My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心に思いついた事柄をつれづれに書き綴ります

カテゴリ: 読書


昨年の年末から年始にかけての休みはゴルフや飲み会はあったものの、ダイビングや旅行に出かけることもなく殆ど家に篭りきりであった。
 
それは、11月中旬から12月初めまでの約20日のオーストラリア南・西部一人旅から帰ってきたばかりで日本との温度差がありすぎ、体調を崩したことと、オーストラリア旅行の出発間際まで細かい調整に追われ、次のダイビングの計画を立てないためだ。
 
それにしても今回の休みは読書をするには打って付けの環境が整っていた。
 
まず、南国から帰ったばかりで寒に外出への気力がい萎え家に篭り気味になったこと。
そして、一年ほど前より、例の偏向・偏見・捏造などのメディアの一連の騒ぎを見て、嘆かわしくもかつ怒りも感じテレビを一切見ないことにし、特に公共放送であるNHKに対しては料金の支払いを拒否していることもあり、一切テレビ見ない生活となっていたことだ。
 
そんな中で、年末にソニーのワイヤレスAiスピーカー入手したが、これが優れもので私の生活環境にピッタリハマったのだ。
 
私が永年溜め込んだお気に入りの音楽をクラウドにアップすると、それを静かな環境で一日中流してくれ、必要があればニュースや予定、天気、そして気になることがあれば聞けば答えくれるなど、私本位の静かな環境が出来たのだ。

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そんな読書にピッタリの環境の中で読んだ本は、約半数は今回の休みのために購入したものだが残りは未読の山積みされた中から引っ張り出して来たものだ。
 
こうして読んだ本を振り返って見ると、私の読書範囲は益々安易でかつ狭い分野に偏チョット恥ずかしいですが読んだ順に列挙すると


1.「夜行」 森見登美彦/著 小学館  1400
2.「スケープゴート」 幸田真音/著 中公文庫 720
3.「封印された異星人の遺言上、下」/ボイド・モリソン著 
  竹書房文庫 各750
4.「技術屋の王国」 片山修/著  東洋経済新報 2000
5.「経済雑誌:沈む神戸製鋼」 東洋経済新報 690
6.「経済雑誌:2018大予測」  東洋経済新報 740
7.「経済雑誌:2018総予測」  ダイヤモンド 780
8.「暗黒結晶上、下」  ジェームズ・ロリンズ/著 
  扶桑社ミステリー 各920円
9.「地底世界上、下」  ジェームズ・ロリンズ/著 
  扶桑社ミステリー 各880
10.「余命10年」 小坂流加/著 文芸社文庫 620
11.PC雑誌:無料ソフト大全」 日経BP 690
12.「未来の年表」  河合雅司/著 講談社現代新書 760
13.「失敗だらけの人類史」 ステファン・ウエイア/著
  日経ナショナルジオグラフィック 2600


内容を敢えて記すほども無いものも多いがチョットづつコメント記載してみる。
 
 
1.「夜行」 森見登美彦/著

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読み始めると静寂の中に謎が溢れる不気味な雰囲気に引きずり込まれてあっと読んでしまった。
 
「京都で学生時代を過ごした6人の仲間が十年前、鞍馬の火祭りを訪れた時、仲間の若い女性が夜の闇の中に忽然と姿を消して、それから十年ぶりに鞍馬に集まったの仲間の人達が夜が更けるなか、各々が旅先で出会った不思議な怪談じみた体験を語り出すのだが、不思議な事に全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。」

作者は怪談の「向こう側」という世界を表現するのに「夜」「お祭り」「宴会」というキーワード通じて現し、そして「夜行」という絵の表題で不気味に謎めいた雰囲気が醸し出している。
 
 

2.「スケープゴート」 幸田真音/著
  
  「スケープゴート」として政略に巻き込まれる女性が開き直って女性総理へと進む話。
 
 
3.「封印された異星人の遺言上、下」/ボイド・モリソン著 
 
  私が好きな歴史、科学、アクション分野の話だがコメントなし。
 
 
4.「技術屋の王国」 片山修/著

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ホンダの研究部隊をルポした話だが、ホンダは不思議な企業だという。
「ホンダジェット」「ASIMO」など何故経験ゼロな自動車屋が作り上げることが出来たのか?

著者は創業者の本田宗一郎の企業マインドであり、その組織体制と創業者を師と仰ぐ研究者達の不屈の魂とやり抜く根性と記す。

利益を産まない開発を許す経営者とその苦難に耐え抜く研究者達のナマの姿を克明に綴っている。
 
経営者、研究者・・企業人全てに読んで欲しい本だ。
 
 



5.「経済雑誌:沈む神戸製鋼」 東洋経済新報 
6.「経済雑誌:2018大予測」  東洋経済新報 
7.「経済雑誌:2018総予測」  ダイヤモンド 
 
 「沈む神戸製鋼」と銘打った特集版はOBとして深く内容を知るべく購入したのであるが、事業部が違うと殆ど別会社という感じで知らないことばかりだ。
 
他は本年の予測であるが概ね本年は世界経済も日本経済も順調に拡大するとの予測であり、新年からも株価も上昇しチョット安心した次第だ。

 
8.「暗黒結晶上、下」  ジェームズ・ロリンズ
9.「地底世界上、下」  ジェームズ・ロリンズ
 
  緻密な科学知識と歴史そしてスピーディな展開とアクション。好きな作家で殆ど読んでいるのだが、上記2作品は彼の初期のもので色々アイテムがてんこ盛りされていてサービス満点などであるが荒唐無稽なところもあチョット引ける面もある。


