先日(11月3日)コロン島のダイビングより無事帰国したのですが、その後ゴルフとか一泊二日の大和路への小旅行があり中々ブログを書く暇がなく大変遅れてしまった。
今回のコロン島ダイビングは沈船ダイビングと多くの島々が入り組んだ静かな美しいコロン湾の景色を堪能する事と、マニラで2泊ほどして友人と旧交を温めることが大きな目的だったが、もう一つ、今緊張する南シナ海に面するフィリッピンの島々の現地の様子なども大いに興味があった。
コロン島があるカラミアン諸島は、パラワン島の東のスールー海にあるクヨ諸島、カガヤン諸島共に、ルソン島の南西、ミンドロ島とマレーシアのボルネオ島の間に位置する全部で1768もの島々のパラワン諸島の北端部に位置している。
なんといってもこのパラワン諸島は北端のカラミアン諸島からパラワン島の南端まで650Kmの西側全沿岸が南シナ海に面している。

パラワン諸島のマップ
中国が南シナ海の九つの島々を破線で結び、その囲まれた区域を勝手に領有権を主張する「九段線」がパラワン島の軒先を通っているし、今緊張が高まっているスプラトリー諸島(南沙諸島)も、そして米軍がフィリピンから撤退したどさくさに中国が実効支配してしまったミスチーフ礁もパラワン島からほんの200kmの位置にある。
既に承知のごとく今、中国が領有権を主張する「九段線」の中で2012年ごろから南シナ海の岩礁、ファイアリクロス、ミスチーフ、スービ、ジョンソン、クアテロン、ガベン、ケナンの7カ所を埋め立て、人工島を造ってきた。

南シナ海 中国の環礁の埋立 日経新聞より
2015年に入って埋立や設備建設を加速させ、今では、これらの多くに5,6階建てのビルやヘリコプターの離着陸台を設け、レーダーや対空砲を置く動きもある。
3千メートル級の滑走路も2カ所以上で建設している。
中国はこれら人工島を「領土」とみなし、周辺の12カイリは国際法上、認められる領海であるという立場をとっているが、しかし、満潮時に沈む岩礁を埋め立てても、国際法上、領海をもつ領土にならず、中国の主張には無理がある。
しかし、フィリピンやベトナムを除く欧米等国際社会は経済優先と、大きな対抗策を講じずだんまりを決め込んで中国の既成事実化を許して来てしまった。
だが、中東からアジアに運ばれる原油の多くがこの海を通ってくる世界貿易の大動脈でもある南シナ海に国際法や各国の警告を無視して人工島をつくり、軍事拠点にしようとし続ける中国に強力に対抗するため、米国は中国が領海と主張する人工島の12カイリ(約22キロ)内に軍艦船を展開すると警告した。
先月のオバマ・習会談で物別れになったことを受け、米国は警告を行動で示すため、先月27日、イージス駆逐艦「ラッセン」を中国の了解なしにフィリピン、ベトナム、台湾もが領有権を主張しているス-ビ礁の人工島の12カイリ内に派遣し、数時間滞在した。
ス-ビ(渚碧礁)は、もともと干潮時のみ岩の一部が海面上に出て、満潮時は全体が海面下に没する、海図上「干出岩」に分類される環礁であり、そこに作った人工島は国際法上領土と認められないものだった。

