配慮しながらも2013年までに少なくとも財政赤字を半減させる」ことを明記した。
ただし日本については、唯一その目標達成を強制しない、いわば例外(先進国で無い)扱いとされたのだ。
日本政府が6月22日閣議決定した、財政健全化計画では
「プライマリーバランス(国債利払い費現在で10兆円程度を含まず)の赤字比率(対名目GDP比)を半減する」という目標を掲げている。
しかもその達成時期は2015年度だ。
一方、他の先進国は2013年までに、各年のGDPに対する財政赤字の比率の半減を目指している。
初めから戦う土俵が違うのだ。
それだけ日本の財政状況は他国に比べて悪いこと言うことだ。
先日(7月10日)ある証券会社が主催した投資ゼミナーで講演された榊原 英資氏もこの問題にふれられていたが、
「日本の国債は殆ど国内で消化されており、かつ日本は金融資産が大きく、日本全体で見れば当分は大丈夫」と述べていた。
もう少し、この問題の背景を最近の識者のレポートより調べてみると。
日本は2010年段階で882兆円の借金を抱えている(名目GDP比で180%超え)。
その内訳は、財投債、借入金、政府短期証券、そしてなにより一番大きいのが594兆円の発行残高がある国債である。
では、この国債は誰が買っているかというと、2009年12月末現在の国債所有者のうち「海外投資家」の占める割合は5.2%に過ぎない。
言い換えれば日本国債の94.8%が国内(銀行、生保損保で60%以上)で消化されている。
しかも、日本国内の金融資産は1500兆円近くに達し、現時点では国の借金(国と地方の中長期債務の総額)を上回っている。
つまりは、短期的には日本国債の安定的消化が期待できるわけだ。
しかし、中長期的リスクとして、日本の財政赤字リスクによる長期金利の引き上げ懸念や日本の高齢化が挙げられる。
長期金利引き上げは国債利払い費用を増加させ、財政の更なる悪化をもたらす。
日本の財政が悪化により、国債価格が下落すれば、金融機関の資産が劣化し、その財務内容も悪化する。
そうなれば個人金融資産が海外に逃避することにもなり、
金融機関が従来のように国債を買い支えられなくなり、さらなる財政悪化は避けらない。
一方高齢化については、日本の資産の大半は高齢者が所有しており、高齢化が進むにつれて、貯蓄の取り崩しが進み、貯蓄率の低下更に促進される。
個人金融資産が減少すれば融機関の国債購入原資も減少するから、政府にとって国債のファイナンス(売却、消化)がいっそう難しくなることになる。
さらに高齢化の進展は、社会保障費の支出の増大をもたらす。
医療費や年金の負担増でこのままでは年間約1兆円ずつ財政が拡大せざるを得ないと考えられている。
事態はかなり緊迫しているようだ。
待ったなしの対応が求められている。
それでは今問題とした消費税と財政改善との関連は
政府債務残高の増加を止めるには、内閣府が名目経済成長率を1%台後半と仮定した「慎重シナリオ」では、2020年度にはなお21兆7000億円の赤字が残り、
それを埋め合わせるには消費税率にして8~9%分の財源が必要になるとしている。
消費税率を10%に引き上げたとしても、残りの3~4%分、約7.5兆~10兆円分は社会保障などの歳出カットで賄わざるを得ないという計算だ。
現実的な成長率ゼロ%とすると、政府債務残高の増加を止めるには消費税率は30%程度まで引き上げる必要があるという。
重要なのは「成長率」である。
だが、高齢化、人口減少の下でプラスの成長率を持続的に維持することは並大抵のことでは達成出来る物ではないという。
ここまでにしてしまったのは、代々為政者が問題点を先送りして、
景気浮上にかこつけて、無駄な公共施設作りまくった結果だ。
菅さん、岩手や郵政のおじさんをけちらし、怯むことなく果敢に初志貫徹してこの局面を打開してください。
国民は皆期待しています。
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