10.「余命10年」 小坂流加/著

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私はこの手の本は余り読まないのであるが、本の帯に「死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯生きてみるよ」あった。

余名10年と宣告された若い女性がどうしてそこまで強くなれるか興味を惹かれ購入した。
 
作者は若くして不治の病で余命10年と宣告され、既に昨年の2月に亡くなっているのだが、小説の各章の終わりには主人公=作者の気持ちが赤裸々に記されている。
 
主人公・林茉莉は20歳の時林茉莉は遺伝性の難病を発症し「余命10年」を宣告される。
初めは苦しい闘病と死への不安で自暴自棄にもなるが、心を通じ合える親友も出来、絵とか物を書く創作の楽しさを知り生きる希望を見出し、さらにお互いに惹かれ合う恋人とも出会うことが出来た。
 
だが、好きな人が出来れば必ず訪れる別れが益々辛くなるが、彼女は色々苦しみながら一つの決断をする・・・。
 
早逝した若き女性作家の死や愛や希望、不安などへの心の綾を見事に綴った作品で、最後は年甲斐もなくググっと来てしまった。
 
 
11.PC雑誌:無料ソフト大全」
 
  PCが重くなり毎回購入するがパラパラとめくって終わってしまう。
 
 
12.「未来の年表」  河合雅司/著 

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副題に
「人口減少日本でこれから起こること」とあり、表紙にこれから、2030年のすぐ先に起こるであろう事がドラスチックに表示されている。
読めば読むほど、知れば知るほど空恐ろしく寒気がする。

高齢化・少子化で生産人口の減少を「外人労働者」「AI」「女性」「高齢者」で解決と意気込むが一時しのぎにはなるが基本的解決とはならない。











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2065年には人口8800万人
2117         5060
2217        1380
  ・
  ・
3000年     0.2
 
人口減少に伴い国防も弱くなりいつまで”日本国”は存在できるのだろうか??
このままでは何十世紀も万世一系を誇った日本も3000年には日本人消滅ということもあり得るかも・・。
 
やはり人口を一定レベルに維持出来るように結婚して子供を安心して産める環境を経済的にも施設的にも周りの人達も暖かく援助出来る体制を作るべきと思う。
 
本書は皆がこれからどうすべきか考え行動を起こすためのきっかけとなるものと思う。
 
 
13.「失敗だらけの人類史」 ステファン・ウエイア/著

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これは面白い。特に私みたいな歴史好きそして薀蓄好きにはたまらない。

副題に「英雄たちの残念な決断」、そして帯に
「それはアダムとイブから始まった! 英雄たちがやらかしてきた残念な決断と泣きたくなるような舞台裏」とある。
 
人が、英雄が、独裁者が・・・犯した愚の骨頂とも言うべき失敗の数々が取り上げられており、それらは罪のないうっかりミスなどで済まされない、たくさんの人命や人々の暮らしを
損ない、国や王朝をも滅ぼし、環境を壊滅的に変化させるなど、後世に負の影響を及ぼした致命的な事例が数々記載されている。
 
アダムとイブの禁断の林檎、ハニバルのアルプス越え、クレオパトラの帝国終焉、、チャーチルの描いた国境線、スターリンの大粛清・・・・等など盛り沢山だ。
 
 
さて、大寒のこの時期、今世紀最強の寒波が来ていると言われる中、今年の行動開始の手始めとして、明日より、一泊止まりで北陸名物うまいものめぐり・紅ズワイガニ、ブリシャブ、ノドグロ、白エビ・・・と富山の海に幸食べ尽しと宇奈月温泉のツルツルの美人湯を堪能してきます。

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               宇奈月温泉「延対寺荘」 インターネットより

宿泊旅館は富山の迎賓館と言われ政治家/文人に愛された宇奈月温泉老舗の「延対寺荘」です。
 
天候がチョット心配ですが、それでは食べて、飲んで、そしてしっとりと美人湯・・楽しんできます。

 
船は右手に緑に覆われた三角のおにぎりのような形の島を見ながら、波ひとつない静かな狭い海峡を進んでいくと大きなコンクリート製の桟橋とその左手に小さく瀟洒なホテルが見え、鬱蒼とした木々の間から砦の丸い見張り台の一部が見え隠れしてきた。

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 バンダ諸島のネイラ島に上陸。 静かで落ち着いておりここで
  
 17世紀の香料戦争の舞台となったとはとても思えない
  
 

これからバンダ諸島の中心的島であるバンダナイラ島に上陸するのだ。
 
今回の、特別企画「アンボン・バンダ海・ラジャンパットクルーズダイブ」への参加でダイビングとともに大きく期待したのはここバンダ海に浮かぶ小さなバンダ諸島を訪れることだった。

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バンダ諸島は古くからスパイス・アイランズ(香料諸島)と呼ばれてきたモルッカ諸島の南部、バンダ海の北東部、セラム島の南100キロほどにあに位置する10の火山性の小さな島々かなるが、ナツメグなどの香辛料が採れるということで欧州の国々によるスパイス戦争の暴虐にさらされた歴史を持つ悲劇の島々でもある。
 
