7月2日、日本政府が、現行憲法に集団的自衛権が存在していると解釈することを閣議決定した。

 
このことはやっと日本も「普通の国」になったことを意味するのか。
 
世界的に見ると、ほとんどの国が、同盟国や親密国との間で集団的自衛権を持っている。
 
国連においても集団的自衛権は、1945年に署名・発効した国連憲章の第51条において明文化されている権利であり、さらには北大西洋条約機構(NATO)では加盟国は集団的安全保障体制構築に加えて、域内いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦する集団的自衛権発動の義務を負っている。
 
このことは、域内の攻撃された国からの要請で参戦しなければいけない義務があるという強力なものである。
 
 
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一方中立を守っている国として「コスタリカ」や「スイス」があげられる。
 
スイスは国民皆兵を国是としており、徴兵制度を採用し、常備軍は約4000名の職業軍人であるが、徴兵制度により21万名の予備役を確保している(人口約800万人に対して軍人21万人、日本は人口12000万人で自衛隊員約25万人)。
 
さらに、スイスは国際社会に対して「武装中立」を宣言し、侵略者に対しては焦土作戦で臨むことを表明している。
もし国を離れることがあるときは全てのものを焼き尽くし侵略者に益をもたらさないように普段から国民に徹底しているという。
中立平和を守るために不断の覚悟で臨んでいるのだ。
 
一方コスタリカは1948年の憲法により、常設軍を持つことを禁止している。
 
しかし、コスタリカは米州相互援助条約(リオ条約)に加盟しており、これにより同国には集団安全保障体制のバックアップがあるという事を意味している。
また、麻薬取締協定を締約し、コスタリカの強力な武器を保有する警備隊と米軍が共同で取締りを行っており、米軍のコスタリカ領への寄港と領土使用を容認している。

この事は、コスタリカは自国の軍隊は廃棄したものの、国防そのものは集団安全保障及び米軍に担保されているのが現状である。
 
やはり集団的自衛権を持たない国というのは”普通でない”のであろう。
 
おりしも、72日の閣議決定の翌日、中国習主席が韓国を訪問した。
 
今回の訪問は、中国の最高指導者が北朝鮮の前に韓国を訪問するのは1992年の中韓国交樹立以来初めてであるという、その目的は?と大いに注目された。
 
中国の真の目的は、日本は過去の歴史を歪曲していると、事大主義の”強者”に弱い韓国をとりこみ、共に日本を誹謗して、日米韓同盟を破綻に追い込み、最近中国が唱えだした西太平洋を我が物する「新型大国関係」への体制を築くことであろうと思われるのだが・・。
 
日本の集団的自衛権容認に関しても、両首脳は、「各国が憂慮を表明し、日本国民の半数以上が反対している。日本政府は自国民の支持を十分に受けられない政策は控え、平和憲法に合った方向で、透明性を持って進めるべきだ」と述べていた。
 
だが、単独・拡大首脳会談後、続く共同記者会見でも、両首脳が順に会談の結果を説明したが、日本の歴史歪曲に対する言及やが、集団的自衛権容認の非難はなかった。
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これは中韓首脳会談で、第3国である日本に対して過去の歴史を歪曲しているとか、集団的自衛権容認を真っ向から批判した場合の派生する深刻な対日外交摩擦を、米国に北朝鮮の脅威から守ってもらっている韓国が懸念して、対米配慮をしたのではないかという解釈がされている。
 
だがこんな微妙な中韓共同宣言だったが、翌日の4日のソウル大学での習近平の講演は一気にトーンが変わって「反日」に終始した。
 
「二十世紀前半、日本の軍国主義は中国と韓国に対して野蛮な侵略戦争を行った。朝鮮半島を呑み込み、中国の大部分を占領し、中韓両国に塗炭の苦しみを与え、国土を粉砕した。激しい抗日戦争の歳月の中で、われわれ両国人民は生死を共にし、互いに助け合ってきた。」
 
また、習主席は、豊臣秀吉が朝鮮半島に派兵した文禄・慶長の役(1592~98年)に触れ、中韓は「同じ敵を憎み、肩を並べて戦った」と両国の共闘を強調し、現在の日中、日韓関係の対立も念頭に中韓両国民の共感意識に訴えた。
 