埋立が進むスービ環礁 米軍艦船が12カイリへ侵入 時事Comより
人工島から12カイリ(約22キロ)以内に米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が入ったことを受け、中国外務省は「米艦の行動は中国の主権、安全への脅威であり、地域の平和と安定を損なう」と批判し、「強烈な不満と断固たる反対」を表明した。
しかし、米軍は引き続き派遣を繰り返す構えとみられ、南シナ海を舞台にした米中関係緊迫化は必至だ。
折しも、 10月29日、国連海洋法に基づく国連の仲裁裁判所が、フィリピン政府が中国の領有権主張を無効だとして仲裁を求めた件について、中国が求める門前払いを行わず、仲裁について審理を開始すると決めた。
こんな米中対立が緊迫化している”波立つ南シナ海”であるが、この”波立つ南シナ海”に面する観光地コロンはどうかというと、
波止場はダイビングや島巡りツアーに多くの海外の観光客が押しかけワイワイ、ガヤガヤと騒然そのもので、
街中は無秩序に行き交うトライシクルと道いっぱいに勝手に歩く人々達、二気筒エンジンの騒音や特有の匂いに路端で料理する匂いが入り乱れ喧騒そのものであった。
米中の緊迫した雰囲気など微塵にも感じさせないいつもの平和な生活の毎日であった。
我々庶民の生活の中で国際問題を解決手段もない事は分かるが、目前で展開される一触即発の危機に関して話題にもならないのは少し拍子抜けでもあった。
硬い政治の話題はここまでとして、コロン島のダイビングの話をする前に、コロン島の紹介をちょっとしておきます。
フィリピン最後の”秘境”といわれ、今なお手つかずの自然が残るパラワン諸島の北端部に位置する95もの島々がカラミアン諸島で、鳥獣・野生動物保護地域になっているおり、島の南部にコロン・タウンや空港のあるブスアン島、切立った石灰岩の岸壁と真っ白な砂浜の入り江が印象的なコロン島などが代表的な島だ。
このパラワン諸島というのはマニラから南西約400km、ミンドロ島とマレーシヤボルネオ島の間に位置する1780もの島々の総称で、西は南シナ海、東はスルー海に面し、
州都プエルト・プリンセスのあるパラワン島を中心に奇岩で知られるエルニドの島々、カラミアン諸島、クヨ諸島などで構成されている。
このパラワンは2億5000年前の石灰岩が隆起して出来た島々であることより、水の浸食により造り出された奇岩の連なりや洞窟の数々と海岸近くにまで続く見事な珊瑚そして島々を覆う熱帯植物が生い茂る原生林などにより人が近寄り難く「フィリピン最後の秘境」ともいわれている。
コロン島はこのブスアンガ島の南部の対岸にある島で7つの湖と切り立った石灰岩の崖からなり、美しい白い砂浜とサンゴ礁に囲まれた風光明媚な島だ。
このコロン島を含めカラミアン諸島の島々に囲まれた湾をコロン湾というのが、ここは周囲が岩場なため透明度がよく、また波も潮流もおだやかな場所であるという上に、ここを太平洋戦争中に旧日本海軍は艦船の停泊地として利用していたが、大戦末期の米軍の攻撃によって沈められた沈没船が多数あることより、フィリピンの沈没船スポットの中で、最も多くのダイバーが訪れる地の一つとなっている。

カラミアン諸島のMap
コロン島周辺の沈船ポイントは、水深3mから最深40m強、多くは20m前後であり、船の形もよく残されており、スポーツ・ダイビングとして最適な場所であるため、フォーブス誌が選んだ世界ダイビングスポット・ベスト10の中に入っているという。
さて、それでは実際のダイビングの結果は
四日間のダイビングで合計12本、そのうちレックダイビングは9本。
他はコロン島の切り立った岩々の中にある景色のきれいな湖底から温泉が湧くバラクーダー・レイクが2本。
サンゴが綺麗な癒しのポイントが2本。
こう見るとここはレックダイビングが主体であることが頷けられる。
沈船のすべてが旧日本軍の艦船がコロン湾に停泊中に1944年9月米軍の攻撃により沈められたもので、現在ではダイビングが出来る沈船として12船あるという。
確かに静かな湾内にあるためか保存状況がよく、殆どが船内奥深く侵入するPenetrationDivingが出来、かつ、真っ暗で狭いところをくねくねと本当に冒険心をかきたてるダイビングが出来た。
だが、残念なことにどのポイントも、かなり外洋に近い遠場に行っても、透明度が大変悪く、周辺が岩場の島に囲まれているため透明度が良いと聞いていたのでガッカリであった。
また、船内も狭いためか、ダイバーがまきあげる浮遊物がいっぱいで写真を撮るのも苦労した。