バンダ諸島の中心市街があるのはバンダナライ島、狭い海峡を挟んで標高520mグヌン・ガピ火山をいだくグヌン・アピ島が対峙する風光明媚な所だ。

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バンダナイラは赤道直下のぎらぎらと輝く強い日射しに照らされるが、鬱蒼と茂る真っ青な木々の木陰はそよ吹く海風もあり本当に心地よく、子供たちが遊ぶ声が時折聞こえるだけで人かげもまだらな本当に静かな町だ。
 
こんな静かで穏やかなところで17世紀の初めにオランダにより島民の殆どが虐殺されるような悲劇が起きたとは全く思えない。
 
バンダナライ島の博物館にその虐殺の状況を描いた1枚の絵が展示されて、しかも日本人がその虐殺を行っているという。
 
是非その絵を現物で見てみたいと期待して来たのだ。

 
上陸してすぐ現地人ガイドに連れられ、当時の小さな西洋建築風建物を利用した博物館に行きました。
 
正面入り口を入ると、すぐ目の前にお目当てのものがありました。
 
人の背丈ほどの高さの大きな絵です。
 
バラバラになった原住民の手足胴体の中で返り血をあびた二人の虐殺者が仁王立ちしている。
褌とチョンマゲそして血に濡れた刀を持つ姿は見間違うはずもなく日本人である。
絵の左端には南蛮風俗の西欧人が虐殺の命令者として描かれている。

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博物館に展示されていた虐殺を描いた絵画
 

何故ここに日本人が??
何故こんなことが??
 
 
バンダ諸島はいくつかの小さな島からなる陥没火山島であるが、高級香料のナツメグの原産地であっため、16世紀以降、ポルトガルに続きイギリス、オランダがやって来てナツメグを求めたが、交易に関心の薄い住民は生産の増加に非協力的であった。
 
オランダ東インド会社のクーン総督はナツメグの独占と採取量の増加を計るため16212000人規模の兵を送りこみ島民1万2000人を虐殺してしまった。
島で生き残った人は数百名に過ぎないという残虐行為だった。
 
虐殺の後、ナツメグの栽培のためアジア各地から送り込まれた奴隷たちが今の島民の先祖となった。
 
この虐殺を描いたのが博物館に展示されている絵なのだが、日本人は関ヶ原の戦い後、職をなくした浪人たちが傭兵としてオランダに雇われたものだという。
 
だが、この日本人傭兵の多くはオランダの策略でオランダ支配の転覆を図ったという罪で処刑されてしまったという。
 
 
今日、バンダ諸島は静かな生活の中にあり、島々に香料の嵐が吹き荒れたことを思い起こせるのは海を見渡せるよう築城されたベルギカ要塞である。
この要塞の大砲は海からの侵入者ばかりでなく島の居住者にも向けられていた。
 
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   ネイラ島のベルギガ要塞から見た素晴らしい景と町からみる
   隣のグヌン・アビ島のガピ火山

バンダナライ島上陸見学後、バンダ諸島周辺やラジャンパットで予定通りダイビングを楽しんで帰国したが、バンダナライ島で見たあの絵画が頭に残りどうもすっきりしない。
 
 
何故、今ではどこの家庭でも普通に見られる胡椒やナツメグのような小さな香辛料のために何十、何百万もの人たちが苦しみ、殺されなければならなかったのか??
 
そんな中、新聞広告で見つけた本が
 
「胡椒 暴虐の世界史」  白水社刊 2400
       著者:マージョリー・シェファー  栗原 泉訳
 
この本の帯に
「人々はなぜ、血眼になって黒胡椒を求め、命を賭してまで危険な旅に出たのか? 血で赤く染まった胡椒の争奪戦を、現地の承認や海賊、宣教師、旅行家らのエピソードで描いた、傑作歴史読み物。」
とある。
 
正に、私のモヤモヤを解決してくれるものと即購入して読み始めたが、260ページに細かい文字でビッシリとあり、時間がかかったが中々薀蓄のある本であった。
 
 
少し内容を紹介すると
 
食卓に欠かせない胡椒は、かつてヨーロッパで非常に貴重な品で、薬としても珍重されたり、同量の黄金と取引されたという。
 
香辛料が高い価値を持ち、大きな収入を上げられるとわかると、ポルトガルを初め、オランダ、イギリスはすぐにインド、アジアの地域において独占権を得ようと争いに加わった。
胡椒など香辛料が熱帯以外ではどうしても育たなかったという事実こそが胡椒をより貴重なものとし、ひいては植民地主義と帝国主義という邪悪な歴史を生んだという構図であると著者は指摘している。
 
それがため、一航海で純利700%をも利益を出すが、半数以上の人が病気や事故で死亡するというハイリスクのビジネスに人も国ものめり込んでいく。
 
 
大航海時代の15世紀半ばから、一獲千金を夢見た人がインドやインドネシアなど熱帯の産地を目指し、まずポルトガルが、次いでスペインが最強国の一つとしてこの海域に進出しましたが、それに続いたのがイギリスやオランダ、そしてフランスであった。
 
イギリスは1570年、エリザベス一世の勅許を受けドレークはカリブ海で海賊としてスペイン船を掠奪、1577年にはマゼランの開拓したコースをたどり、2年後にテルナテ島に到着した。
これを皮切りに、1600年に東インド会社を設立し、ここを拠点にして布石を打っていった。
 
