ながい年末、年始の休みもあっという間に終わってしまった。
 
しかし、この間日本が休みに入って居る間に世の中の動向は大きく変わた。
年末時点では多くの経済アナリストが15年の経済見通しを底抜けに明るく見ていたのが、年が明けると悲観的ムードに一辺に急変した感じだ。
 
私自身も15年の仰天予想に「日経平均株価が3万円・・」なる記事を見つけ、前回のブログで紹介したが、そんな甘い感触を吹き飛ばすように、年明け以降の日経平均株価は急激に下落して始まった。
 
年明けの59日の世界の株式市場では、欧州中心に株価下落が目立った。
下げ止まらない原油価格とギリシャの政局混迷を発端とする欧州経済懸念が投資家心理を冷やし、運用リスクを避ける動きが優勢だったと日経新聞の記事にあったが、
 
日経平均はこの間1.45%の下落だ。
主要25カ国・地域のうち、下落率が4.98%と最も大きかったのはイタリアでフランス(1.72%)も日本の下落率より大きかったが、ドイツ(1.19%)やロシア(1.02%)は日本より下落率は小さい。
 
主要25カ国・地域で日本は下から5番目だ。
 
14年末にはWTI(ウエストテキサス・インターミディエート)の原油価格は1バレル50ドル台前半まで下落し、年明け後には50ドルを切った。
 
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                    WTI 原油価格の推移(Wikipediaより) 
 
このことより、資源国のロシアでは経済危機となっており、一方日本はこの地合いが一年続けば20兆円の所得が日本から流出せずに済む勘定となり、このことは日本の国内総生産(GDP)を約4%押し上げるという。
 
企業の業績はかなり向上が予想され、3月期末には多くの企業が上方修正するものとみられている。
 
なのに、こんないい状況が予想されるのにもかかわらず、又、欧州経済懸念や原油価格低下の震源地でもないのに、いつも日本の株価の下落は震源地の国々より大きく反応する。
 
それにしても、どうして日本の株式市場はいつも外的なネガティブ情報に過剰反応するのだろうか。
国民性なのか・・・・。
 
海外の短期筋は原油の急落により原油先物売買で大きな損を抱え、その穴埋めのために高値圏にある日本株を売っていると云われるが、それだけではないような気がして仕方がない。
 
長期間株のホルダーの私としてはダダじっと耐えるしかないのだろうが・・・。
 
 
さて、15年は株式市場の波乱の年明けとなってしまったが、私自体は、高額で混雑する正月休みのダイビングもさけ、繰り返し来襲する寒波で初詣も行かず、自宅でただのんびり過ごす極上の休暇であった。
 
ただ、家で過ごすにしても、いつもながらの低俗で安上がりな年末年始のテレビ番組は見る気もせず、結局は買い置いた本を引っ張り出して読み漁る読書三昧の休暇となった。
 
 
この休み中に読んだ本を順に紹介すると
 
 
○「血の福音書 上下」 ジェームス・ロリンズ&レベッカ・キャンドル
  オークラ出版  上:759円、下898(各税抜き)
 
○「聖十字架の守り人 上下」 マティルデ・アセンシ
  オークラ出版  上:741円、下759(各税抜き)
 
○「インフェルノ 上下」 ダン・ブラウン
  角川書店   1800(上下とも各税抜き)
 
○「土漠の花」   月村了衛  幻冬舎 1600(税抜き)
 
○「沈みゆく大国アメリカ」  堤 未果 集英社新書 720(税抜き)
 
○「ジェファーソンの密約 上下」 ジェームス・ロリンズ
  竹書房文庫   700(上下とも各税抜き)
 
 
約二週間の間に読んだ順に記載したが、やはり西洋の古代歴史&謎解き&アクションの読書傾向は全然変わていない。
長期休みということで硬めの長編ものも用意したのだが手に取るものは読みやすい軽めのものになってしまった。
 
