先日(1月10日)高齢者運転免許講習会なるものを受講してきました。
私は4月9日で満75歳となり、従い免許証の更新期間は3月9日~
5月9日となるが、誕生日の5ヶ月も前に「講習予備検査(認知機能検査)、高齢者講習のお知らせ」なる葉書が届いた。
受験内容は講習予備検査(記憶力・判断力の検査)、高齢者講習(安全運転の知識等・適性検査器での指導・実車による指導)で所要時間が合わせて3時間、費用が5,850円(高い・・)だという。
そして葉書には「今すぐに近隣の自動車教習所に予約しないと更新できなくなる場合があります・・・」と大きく朱書きされていた。
直ぐ近くの自動車教習所に電話したら、最早で2ヶ月先の1月10日に一人分空いているとのことで「お願いします・・・」と予約した次第であった。
最近の少子化の影響か、運転免許を取得する人も減少気味で自動車教習所も暇になりつつあると聞く中で、この繁忙を見ると、高齢者講習が何か業界ぐるみの策のような感じがするのだが。
さて、講習内容とその結果は後で記述するとして、今回の講習で初めって詳しく知った新高齢者講習制度なるものをまず紹介します。
これは平成27年6月17日に公布され、2年以内に施行されることになっていた改正道路交通法が、平成29年3月12日に施行されることになったもので、そのポイントは
1)準中型自動車免許の新設─車両総重量3.5トン以上、7.5トン未満
2)高齢運転者への臨時認知機能検査と講習の実施である。
高齢者にとって運転免許更新手続きの流れがが益々複雑でわかりにくくなり、かつ、それに必要となる講習費用、時間また講習内容も記憶能力を検査されるという、実質的にも神経的にも多大な負荷を与えるようなものなって来た感じだ。
新高齢者講習制度の流れを図にて説明すると、今までは高齢者講習は更新時のみでしたが、今回の改正後は免許更新後も臨時の認知機能検査(正式名は「講習予備検査」)や高齢者講習を受講する可能性があるということだ。

道路交通法改正後の複雑な高齢者講習(免許更新前) 警視庁HPより
改正後は75歳以上の人では認知機能検査の結果で大きく流れが変わる。
認知機能検査の結果通知書には
76点以上(第3分類):記憶力・判断力に心配のない者
49点以上76点未満(第2分類):記憶力・判断力が少し低くなっている者
49点未満(第1分類):記憶力・判断力が低くなっている者
又、49点や76点は認知機能検査結果と認知症専門医による診断結果との関係を統計的に分析して定められたもので認知症の診断を行うものでないと書かれていた。
76点以上の第3分類の人は75歳未満の人と同じ手続きで免許が更新出来るが第2、1分類の人は「高度化講習(個別指導60分が追加)」を受けて免許更新が出来る。
但し、第1分類の認知症のおそれがある人は、後日、臨時適性検査を受け又は医師の作成した診断書を提出するものとされ、検査結果等により認知症と判断された場合は、運転免許の取消し又は停止となるとのこと。
強制的に免許の取り消しが出来るのだ。
だが、今回の改正の目玉は免許更新後にある。
免許更新から次の更新まで3年であるが、その間に認知機能や運転操作機能低下になった人を拾い出し運転事故発生を未然に防ごうとするものである。