そして、来年、2015年の抗日戦争勝利70周年記念を、中韓両国でともに盛大に祝おうと呼び掛けたのだ。
 
 
一国の首席たる人の歴史認識が捏造と悪意に満ちている。
日本は朝鮮に侵略したこともなく、両国民は生死を共にして互いに助け合ったようなこともなく、豊臣秀吉のことまで触れるならば、元寇来襲にもそして20世紀後半に中国が朝鮮に攻め込み何百万人もの一般市民が死亡した侵略戦争にも触れてほしいものだ。
 
流石に中国のメディアも習近平主席の講演内容で日本批判の部分を削除するとか触れないようにしたようだが・・。
 
しかし日本のメディアからの抗議などは見かけない。
 
「嘘も100回言えば真実となる」を実践する中国には明確に反論して欲しいものだ。
 
 
さて、集団的自衛権容認に関して話を戻すと、中韓首脳は「各国が憂慮を表明し、日本国民の半数以上が反対している・・・・」というが、実際に各国の反応の記事を拾い読みしてみると
 
まず中国は
 
1日の中国外務省の定例会見で「日本の政権は最近、歴史問題でもめ事を起こし、かつてない措置を取って軍事安全政策に重要な変化をもたらした。戦後堅持してきた平和発展の道を変えるのかと疑わざるを得ない」と批判した。

 
さらに「中国脅威論を作り出して(日本の)内政の課題を進めることに反対する。日本は中国の主権と国家安全、地域の平和と安定を損なわないよう求める」と指摘。
 
一方韓国は
韓国外務省は1日、「韓(朝鮮)半島の安保や我が国の国益に影響を与える場合、我が国の要請あるいは同意がない限り、決して認めない」との報道官声明を発表した。
 
韓国は日本の集団的自衛権行使を支持する米国の同盟国でもあり、閣議決定自体については「防衛安保政策の重大な変更と見て、鋭意注視している」と述べるにとどめた。
 
だが韓国のメディアは「朝鮮半島に関連した事案については、事前協議と韓国政府の同意が必要だ」(中央日報)、
 
「三権分立の精神が失われた異常な国と言わざるを得ない」と痛烈に批判。そうなれば「日本は今後、国際社会で民主主義国家あるいは法治国家とはみなされなくなるだろう」(朝鮮日報)
など、憲法解釈による日本の集団的自衛権の行使に対して不安を表明している。
 
慰安婦補償や強制労働補償及び盗難仏像返却など国際協定無視や身勝手な裁判を行う韓国に三権分立が失われている異常な国・・・などと言う資格がない。
 
米国は
ワシントン・ポストの社説は、「日本を“普通の国”に変えるための理にかなった道筋」と理解を示している。


 
タイム誌は、「日本に期待されている世界的な役割を考えると、防衛の危機にある国際社会を支援する力を持つべきというのが安倍首相の主張であり、これはアメリカも長年日本に求めてきたこと」と述べている。
 
英国は
フィナンシャル・タイムズ紙は、安倍首相のこうした動きがもたらす「アメリカとの関係のあり方」における懸念に着目している。
 
安倍首相は15日の会見で「日本が湾岸戦争やイラク戦争のような紛争に参加することはない」と有権者にアピールしたが、国民の多くはそうは見ていない、と同紙は伝える。
なぜなら、日本人は自国の指導者がアメリカに「NO」と言えるとは思っていないからだという。
 
集団的自衛権は「日本がより高い自治力を身につけるもの」と安倍首相は位置づけているが、世論の約半分はむしろ「アメリカのより忠実な従僕になるだけだ」と考えている、と同紙は伝えている。
 
どうも中国以外はほとんどの国々みんなが支持してるようだ。
アセアン諸国も集団的自衛権支持して、ロシアも特に反対せず、韓国も日米韓同盟の関係上容認の立場とるであろうから。
 
中国が反対するのは勿論自分の領有権拡大の野望を遂げるのに邪魔になるからに他ならない。
 
本年1月に、中国の政府系新聞「文匯報(ウェンウェイポウ)」は、中国の政治経済発展のテンポがこのまま続けば、近隣諸国との戦争は必要不可欠なものになるだろうとの記事を掲載したという。