 
少しずつ順に内容を紹介してみると
 
○「血の福音書」は
ジェームス・ロリンズとレベッカ・キャントレルが組んで新しくスタートさせた血の騎士団シリーズの一作目のものだ。
 
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ジェームス・ロリンズのシグマフォースシリーズは科学・歴史・アクションをキーワードにしたもので殆どものを読んでいるが、新しい血の騎士団シリーズはヴァンパイヤもので何百年も生きてめっぽう強い神父ルーンとアメリカ陸軍のジョーダン軍曹、美人の考古学者エリンが主役なのだ。
 
出だしは西暦73年、ユダヤ戦争の最後の舞台となった、イスラエルのマサダ(サロメの話で有名なヘロデ王が本格的に要塞化した)がローマ軍に包囲され、ここに立て籠もった千人を超すユダヤ人が集団自決を遂げるが、この岩山の地下で秘密の儀式が執り行われ、石棺に石板と少女が封印されるというところから始まる。
 
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これが現在になり、マサダに地震が起き、その地割れで長く隠されていた秘密のトンネルが発見される・・・。
 
それから血の福音書を巡って血みどろの戦いが始まるのだが、良いヴァンパイと悪いヴァンパイヤがいて、良いヴァンパイは人間と一緒に戦うという設定がどうも私にはしっくりこない。
シグマフォースシリーズの方が好きで、こちらに精力をつぎ込んで欲しいものだ。
 
 
次の
○「聖十字架の守り人」は
作者はスペインのジャーナリストで作家であるマティルデ・アセンシで、本国では冒険小説の女王と呼ばれており、本作品は150万部の大ベストセラーとの売りこみに惹かれ購入したものである。
 
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コンスタンティヌス1世の母ヘレナが326年にエルサレムを訪れ、当時のヴィーナス神殿でキリストが磔刑となった時の十字架と聖釘などの聖遺物が発見されたが、早い時期から各地に分散されてしまった聖十字架を巡る話である。
 
あらすじは
修道女でバチカンの秘密文書館の研究者であるオッターヴィア、スイス衛兵のロイスト大尉、考古学者のファラグが主人公で、バチカンに命じられて死んだエチオピア人の全身に散らばる奇妙な傷を調べていくうちに、聖十字架の木片の盗難事件へとつながったが、
しかし、誰が、なんの目的で聖異物を奪っているのか。
難解な謎に次々に直面するオッターヴィアたち三人は、ダンテの「神曲」が暗号文だと気がついた。
煉獄篇に書かれる七つの大罪の贖罪が謎を解く鍵だと解釈し、忌まわしき罪で知られた七つの都市で、七つの試練に直面することになった・・・・。
 
ダンテの「神曲」に書かれている文章が鍵となって、七つの都市に仕掛けられた謎をひとつづつ解き明かすスタンプラリーで七つのスタンプが揃った暁には・・・・。
 
荒唐無稽な話だが、キリスト教になじみのある人にキリスト教にまつわる歴史等にも触れており興味深いのであろうが、私共には今一つピンと来ない。
 
正・悪が入り乱れてのアクションものではなく、又、39歳の修道女が初恋に陥り悶々とするのような設定は流石女性作家だと思うのだが、やはり今一つインパクトが感じられない。
 
 
次に読んだのが
○「インフェルノ」だ。 
 
ダンテの神曲をテーマにした「聖十字架・・・」を読んで、一年前に購入した、同じく神曲を扱ったダン・ブラウンのインフェルノを思い出し、山積みの中から引きずり出して読んだものである。
 
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ダンテの神曲は地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩であるが、「インフェルノ」は地獄篇をテーマにしている。
 
「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」「ロスト・シンボル」に続くハーヴァード大学のラングドン教授を主人公とした第4弾である。
 