オランダも1500年代の末、モルッカ諸島に進出し、将来のオランダ支配の基礎を築き、1602年に株式会社のモデルとなった東インド会社を設立、ここを拠点にポルトガルの追い落としにかかります。
 
こうして、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダ4国による戦乱状態がエスカレートしていきます。


勢力分布が確定してきたのは1640年ごろで、1641年にオランダはマラッカを強襲してポルトガルから奪い、マラッカ海峡を支配した。

ここから得られる利益を基に、オランダは18世紀末までの2世紀にわたり繁栄の時代を謳歌する一方、イギリスは香料列島におけるオランダとの協調の可能性を失い、インド植民地に全力を傾けるようになった。
 
先の4か国は勢力を拡大するために非道なことをしてきたが、中でもオランダの行動は暴力的で残虐さは飛びぬけていた。
 
島々や拠点で反抗の兆しがあると軍艦を差し向け、艦砲射撃で無差別に住民を殺戮するとか、先に述べたバンダ諸島では12000人もの島民を残虐に殺戮するとか、
1623年には10人のイギリス人を拷問にかけ斬首すると言う「アンボンの虐殺」という事件を起こしている。
 
オランダ人は同じ町に居るイギリス人がオランダの要塞を攻め、オランダ支配を転覆させるという計画をしているという罪をでっち上げ、10人のイギリス人を捕らえ拷問にかけ自白を強要した。
 
結局、拷問による自白により、9人のイギリス人と一人のポルトガル人、そして自分達の傭兵である10人の日本人を処刑してしまった。
 
生き残ったイギリス人がイングランドで発表した拷問の描写はオランダ人の残虐性の記録として、長い間記憶にとどまることになり、そしてこの「アンボンの虐殺」は広く世に知られ、イギリスとオランダ間の憎しみの下地となり、17世紀に三次にわたり砲火を交え、18世紀には4度目のオランダに大きな痛手をもたらす戦争を起こすことになった。
 
 
更に著者はこの香料戦争は環境面でも悲惨な破壊をもたらしたと述べている。
 
乗組員の食糧や水を確保するため、胡椒航路に沿って大量の野生動物が理不尽に殺戮された様子が描かれている。
(船員たちにより絶滅させられたドードーや、殺され捨てられたゾウガメの甲羅でできた島や、三万頭のアザラシに大砲を撃ち込む話など目を覆うばかりだ)
 
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        船員たちによる乱獲で絶滅してしまったドード
  
 
これだけ非道で残虐な統治を行ったが、オランダの栄華は、思わぬ形で崩れていった。

フランスはこれらヨーロッパ諸国と正面から争うことなく、クローブやナツメッグなどの利益を生む苗木を生育地から盗み出し、フランスの支配下にある植民地へと移植して育ててるといった知略でスパイスから得られる利益を追求し、イギリスもまた同じ方法でスパイスを各地に広げた。
 
このためスパイスは各地へと移植が進み、栽培地の広がりにより、香料諸島の苛烈な植民地政策は急速に意味を失い、スパイス戦争は自然のうちに消滅し、島々はようやく以前の静けさを取り戻すことができという。
 
 
それにしても、「胡椒」というあだ花が人が人を拷問し、殺戮し、非道の限りを尽くし、環境を破壊し、貴重な生物を絶滅まで追い込むような暴挙を起こすとは・・・・。
 
もし、「胡椒」がなくても何か別のものや理由を見つけてあの時代の西欧社会は弱小国を植民地化するため同じような暴挙をはたらいたのだろうか?
 
今の時代に置き換えたら、どんな「胡椒」が出てきても人類はもはやあの時代のような暴挙を犯すことはない・・と自信もっていえるのだろうか。
 
色々考えさせられる本だ。
是非一読を!!

 
ながい年末、年始の休みもあっという間に終わってしまった。
 
しかし、この間日本が休みに入って居る間に世の中の動向は大きく変わた。
年末時点では多くの経済アナリストが15年の経済見通しを底抜けに明るく見ていたのが、年が明けると悲観的ムードに一辺に急変した感じだ。
 
私自身も15年の仰天予想に「日経平均株価が3万円・・」なる記事を見つけ、前回のブログで紹介したが、そんな甘い感触を吹き飛ばすように、年明け以降の日経平均株価は急激に下落して始まった。
 
年明けの59日の世界の株式市場では、欧州中心に株価下落が目立った。
下げ止まらない原油価格とギリシャの政局混迷を発端とする欧州経済懸念が投資家心理を冷やし、運用リスクを避ける動きが優勢だったと日経新聞の記事にあったが、
 
日経平均はこの間1.45%の下落だ。
主要25カ国・地域のうち、下落率が4.98%と最も大きかったのはイタリアでフランス(1.72%)も日本の下落率より大きかったが、ドイツ(1.19%)やロシア(1.02%)は日本より下落率は小さい。
 
主要25カ国・地域で日本は下から5番目だ。
 
14年末にはWTI(ウエストテキサス・インターミディエート)の原油価格は1バレル50ドル台前半まで下落し、年明け後には50ドルを切った。
 
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                    WTI 原油価格の推移(Wikipediaより) 
 
このことより、資源国のロシアでは経済危機となっており、一方日本はこの地合いが一年続けば20兆円の所得が日本から流出せずに済む勘定となり、このことは日本の国内総生産(GDP)を約4%押し上げるという。
 