新聞の主張では、今後50年の間に中国は、6度の戦争に勝利することになる。

まず最初は2020年から25年にかけての「国民統一のための戦争」で、これはつまり台湾との戦いだ。

これに続くのが、2028年から2030年までのベトナムとの戦争で、スプラトリー諸島に対する支配を取り戻す戦いである。 

その後2035年から40年まで、中国は、南チベットを手に入れるため、インドと戦火を交える。

そして2040年から45年までは「中国固有の領土」である尖閣諸島や琉球を取り戻すため日本との戦争が想定されている(中国紙記述まま)。

またモンゴルが中国との合併を平和裏に同意しなければ、事実上すぐさまモンゴルは中国の攻撃を受ける事になる。

こうした一連の軍事行動は、ついにロシアとの大規模紛争勃発をもって終了する。
その時期は、2055年から2060年とされている。

【中国の侵略戦争計画】
2020
年~25年・・・台湾を植民地化。
2028
年~30年・・・スプラトリー諸島を侵略ためにベトナムと戦争。 
2035
年~40年・・・南チベットを侵略するためにインドと戦争。
2040
年~45年・・・尖閣や琉球を植民地にするために日本と戦争。
2040
年~45年・・・中国との合併に同意しなければモンゴルと戦争。
2055年~60年・・・ロシアと戦争
 
こんなことを考えている中国は日本の今回の集団的自衛権容認は目の上のたん瘤になるのだが
 
日本国内は一枚岩ではない。
 
日本の一部(大声で騒ぐので多く見えるが)の人たちは、何もしなくても、昨日も今日も平和だったから明日も平和であるはずだと信じているのだ。
 
中国や韓国が日本の集団自衛権容認を「日本国民の半数以上が反対している・・・・」といっているが、あるメディアの世論調査では確かに事実であるが、一方で他のメディアでは真逆の結果となっている。
 
 
この現象は外国でも奇妙で不思議がられている。
527日の「BLOGOS」で
集団的自衛権、産経「7割賛成」、毎日「4割賛成」…なぜここまで違う? 海外紙の疑問」
という記事が掲載されていた。
 
これによると「公平な世論調査すら困難」として、
 
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、このような意見のわかれるトピックでは、そもそも世論調査を中立な方法で行うことすら難しいようだ。
 
例えば日経新聞の調査では、47%が集団的自衛権の行使に反対、37%が賛成
毎日新聞の調査でも54%が反対、39%が賛成と比較的近い結果がでている。
 
しかし保守的な産經新聞の調査では、「全面的に賛成」と「必要に応じて最小限の使用に賛成」をあわせた約70%を賛成派が占めた。
 
やはり保守派である読売新聞でも、同様の結果が得られたという。
 
実は、日経と毎日の両新聞とも、回答者の意見を聞く前に「現在の憲法解釈は集団的自衛権を禁じている」ことを説明しているという。
 
そして産經では読者の回答を求める前に「日本は集団的自衛権を持っている」と説明しているのだ。
このような調査ゆえ、日本のメジャーな新聞でも結果に大きなばらつきがでる、と同紙は指摘している。
 
ちなみにNHKの調査では、回答者の30%が賛成、27%が反対、37%が「どちらともいえない」を選択したという。
 
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アンケートはある恣意を持って行うと結果をある程度誘導できることなのかもしれないが、
この結果から見ると多く(?)の日本人がこのままでいい「憲法9条が守ってくれる」と考えているのであろうか。
 
 
この先50年の野望にむかって着々と既成事実化を進めている中国に、
 
ただ「憲法9条」を固辞して何も対抗策も講じず、いざという時が来たときは水戸黄門のように御印(憲法9条)を示せばすべてが解決すると思っているのであろうか。
 
これではやはり日本は特殊な国だ。
 
私は隣に野望を抱く国があるならばまたは野望を抱く国が出ないように、
50年先、更に遠い未来の日本の子孫の幸福で平和であるためにも、
抑止効果を発揮させる手段を講じる「普通」の日本であって欲しい。
(写真等は全てインターネットより拝借しました)