 
あらすじは
 
ラングドンが目を覚ましたのは、イタリアのフィレンツェの病院で、頭に怪我しており何故ここに居るのか記憶がない。
やがて、病院に武装した襲撃者があらわれ、女性医師の手引きでなんとか病院を脱出する。
ポケットには高性能のバイオチューブがあり、プロジェクターが埋め込まれていた。
映し出された画像はダンテの神曲へのオマージュとして書かれたボッティチェッリの 「地獄の見取り図」であった。
だが、そこには原画にはない暗号のようなものが描き込まれていた。
 
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こうして、ラングドンと女医シエナは神曲の叙事詩やボッティチェルリ作の「地獄の見取り図」を鍵に、執拗に追いかけて来る敵から逃げながら、何故追いかけられるのか?、敵は誰なのか?何故記憶喪失になったか?を解き明かすため、歴史的な建築や美術、文化のシンボルを巡って行く。
 
実は、裏には、世界の人口過剰問題を憂慮した大富豪で生化学者が仕掛けた世界を破滅へ導く罠であったのだ・・・・。
 
 
ラングトンシリーズの前三作と比較すると歴史的建造物や美術品に対する薀蓄はかなりのもので、特に日本人観光客のお好みのポイントが多く出てくるため楽しめるがアクションや謎解きという面から見ると少し物足りないと感じる。
 
しかし、流石に世界のダン・ブラウンである。
上下巻合わせて700ページ弱を飽きさせずにグイグイと引き込まれてしまった。
 
 
さて、次は
○「土漠の花」 である。
 
新聞広告で「感動と興奮!いま最も評判の男泣き小説! 一気読み必至!」 などの宣伝文句につられてインターネットで購入したものであるが
 
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確かに、朝から読み始めて昼食時間を除き夕方までに350ページを一気読みしてしまった。
海外ものを読むことが多い中、登場人物のカタカナの名前や同時並行するストーリーで中々頭に入らないことが多いが、本書は場所こそソマリアの外地だが、ソマリアに派遣された自衛隊の中から、米国の墜落ヘリの捜索、救援のために構成された陸上自衛隊の精鋭12名達が遭遇する課題発生から解決までの一直線だから大変読みやすい。
 
あらすじは
裏表紙に書かれている概要では
 
ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。
その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、自衛官たちの命を懸けた戦闘が始まった。
一人の女性の命を守ることは自分たちの国を守ることであった。
絶え間なく降りかかる試練、窮地、そして仲間を守るため、国を守るためにと一人一人と死んでいく仲間たち。
極限状況のなかでの男たちの確執と友情そして人間としての誇り・・・。
 
実戦経験のない自衛官達が窮地に陥った時、生きるため、仲間を救うため、そして国を守るため、自己犠牲もいとわず、多勢に無勢な戦いにい挑んでいく。
どう考えたって荒唐無稽でしらけてしまいかねない展開なのだが、先へ先へと駆り立てていく手法は見事だ。
 
ストーリーが簡単であるがため、その状況に没入することになり久しぶりに目頭が熱くなった本だ。
 
 
さて次なる本は
○「沈みゆく大国アメリカ」 堤 未果のアメリカシリーズの「医療編」だ。
 
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Book Data
アメリカ版・国民皆保険の呼び声高い「オバマケア」。
夢の医療保険制度改革は、「1%の超・富裕層」が仕掛けた、壮大なる「罠」だった!
史上最強の超大国をもゲーム上のコマとしてしまう「1%の超・富裕層」は、これまでに、石油、農業、食、教育、金融の領域で、巨万の富を蓄積してきた。

 
恐るべきことに、次のターゲットは、人類の生存と幸福に直結する「医療」の分野だった――。
米国の医療費は総額28兆ドル(300兆円)
製薬会社と保険会社、そしてウォール街が結託する「医産複合体」は、病気を抱えるもっとも弱い立場の人々をカモに、日々、天文学的な収益を上げつづけているのだ。
そして、その巨大な波は、太平洋を越えて日本に達しようとしている! !
 