企業の業績はかなり向上が予想され、3月期末には多くの企業が上方修正するものとみられている。
 
なのに、こんないい状況が予想されるのにもかかわらず、又、欧州経済懸念や原油価格低下の震源地でもないのに、いつも日本の株価の下落は震源地の国々より大きく反応する。
 
それにしても、どうして日本の株式市場はいつも外的なネガティブ情報に過剰反応するのだろうか。
国民性なのか・・・・。
 
海外の短期筋は原油の急落により原油先物売買で大きな損を抱え、その穴埋めのために高値圏にある日本株を売っていると云われるが、それだけではないような気がして仕方がない。
 
長期間株のホルダーの私としてはダダじっと耐えるしかないのだろうが・・・。
 
 
さて、15年は株式市場の波乱の年明けとなってしまったが、私自体は、高額で混雑する正月休みのダイビングもさけ、繰り返し来襲する寒波で初詣も行かず、自宅でただのんびり過ごす極上の休暇であった。
 
ただ、家で過ごすにしても、いつもながらの低俗で安上がりな年末年始のテレビ番組は見る気もせず、結局は買い置いた本を引っ張り出して読み漁る読書三昧の休暇となった。
 
 
この休み中に読んだ本を順に紹介すると
 
 
○「血の福音書 上下」 ジェームス・ロリンズ&レベッカ・キャンドル
  オークラ出版  上:759円、下898(各税抜き)
 
○「聖十字架の守り人 上下」 マティルデ・アセンシ
  オークラ出版  上:741円、下759(各税抜き)
 
○「インフェルノ 上下」 ダン・ブラウン
  角川書店   1800(上下とも各税抜き)
 
○「土漠の花」   月村了衛  幻冬舎 1600(税抜き)
 
○「沈みゆく大国アメリカ」  堤 未果 集英社新書 720(税抜き)
 
○「ジェファーソンの密約 上下」 ジェームス・ロリンズ
  竹書房文庫   700(上下とも各税抜き)
 
 
約二週間の間に読んだ順に記載したが、やはり西洋の古代歴史&謎解き&アクションの読書傾向は全然変わていない。
長期休みということで硬めの長編ものも用意したのだが手に取るものは読みやすい軽めのものになってしまった。
 
 
少しずつ順に内容を紹介してみると
 
○「血の福音書」は
ジェームス・ロリンズとレベッカ・キャントレルが組んで新しくスタートさせた血の騎士団シリーズの一作目のものだ。
 
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ジェームス・ロリンズのシグマフォースシリーズは科学・歴史・アクションをキーワードにしたもので殆どものを読んでいるが、新しい血の騎士団シリーズはヴァンパイヤもので何百年も生きてめっぽう強い神父ルーンとアメリカ陸軍のジョーダン軍曹、美人の考古学者エリンが主役なのだ。
 
出だしは西暦73年、ユダヤ戦争の最後の舞台となった、イスラエルのマサダ(サロメの話で有名なヘロデ王が本格的に要塞化した)がローマ軍に包囲され、ここに立て籠もった千人を超すユダヤ人が集団自決を遂げるが、この岩山の地下で秘密の儀式が執り行われ、石棺に石板と少女が封印されるというところから始まる。
 
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これが現在になり、マサダに地震が起き、その地割れで長く隠されていた秘密のトンネルが発見される・・・。
 
それから血の福音書を巡って血みどろの戦いが始まるのだが、良いヴァンパイと悪いヴァンパイヤがいて、良いヴァンパイは人間と一緒に戦うという設定がどうも私にはしっくりこない。
シグマフォースシリーズの方が好きで、こちらに精力をつぎ込んで欲しいものだ。
 
 
次の
○「聖十字架の守り人」は
作者はスペインのジャーナリストで作家であるマティルデ・アセンシで、本国では冒険小説の女王と呼ばれており、本作品は150万部の大ベストセラーとの売りこみに惹かれ購入したものである。
 
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コンスタンティヌス1世の母ヘレナが326年にエルサレムを訪れ、当時のヴィーナス神殿でキリストが磔刑となった時の十字架と聖釘などの聖遺物が発見されたが、早い時期から各地に分散されてしまった聖十字架を巡る話である。
 
あらすじは
修道女でバチカンの秘密文書館の研究者であるオッターヴィア、スイス衛兵のロイスト大尉、考古学者のファラグが主人公で、バチカンに命じられて死んだエチオピア人の全身に散らばる奇妙な傷を調べていくうちに、聖十字架の木片の盗難事件へとつながったが、
しかし、誰が、なんの目的で聖異物を奪っているのか。
難解な謎に次々に直面するオッターヴィアたち三人は、ダンテの「神曲」が暗号文だと気がついた。
煉獄篇に書かれる七つの大罪の贖罪が謎を解く鍵だと解釈し、忌まわしき罪で知られた七つの都市で、七つの試練に直面することになった・・・・。
 
ダンテの「神曲」に書かれている文章が鍵となって、七つの都市に仕掛けられた謎をひとつづつ解き明かすスタンプラリーで七つのスタンプが揃った暁には・・・・。
 
荒唐無稽な話だが、キリスト教になじみのある人にキリスト教にまつわる歴史等にも触れており興味深いのであろうが、私共には今一つピンと来ない。
 
正・悪が入り乱れてのアクションものではなく、又、39歳の修道女が初恋に陥り悶々とするのような設定は流石女性作家だと思うのだが、やはり今一つインパクトが感じられない。
 