道路交通法改正後の複雑な高齢者講習(免許更新後) 警視庁HPより
臨時認知機能検査制度が新設されている。
75歳以上(免許更新時75歳未満でも一定の違反行為をした時75歳以上は含む)の人が認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為をした場合「臨時認知機能検査」を受診することを義務付けている。
この検査は免許更新時に受けた「認知機能検査」と同等ものであるが、その検査結果が更新時に比較して低下しているか、いないかを見るものである。
認知機能が低下していない第3と第2分類の人(前回の認知機能検査と比べて認知機能が低下していない場合)は、そのまま免許が継続される。
以下のパターンの人が該当する。
第3分類 → 第3分類
第2分類 → 第3分類
第2分類 → 第2分類
第1分類 → 第3分類
第1分類 → 第2分類
次に
認知機能が低下している第2分類の人(前回の認知機能検査と比べて認知機能が低下している場合)は、臨時高齢者講習の対象となり、この講習を受講すれば免許が継続される。
臨時高齢者講習を受講しなかった場合は、免許取消・停止の行政処分となる。
以下のパターンの人が該当する。
第3分類 → 第2分類
免許更新時第2分類で臨時検査も第2分類で変化なければそのまま免許は継続されるが、更新時第3分類の人が第2分類になったら臨時高齢者講習の対象となるのだ。
これは免許更新時と比較して認知機能が低下しているという結果を重視しているのだ。
第1分類の人
第1分類の場合は、認知機能が低下しているかしていないかに関わらず臨時適性検査または医師の診断を受ける必要がある。
臨時適性検査または医師の診断を受けない場合は、免許停止の行政処分の対象となり、また、認知症だと認められた場合は免許取消・停止といった行政処分となる。
認知機能に関する評価によって厳しい行政処分がなされるようになっている。
さて、臨時認知機能検査受けることになる一定の違反行為(18基準行為)とは、認知機能が低下すると、信号無視、一時不停止、運転操作不適などの危険な行動の割合が高くなるとされており、認知機能が低下したときに起こしやすい違反を一定の違反行為(18基準行為)といっている。

臨時認知機能検査の対象となる18項目の違反
具体的な内容は警視庁HPを参照下さい
益々煩雑になって来ているし又この違反はスピード違反や駐車違反と違って物的証拠が残らないし、警官と運転者とで「やった」「やってない」との言い合いになりそうだ。
どこまでうまく運営できるか疑問だし、現場の警察官もかなり神経を使うことになりかわいそうな気もする。
さて、それでは私の「認知機能検査」と「高齢者講習」のテストの結果はどうだったかというと、最近人の名前は忘れ、いつも探しものをし、簡単な漢字も書けないことが多くなり、実は今回この「認知機能検査」が一番心配だったのだ。
検査の内容は、4イラスト/組のスライドを1イラスト毎に「これは武器の大砲ですね」「これは楽器のオルガンですね」・・・との説明付きで次々と4組合計16イラストを見せられた後、ハイ、記憶してくださいと言われて2分後ぐ空白を起き、その後別のテストで気をそらされた後、先程の16のイラストの名前を思いつくままで記入するテストと、武器はなんでしたか?などヒント付きで16のイラストを思い出すテストがあった。
一旦別のテストが入り、記憶が飛んでしまうので中々難しい。

警察庁のHPに使用する4種類の問題が掲示されている
公開されているのはインターネットで調べて4種類全部
覚えられる人は検査に十分合格出来る人だからだという
私は不思議とヒントなしで16枚、ありでは勿論16枚名前を書き込みが出来た。
しかし結果はヒントなしでは思いつくまま書いたため一枚ダブリがあったようで正解15枚、ヒントありは16枚であった。
その他、受験日の年、月、日、時、分と現時刻をイラストで書きなさいという問題であったが、全く心配なく解答出来た。
最終結果は98点の高得点で76点以上の「記憶力・判断力に心配ありません」の第3分類となったが、満点の人は少なく98点は素晴らしいと褒められた。
しかし、後で配分点を見ると、受験日と時計の問題で38点貰え、イラストで32枚中5枚名前を思い出せば49点以上となり第2分類となり「高度化講習」を受講する必要はあるが免許は更新され、それほど難しい検査ではないと思った・・今の状態であればだ。