とある。
 
アメリカの行き過ぎた市場主義が自国民の生活や命を奪うことになっても利益のために邁進し、これらの利益を上げる企業、団体、個人が政治や制度を都合の良いように変えて行くから貧困層のさらに被害は大きくなる。
 
 
日本は「皆保険制度」で憲法25(生存権)に基づく社会保障の一環として行われ、その根底には「公平平等」という基本理念が横たわっている。
一方アメリカでは、医療は「ビジネス」という位置づけだ。
 
自由主義とか先進医療への促進がしやすいとか御託を並べても、国民の「いのち」が、憲法で守られるべきだという日本と、医療が市場に並ぶ「商品」の一つというアメリカでは全く違った展開となるのだ。
 
 
鳴り物入りで始まった医療保険制度改革「オバマケア」は、恐るべき悲劇をアメリカ社会にもたらした。
「がん治療薬は自己負担、安楽死薬なら保険適用」「高齢者は高額手術より痛み止めでOK」「一粒10万円の薬」「自殺率一位は医師」「手厚く治療すると罰金、やらずに死ねば遺族から訴訟」。
これらは、フィクションではない。
 
筆者は具体的な事例を挙げて現在のアメリカの、完全崩壊した米国医療の実態とその背景を、入念な取材により炙り出し手いる。
 
日本に居ると誰もが、どこでも、同じ医療、同じ金額で受けられる。
これは国が医療費、薬剤費を統一管理しているからだ。
 
これが「ビジネス」となると病院は儲からない医科は撤退し、お金の無い人は診察しない、薬剤はお金を払う人がいる限りいくらでも高くできる、本当に一部の恵まれた人への医療となってしまう。
 
WHOが絶賛し、世界40か国が導入する日本の医療制度。
時代の流れの中、様々な変化と共に個々の問題は出ているが、時の厚生労働省や医師会、心ある人々によって守られてきたこのコンセプトは私たちの日本が持つ数少ない宝物の一つなのだ。
 
と筆者は結んでいる。
 
アメリカを好き放題にして力をつけたゲームプレイヤーは次に狙うは40兆円となろうとする日本の医療だ。
 
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筆者は続編として「沈みゆく大国アメリカ ~逃げ切れ!日本~」を執筆予定しているようだ。
出版されたらさっそく読んで本編と合わせてもっと本件を勉強してみたいと思います。
 
 
さて最後は
○ジェームス・ロリンズ 「ジェファーソンの密約」 だ。
 
作者のシグマホースシリーズの7作目に当たるもので、今回はアメリカ建国の父と称されるトウマス・ジェハーソン、ベンジャミン・ブランクリンとアメリカ先住民との関わりやアメリカ独立に際して先住民が果たした役割などが歴史的背景で、科学的側面はナノテクノロジーを扱っている。
 
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いつもながらの、歴史的事実×科学的事実×謎解き×アクションというストーリは読み応えがあって楽しい。
 
あらすじは
 
アメリカユタ州で起った謎の爆発。それは周囲を砂へと変化させながら火山の爆発を誘発してしまう。
シグマフォースの長官ペインターは現場の教授らとともに爆発の謎を追う。
一方、ピアース隊長と暗殺者セイチャンはテロ組織ギルドの正体を探るため国立公文書館で調査をしていた。

上下巻をかけて暴かれていくアメリカ建国の謎、建国の父ジェファーソンと先住民との関係は?爆発の真相と古代のナノテクノロジーとは?
世界の滅亡を救うタイムリミットは2時間!!

いつもながらのハラハラ、ドキドキのアクションと最新の兵器、そしてテクノロジーが満載だ。
 
7冊目で登場人物は大きく変わらず、ストーリーの展開も同じパターンであるがいつも新しい歴史的事実とテクノロジーに魅了され一気読みしてしまう楽しい本だ。
 
 
以上、長々と最近年末・年始に読んだ本の説明を書きましたが、最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。
 
今年も良いお年であるよう祈願しております。