 
次に読んだのが
○「インフェルノ」だ。 
 
ダンテの神曲をテーマにした「聖十字架・・・」を読んで、一年前に購入した、同じく神曲を扱ったダン・ブラウンのインフェルノを思い出し、山積みの中から引きずり出して読んだものである。
 
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ダンテの神曲は地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩であるが、「インフェルノ」は地獄篇をテーマにしている。
 
「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」「ロスト・シンボル」に続くハーヴァード大学のラングドン教授を主人公とした第4弾である。
 
 
あらすじは
 
ラングドンが目を覚ましたのは、イタリアのフィレンツェの病院で、頭に怪我しており何故ここに居るのか記憶がない。
やがて、病院に武装した襲撃者があらわれ、女性医師の手引きでなんとか病院を脱出する。
ポケットには高性能のバイオチューブがあり、プロジェクターが埋め込まれていた。
映し出された画像はダンテの神曲へのオマージュとして書かれたボッティチェッリの 「地獄の見取り図」であった。
だが、そこには原画にはない暗号のようなものが描き込まれていた。
 
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こうして、ラングドンと女医シエナは神曲の叙事詩やボッティチェルリ作の「地獄の見取り図」を鍵に、執拗に追いかけて来る敵から逃げながら、何故追いかけられるのか?、敵は誰なのか?何故記憶喪失になったか?を解き明かすため、歴史的な建築や美術、文化のシンボルを巡って行く。
 
実は、裏には、世界の人口過剰問題を憂慮した大富豪で生化学者が仕掛けた世界を破滅へ導く罠であったのだ・・・・。
 
 
ラングトンシリーズの前三作と比較すると歴史的建造物や美術品に対する薀蓄はかなりのもので、特に日本人観光客のお好みのポイントが多く出てくるため楽しめるがアクションや謎解きという面から見ると少し物足りないと感じる。
 
しかし、流石に世界のダン・ブラウンである。
上下巻合わせて700ページ弱を飽きさせずにグイグイと引き込まれてしまった。
 
 
さて、次は
○「土漠の花」 である。
 
新聞広告で「感動と興奮!いま最も評判の男泣き小説! 一気読み必至!」 などの宣伝文句につられてインターネットで購入したものであるが
 
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確かに、朝から読み始めて昼食時間を除き夕方までに350ページを一気読みしてしまった。
海外ものを読むことが多い中、登場人物のカタカナの名前や同時並行するストーリーで中々頭に入らないことが多いが、本書は場所こそソマリアの外地だが、ソマリアに派遣された自衛隊の中から、米国の墜落ヘリの捜索、救援のために構成された陸上自衛隊の精鋭12名達が遭遇する課題発生から解決までの一直線だから大変読みやすい。
 
あらすじは
裏表紙に書かれている概要では
 
ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たち。
その野営地に、氏族間抗争で命を狙われている女性が駆け込んだとき、自衛官たちの命を懸けた戦闘が始まった。
一人の女性の命を守ることは自分たちの国を守ることであった。
絶え間なく降りかかる試練、窮地、そして仲間を守るため、国を守るためにと一人一人と死んでいく仲間たち。
極限状況のなかでの男たちの確執と友情そして人間としての誇り・・・。
 
実戦経験のない自衛官達が窮地に陥った時、生きるため、仲間を救うため、そして国を守るため、自己犠牲もいとわず、多勢に無勢な戦いにい挑んでいく。
どう考えたって荒唐無稽でしらけてしまいかねない展開なのだが、先へ先へと駆り立てていく手法は見事だ。
 
ストーリーが簡単であるがため、その状況に没入することになり久しぶりに目頭が熱くなった本だ。
 
 
さて次なる本は
○「沈みゆく大国アメリカ」 堤 未果のアメリカシリーズの「医療編」だ。
 
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Book Data
アメリカ版・国民皆保険の呼び声高い「オバマケア」。
夢の医療保険制度改革は、「1%の超・富裕層」が仕掛けた、壮大なる「罠」だった!
史上最強の超大国をもゲーム上のコマとしてしまう「1%の超・富裕層」は、これまでに、石油、農業、食、教育、金融の領域で、巨万の富を蓄積してきた。

 
恐るべきことに、次のターゲットは、人類の生存と幸福に直結する「医療」の分野だった――。
米国の医療費は総額28兆ドル(300兆円)
製薬会社と保険会社、そしてウォール街が結託する「医産複合体」は、病気を抱えるもっとも弱い立場の人々をカモに、日々、天文学的な収益を上げつづけているのだ。
そして、その巨大な波は、太平洋を越えて日本に達しようとしている! !
 