講習予備検査(認知機能検査)実績 第一分類者は平均で2.1%ほどだ
「高齢者講習」では運転適性検査、視野角等検査、実車運転のテストがあり、
運転適性検査では同世代との比較で「普通」、かつ30~59歳との比較でも「普通」との評価で褒められ、又実車運転でも「指摘することはありません、見事です」との評価だった。
視力等の検査では視野は75歳平均に比較して「優」、動体視力は「普通」、夜間視力は「劣」だった。
5年前から始まった白内障の影響で光線を直視すると眩しくなり全体が見えにくくなっているためだと思うが、毎月通う眼科の医者は白内障の変化はなく軽微なので手術は必要なしと言われているのだが・・・。
認知機能や操作機能など今のところは問題なさそうで安心した。
しかし、本当に、今のところだ、いつもっと衰えて来るのかわからない・・・。
このように面倒で複雑な高齢者向けシステムを作ったのは、勿論高齢者の運転事故が急激に増えてきているめだ。

しかし、15年に起きた死亡事故のうち75歳以上の運転者による割合は12.8%(458件)。
件数は横ばいだが割合は10年に1割に達し、その後も上昇傾向にある。16年も11月末までで13.6%を占めており、横浜市で軽トラックが集団登校の列に突っ込み小学生の男児が亡くなるなど深刻な事故が相次いだ。(警察庁発表)
(図 日経新聞より)

高齢者(65歳以上)の交通事故死者は横ばいだが比率は上昇している

高齢者・75歳以上の交通事故死者数が上昇傾向にある
ただ、警察庁の交通事故統計を「運転免許を保有する人10万人あたりの死亡事故の件数」でみると、「16~24歳」は5.82件に対し、「65歳以上」は4.58件で、「65歳以上」のドライバーより「16~24歳」のほうが高かった。
しかし、急速な少子高齢化で、いまや日本の総人口の27.3%にあたる3461万人が「65歳以上」だ(総務省の人口推計、9月15日現在)。
警察庁によると、免許を保有している「16~24歳」の若者は573万人で、全体の7.0%にすぎないが、その一方で、「65歳以上」のドライバーは、この10年で約730万人増えて、1710万人となった(2015年12月時点)。
免許保有者全体の20.8%を占めている高齢者のドライバーは今後ますます増えることが見込まれ、事故率が多少低くても、高齢者の交通事故が目立つのはこうした背景もある。

2005年より2015年では全年齢層で減少しているが
高齢者層及び若年層の比率が高い
高齢者には3年毎の免許更新時や軽微な交通違反時に厳しい制度を強いられるが、更新や講習と費用も費やす時間も馬鹿にならない。
しかし、ヨーロッパなどでは生涯免許証の更新がないところもあるという。
チョット調べると
イギリス,
運転免許は70歳まで有効で、70歳のとき、もし、病気や怪我で運転免許を持つことが不都合な場合には自己申告する義務を生ずる。
ドイツ
運転免許証は更新なしで無期限だったが、2013年1月にEU基準への改正で15年となった。
スウェーデン
イギスとはほぼ同様の更新システム。
ベルギーやフランスは生涯免許。
米国
州によって免許制度が大きく違うが、ニューヨーク州では8年で満期。
こう見ると日本の運転免許更新期間が3or5年そして高齢者用プログラムを持っているのは特異なのだろう。
だが、ヨーロッパの国々も高齢者を含めて交通事故の増加に悩まされて現状の運転免許システムの改良を模索していると聞くが・・・。
随分前だが、仕事で中年のドイツ人と付き合ったことがあるが、20歳ぐらいの青年の写真を貼った免許証を見せてもらい吃驚したことがあったが、生涯免許は面倒が無くて魅力的に感じた。
日本は高齢化の進みが早いがために厳しい運転免許システムを先駆けて実践しているということなのか。
いずれにしても、認知機能検査も運転操作機能も問題なしという評価なので気分よくして、今年はダイビング初めて15年目になる集大成の年として今までに行ってない所、もう一度行ってみたいところなどどしどし行きまくろう!!。
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