コロンでの沈船ダイビング写真
だが、ここでのダイビングは澄み切った青い空の下、真っ白な砂浜を持つ青々とした島々に囲まれ、鏡のような静か海面の湾内をフィリピンの独特のバンガーボートでユッタリとポイントを巡ることは、何物にも代えられない極上な時間が過ごせた。
四日間のダイビング後、二日間をサハリツアーとベストビーチツアーに参加した。
サハリツアーはマルコス元大統領がブスアンガ島北端のカラウィット島にアフリカより連れてきた動物を放し飼いにしたもので、現在ではキリン、シマウマ、インパラ、ガゼルなど見ることが出来たが、かなり種類も数もすくなってしまったようだ。
ただ、このツアーはブスアンガ島の西岸沿いに南シナ海を北上するのだが、バンガーボートでユッタリと揺られながら、入り組んだ入り江や白い砂浜、奇岩など刻々と変化する美しい景色を見ることが出来、参加費用2500PH(約6500円)は十分もとを取った気分であった。
ベストビーチツアーはコロン湾の美しいビーチを巡るツアーであるが、コロン・タウンより近いところばかり巡る企画でちょっと残念であったが、フィリッピンの独特の細かい真っ白なビーチと青いグラディエーションの静かな海を眺めているだけで本当に癒され来てよかったと感じる。
また、ここのツアーやダイビングも含めてだが、昼食はありきたりの弁当ではなく、朝魚や、肉、野菜、果物などを積み込み、船上でコックが小さなコンロ一つで料理した出来立ての地元の料理を食べさせてくれるのだ。
ビーチで、カニなどを両手をべたべたにして食べる食事は何とも言えないおいしさであった。






コロンの美しいビーチとカラウィット島国立公園
コロン・タウンを色々見る時間はなかったが、町から東のはずれにある海水のマキニット温泉には行ってみた。
ここは直径25mぐらいの浴槽があり、皆水着をつけて入浴する。
温度は40℃ぐらいで長時間いてものぼせない程度だ。
ホテルが町の西側の外れにあり、ホテルから温泉までトライシクルで喧騒とした街を縦断して行くことになりキョロキョロと眺める興味深いかったが、荒い運転にはビックリさせられた。
ホテルから温泉まで約6km。
トライシクルで温泉で約1時間待ってもらって往復400PH(1050円)。
やはりフィリッピンのタクシーは安いとの実感できた温泉行であった。



コロン・タウンの様子
コロン・タウンに7泊したあとマニラに移動して2泊した。
目的は今回のコロン島のダイビングを紹介してくれたフィリッピン・マラパスクアでガイドをしていた若い女性が、最近結婚されてマニラに居を構えているとのことなので訪ねてダイビングとコロン島談義に花咲かせようと思ったからだ。
前回のブロッグでも紹介したが、彼女は青年海外協力隊の一員としてブスアンガ島コロン町役場観光課に在籍しコロン周辺に関する観光情報を日本向けに発信する仕事をしていたが、そこでダイビングとコロンの海に魅了されてしまったという。
コロンのダイビングの魅力を日本にもっと伝え、多くのダイバーに来てもらえるようにと、ダイビングインストラクターになりコロンでダイビングショップを開くという壮大な計画を描き実行移す手始めとして、まずマラパスクアで丁稚奉公しながらインストタクターへの修行を開始したところに私が訪れたのだ。
しかし、素敵なご主人を見つけられて結婚されて、インストラクターの夢はしばらく中断ということなので厚かましくも新居を訪問させてもらった。
新居ではやはりマラパスアで知り合ったというマニラ在住の人などが集まって手料理を御馳走して頂いた。
ご主人は若くしてマニラで日本料理店を経営しているコックさんなのだ。
楽しいディナーの翌日はマニラ市内を案内して貰った。
クラシカルな面影を残すインストラムロスで初めてのセグウェに、日本では自動車扱いとなるためか殆ど見かけないが、乗り遺跡にを回ったのも楽しい経験となった。


マニラでお世話になった人々
忙しい中、マニラを案内頂き本当にありがとうございました。
ダイビングの話とか、コロンの様子など詳しくかけませんでした。
少し時間がかかりますが詳しくはホームページに掲載しますのでご覧いただければ幸甚です。