とある。
 
アメリカの行き過ぎた市場主義が自国民の生活や命を奪うことになっても利益のために邁進し、これらの利益を上げる企業、団体、個人が政治や制度を都合の良いように変えて行くから貧困層のさらに被害は大きくなる。
 
 
日本は「皆保険制度」で憲法25(生存権)に基づく社会保障の一環として行われ、その根底には「公平平等」という基本理念が横たわっている。
一方アメリカでは、医療は「ビジネス」という位置づけだ。
 
自由主義とか先進医療への促進がしやすいとか御託を並べても、国民の「いのち」が、憲法で守られるべきだという日本と、医療が市場に並ぶ「商品」の一つというアメリカでは全く違った展開となるのだ。
 
 
鳴り物入りで始まった医療保険制度改革「オバマケア」は、恐るべき悲劇をアメリカ社会にもたらした。
「がん治療薬は自己負担、安楽死薬なら保険適用」「高齢者は高額手術より痛み止めでOK」「一粒10万円の薬」「自殺率一位は医師」「手厚く治療すると罰金、やらずに死ねば遺族から訴訟」。
これらは、フィクションではない。
 
筆者は具体的な事例を挙げて現在のアメリカの、完全崩壊した米国医療の実態とその背景を、入念な取材により炙り出し手いる。
 
日本に居ると誰もが、どこでも、同じ医療、同じ金額で受けられる。
これは国が医療費、薬剤費を統一管理しているからだ。
 
これが「ビジネス」となると病院は儲からない医科は撤退し、お金の無い人は診察しない、薬剤はお金を払う人がいる限りいくらでも高くできる、本当に一部の恵まれた人への医療となってしまう。
 
WHOが絶賛し、世界40か国が導入する日本の医療制度。
時代の流れの中、様々な変化と共に個々の問題は出ているが、時の厚生労働省や医師会、心ある人々によって守られてきたこのコンセプトは私たちの日本が持つ数少ない宝物の一つなのだ。
 
と筆者は結んでいる。
 
アメリカを好き放題にして力をつけたゲームプレイヤーは次に狙うは40兆円となろうとする日本の医療だ。
 
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筆者は続編として「沈みゆく大国アメリカ ~逃げ切れ!日本~」を執筆予定しているようだ。
出版されたらさっそく読んで本編と合わせてもっと本件を勉強してみたいと思います。
 
 
さて最後は
○ジェームス・ロリンズ 「ジェファーソンの密約」 だ。
 
作者のシグマホースシリーズの7作目に当たるもので、今回はアメリカ建国の父と称されるトウマス・ジェハーソン、ベンジャミン・ブランクリンとアメリカ先住民との関わりやアメリカ独立に際して先住民が果たした役割などが歴史的背景で、科学的側面はナノテクノロジーを扱っている。
 
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いつもながらの、歴史的事実×科学的事実×謎解き×アクションというストーリは読み応えがあって楽しい。
 
あらすじは
 
アメリカユタ州で起った謎の爆発。それは周囲を砂へと変化させながら火山の爆発を誘発してしまう。
シグマフォースの長官ペインターは現場の教授らとともに爆発の謎を追う。
一方、ピアース隊長と暗殺者セイチャンはテロ組織ギルドの正体を探るため国立公文書館で調査をしていた。

上下巻をかけて暴かれていくアメリカ建国の謎、建国の父ジェファーソンと先住民との関係は?爆発の真相と古代のナノテクノロジーとは?
世界の滅亡を救うタイムリミットは2時間!!

いつもながらのハラハラ、ドキドキのアクションと最新の兵器、そしてテクノロジーが満載だ。
 
7冊目で登場人物は大きく変わらず、ストーリーの展開も同じパターンであるがいつも新しい歴史的事実とテクノロジーに魅了され一気読みしてしまう楽しい本だ。
 
 
以上、長々と最近年末・年始に読んだ本の説明を書きましたが、最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。
 
今年も良いお年であるよう祈願しております。
 


 
あっという間に8月に入り、夏休みも後半戦に突入したというところか。
仕事を辞め、生活パターンが単純化してきたためか、または単に年のせいなのか、時の移り変わりが益々早くなるような気がしてならないのだが。
 
毎日が日曜日の私にとって、暑く、混んで高くなる夏休みに敢て出かける必要もなく、今年の夏もいつものように、家じゅうの窓を開け放ち、涼しく吹き込む風にさらされながら読書三昧と決め込んでいます。
 
こんな暑い夏だからと、身も心もスキットとなるようにと、過去購入して平積していた本の中から私の好きな歴史・アクション小説を数冊取り出し読破したのでご紹介します。
 
 
ただ、やはり気になる中国の話にちょっと触れてから読書の話にしたいと思います。
 
まずは食の問題で、「上海福喜食品」という外資系の会社が使用期限切れや、カビだらけになった肉を使った加工品を出荷していたの問題は日本の消費者に大きなショックを与えた。
 
放映されたビデオ見ると吃驚する。
青黒くカビが一面に付着した大きな肉の塊ベルトコンベアー運ばれ加工機へ、そして床に落ちた肉を手ですくい機械に戻している作業員たち。
 
問題が発覚した後での従業員へのインタビューで、
「どこでもやっている事でしょう」、「なんでそんな些細なことを問題にするの」、「食べても死にやしない」・・・・
 
本当に愕然とする。
”食”作りに与るものとしての、モラル、自覚、矜持なるものは一切感じられない。
 
 
 不思議な国民だ。
中国国内に出回る加工食品などいったいどんな混ぜ物が混入されているのか、人体に有害な違法な薬物がどれだけ使用されているのか、わかったものではないと、自国製品に対する不信感を世界の誰よりも根強く抱いているのは、ほかならぬ中国人自身で、日々の安全な食物の確保に躍起になっている。
 
