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大学の工学部を卒業して、その手の系統の仕事に40数年携わってきた私としては、この年になっても巨大な施設、建造物には興味津々である。

大型台風の来襲により首都圏が水没してしまう災害パニック小説、高嶋哲夫著
「ジェミニの方舟」、を読んで、
小説に書かれていた首都圏外郭放水路にそのときから興味を持ち、
是非一度見てみたいと思っていた。


先日、都合よく首都圏外郭放水路の見学がOKとなったので、東京成田経由のメキシコ・ソコロ諸島ダイビングに行った帰りに見学してきました。

又、明石海峡大橋の主塔見学ついては、毎日橋を眺められるところに居り、いつでも行けると油断して行っておらず、急遽4月末に見学してきました。


さて、まず首都圏外郭放水路であるが、既に多くのメディアに登場してご存知の方も多いと思いますが、
調圧水槽などは「地下神殿」と呼ばれる巨大なものだ。


首都圏外郭放水路は、溢れそうになった中小河川の洪水を地下に取り込み、トンネルを通して江戸川に流す設備だが、

直径30m、深さ60mにおよぶ5本の巨大立坑に洪水を取り込み、
地下50m、6.3kmにわたって走る直径10mの地底トンネルを通じて、
重量500トンの柱が59本も聳えるマンモス調圧水槽(L177xW78xD25m)に導かれ、
そして、最大毎秒200t(50tx4台)の水を排水する14000馬力タービンで放水するなど、
そのすべてが想像を超えるスケールの大きなものばかりだ。


巨大であり、大深度の設備であることより、至る所に日本の土木、科学技術の粋が集められ世界にも類を見ない治水対策設備なっているとのこと。

平成4年に着工され、平成14年から部分的に稼動し、平成18年6月に完成した。

工期14年、工費2300億円。年に5~7回の稼動実績。

過去20年に5回の甚大な水害を発生させてきた地域で、
完成後は大きな水害は発生していないと言う。


始め、首都圏外郭と言う名から、この施設は首都圏全域の洪水対策設備と思ったが、
都心から北へ30km強、埼玉県南東部の春日部市周辺住民322万人の、
中川・倉松川・大落古利根川流域における浸水被害人口約50万人を2万人に減少するための施設だという。

意外と狭い地域のための巨大施設だ。


災害対策設備と言うものは過去の災害発生データーや経済性などを考慮して基本的設計仕様を想定するが、
東日本巨大地震では悉く各設備の想定値を超え甚大な被害が発生してしまった。

今回の設備は雨量毎時60mm、他の河川よりキャパシティーが大きい江戸川に取り込んだ水を放水ができるという条件で作られていると聞く。


最近の局地的豪雨では毎時100mmを越す雨も珍しくない。

いくら流水容量が大きい江戸川といえども、先に江戸川流域に集中豪雨が降り、そして対象地域にも豪雨が発生した場合はどこまで設備は機能するのだろう。

年5~7回の稼動のため、絶えず設備を最善の状態に維持し、現場での部品交換が難しいガスタービンなどは定期的な設備交換の保守が必要だ。

各自冶体が競って作った多くの箱物が維持のための費用や保守のまずさから衰退しているが、

この巨大設備が、ある雨の日ボタンを押したがポンプが稼動しなかったと言うようなことが起きないことを祈るばかりだ。


明石海峡大橋の主塔登頂見学は自宅が近くにあり、建設現場をはじめから身近に見てきたこともあり、大変興味を持って参加した。


確かに聞く橋の主要仕様は吃驚するような数値だ。

中央支間長 1991m。 世界最長。
アンカレイジ重量35万トン。
主塔基礎 水深60m。 サイズ直径80x70m
主塔 高さ300m。重量2万3千トン。
ケーブル延長 30万km。
補剛桁 重量9万トン。


橋の主塔見学は30人ほどの参加者を3班にわけ、
主塔へ橋の袂から約1km 橋桁下部の中央にある床面がグレーチングの通路(工事中は車も通行)を歩いていく。

足元の60m下の海面を見ながら、両脇は隙間が大きなガードレールの通路は始め少し足がすくみ、背筋が涼しくなる感じがしたが、すぐ慣れ普通に歩ける様になった。

主塔頂部へはエレベーターで一分程度。あっという間だ。

主塔頂部は海面より289m。 流石に凄い眺望だ。

この日は雨上がり後の晴天で、神戸市外、関西空港、友が島などかなり遠くまで見通せた。


建設期間 1988年から1998年の10年。 工費約5000億円。

何時も思うのだが、本当に四国への橋が3本も必要だったのだろうか。

今回主塔からの車の通行量は全線で十数台というところか。
開通当初片側3車線一杯に車が溢れていた光景とは雲泥の差だ。

やはり、巨大設備を維持管理するのは大変だ。
毎週3日間を保守点検に当てていると言う。

瀬戸内海に3本もの長大橋を建設して3兆8000億円もの借金を抱え、
民営化に際して1兆5000億円近い税金が投入された旧本州四国連絡橋公団。


税金を国民のために適切に使うのは難しい。

そのためには賢い政治家を選べる賢い国民に我々がなるようにしないとだめだ。