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先日、取引のない証券会社から「JALの株が再上場されますが購入しませんか」との勧誘の電話があった。

既に数社の証券会社に口座を持つ私としては今更取引会社を増やす気はなく、断ろうと思ったが、
「私、今年入社したばかりの新人ですが是非説明だけでも聞いて下さい・・・」と言われ電話を切ることも出来ず説明を聞くことになった。

暇に任せて日経新聞とその電子版を隅から隅まで読んでいる私にとって担当者の説明には目新しいものはなかったが、勉強したての情報を一生懸命に説明してくれた。

もともとJAL株の購入を考えていたこともあり、結局は新人担当者の熱意に負けて、新規に口座の開設とJAL株購入の申込みをしてしまった。


2年ほど前、JALが破綻して、株は100%減資され紙屑(今は電子化され紙屑にもならない)となることになっても、最後は一体どの様になるのか知りたく、私は株を売らず最後まで持ち続けたが、結局無価値となって、葉書一枚の通知さえなかった。


痛い目にあいながら何故叉JALの株なのか?

子供のころ、特に男の子は乗り物に憧れる。
ご他聞にもれず私も乗り物が好きで、中でも自動車と飛行機に夢中だった。

私が子供のころ実家は東京であったが、一般家庭には車などは珍しく、親に車を持った家に連れて行って貰って、車に乗せてもらうのが何よりもの楽しみだった。

大学に入り、まず中古の車を買い、学校へもスキー、海水浴そして新宿、銀座、どこでも車で行き、何しろ運転するのが好きだった。

だが、そのころの車は今と違ってオイルや水漏れ、プラグ調整と色々不具合も多く、暇さえあれば車をとことん自分でいじくりまわして楽しんでいた。

飛行機はその格好のよさに憧れ、乗るチャンスなどはなかったが飛行場で離着陸する飛行機をいつまでも眺めていた。

特にナショナルフラッグ・キャリアとしての鶴丸をつけた世界に羽ばたくJAL機には憧れ、いつか私も飛行機に乗って世界各国に行ってみたいものだと夢見ていた。


やはり子供のころからの乗り物好きの影響からか大学は工学部機械科で就職は関西の製造業を選んでいた。

会社に入って暫くたって株を購入し始めたが、まず買ったのが自社の株とJALとそして自動車株であった。

それから何十年と色々な株を売買したが、その殆どが製造業で上記の業界に関連したものが多い。

だが、何故か最初に買った会社の株だけは、バブルの時大きな含み益が出ていたが売ることもせずじっと保持してきた。

しかし、2年前JALが破綻して株が一方的に消滅してしまったのだ。

子供のころの憧れであり、夢であったJAL。

今ではダイビングで世界各国を廻ることも出来るようになり、子供のころの思いもこめて、今回の再上場にあたり、前は大きな損を蒙ったが、
やはりJAL株のホルダーでありたいと購入を決意した。


さて、JALの株式は9月19日にされるが、予定どおり順調に運べば政府に3000億円以上の利益をもたらすことから、政府が関与した企業再生での最大の成功例といわれる一方、「公的支援が一方的で、不平等な競争を強いられている」と政治家を巻き込んでANAが批判を強めている。

JALの再生は日本経済へのプラス効果と国民の利便性の確保を政府が政治判断して決めたものであるが、民間のスポンサーが現れなかったため、結果的に政府自身が3500億円をJALに出資し、厳しい監視の下で再生を指導することになったのだ。


JAL再生は国民へ不平等ではなく、「ANAにとって不平等だ」ということである。

具体的に「リストラ」「赤字路線からの撤退」「財産評定の見直し」「多大な繰越欠損金の計上」「債権放棄や100%減資」の5つに分けられという。

「リストラ」ついて、
JALは社員の4割にあたる2万1000人を削減し、年金も日本企業最大のOBで30%、現役で50%という削減しており、今では全ての業種でJALよりANAの方が給与は高くなっている。

「赤字路線からの撤退」
JALは赤字路線や事業縮小による路線撤廃したが、この需要がANAへ500~1000億円流入しているとされており、ANAは、むしろJALの赤字路線撤退によるメリットを享受しているといえる。

「財産評定の見直し」「多大な繰越欠損金の計上」
経理上の処理方法がからむ減価償却費低減や企業が赤字を蒙った場合、赤字を超える黒字が出るまでは利益を相殺できる制度でどの企業も利用しているものだ。

「債権放棄や100%減資」
JALは金融機関を中心に5200億円もの借金を踏み倒し、40万人の株主の株券を紙屑にしてしまった。
JALの長年の杜撰な経営が招いたもので、言い訳はできない。


永年のJALファンから見るとANAが言う不平等は羽田の路線拡大への営業活動と見るが、今回のJAL株上場はFaceBook以来の大型で、今後の日本経済の活性化にも大きく影響すると思われのでうまく行って欲しいと願うばかりだ。