なのに、自分が作る側になると目先の利益が優先され、他人のことは考えなくなってしまう。
 
そのうえ、中国は水もダメ、空気(PM2.5)もダメ、人間が健康的に生きられる環境がすでに失われているというのに・・・。
 
年々深刻化する環境汚染は中国人の健康を確実に脅かしている。
データにもはっきりと表れている。
 
世界保健機関(WHO)によると「肺、胃、肝臓、食道」の4つのがんの発生数、死者数は世界一。
新規患者の国籍は、肝臓がんと食道がんの5割が中国人。
胃がんは4割、肺がんも3割を超す。
世界人口に占める中国の比率(19%)を大きく上回る。
大気汚染などの原因で平均寿命は5年半縮まったという。
8/4付 日経新聞電子版「環境亡国・中国 「不!(NO)」突き付けた市民」より)
 
 
それに中国の国技ともいうべき「汚職」が絡む。
 
今回の事件が露見した直後、上海福喜食品の5人の中国人幹部が当局に逮捕された。 やはり、事件の背景には汚職が絡み、彼らの私利私欲がおぞましい事件を引き起こしたのであろう。
 
中国の「汚職」は全く規模が違う。
 
中国共産党は29日、周永康・前党政治局常務委員を「重大な規律違反」の疑いで調査し、立件・審査を進めていると発表した。
習近平指導部が「虎(大物)もハエ(小物)も一緒にたたく」とのスローガンのもと進めてきた反腐敗運動が、最終局面を迎えつつあるとの見方が広がった。
 
2012年秋に引退するまで中国の最高指導部の一角を占めていた周永康氏は、胡錦濤前国家主席時代に党最高指導部まで上り詰めた実力者で、「石油閥」の中心人物だ。
 
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ネット情報では、拘束された周氏関係者は300人を超え、当局が周氏と親族から900億~1千億元(約1兆5千億~1兆6千億円)相当の財産を押収したとも伝えられている。
汚職の金額大きさもさることながら、その関与者の規模も信じられないほどの大きさだ。
 
習氏が国家主席に就任してから、反腐敗キャンペーンは政権の最重要課題となっているが、今までに、閣僚級以上の役職を持った党高官の3分の1近くは党による調査・追及を受けているという。
13年に収賄などの汚職で摘発された中国の公務員は5万人超、13年初頭以降、70名近くの高官の多くが自殺しており、その大半は党による追及・審査を受けた後であるという。
さらに、14年の最初のわずか5カ月間で約63000人の政府高官が汚職容疑で懲戒処分を受けたといわれている。
 
ただ、懸念されるのは、党内の腐敗摘発と平行して、党の外では情報統制や抑圧的な宗教・民族政策など締め付けを強めていることと、習主席の仲間は粛清を免れており、最も人目を引くような粛清対象者は、同氏の政治的野心にとって最大の脅威となる人物ばかりだと批判の声もある。
 
そんな中、
中国の国営新華社は3日、新疆ウイグル自治区カシュガル地区ヤルカンド県で7月28日起きた襲撃事件で、死者が容疑者と市民を合わせて96人に上ったと伝えた。
 
刃物で武装した容疑者グループは28日朝、地元政府庁舎や警察署を襲い、市民37人が死亡した。死者のうち35人が漢民族、2人がウイグル族だった。
 
当局は容疑者グループの59人を射殺し、215人を拘束したという。
ウイグル族を巡る暴力事件では、区都ウルムチで197人が死亡した2009年の暴動以来の規模である。
 
当局の弾圧とウイグル族の抵抗の悪循環が続き、自治区の治安は悪化している。
 
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中国は一体どうなるのだろうか? 食の問題、環境、治安、汚職、不動産暴落・・問題だらけだ。
 
「反日」なんて言っている暇はないのだが・・・国内に問題だらけだからこそ反日なのであろうが。
 
 
中国の問題を書きだしたら尽きないが、今回のテーマである読書に移る。
 
今回の夏休みに読んだ「歴史・アクション小説」は次の4冊だ。
 
1. ケルトの封印 (上下) ジェームズ・ロリンズ著  竹書房文庫刊 各700
2. 蛮族王アッティラの秘宝を探せ (上下)  クライブ・カッスラー著
                              SB文庫刊 各650円 
3. ヘラクレスの墓を探せ (上下) アンディ・マクダーモット著
                              SB文庫刊 各780
4. テロリストの回廊 (上下) トム・クランシー著 新潮文庫刊 上790円 下840
 
であるが、4番目の「テロリストの回廊」は歴史・遺跡のテーマと関係ないが、著者トム・クランシーが昨年10月に66歳で急逝された後発刊された本で、発売即購入したが読む機会がなく今回になってしまった。
 
氏は軍事・諜報をテーマにしたアクション小説を書き、私のよく読む作家の一人であったが、大変残念だ。
 
それでは、各本の簡単な内容と感想などを紹介していくことにします。
 
 
1.「 ケルトの封印」
 
この作品はジェームズ・ロリンズの「シグマフォース・シリーズ」5作目でシリーズ外で「アイス・ハント」という本も発刊されている。
 
共に、氏の作品は、歴史的事実・科学的事実に関する豊富な知識を背景に、スピード感のあるアクションが特徴で、私の大好きな作家で翻訳済みの全てを読んでいるが、いつも歴史的事実の詳細な調査には驚かさせ、楽しまさせて貰っている。
(氏の紹介や作品などは「ウバールの悪魔」のブログを参考にしてください)
  
内容をBookデーターから紹介すると
癒しか、呪いか? その封印が解かれし時・・人類は未来への扉を開くのか? それとも破滅へ一歩を踏み出すのか?
 
ケルトの伝説、アーサー王伝説、環状列石、黒い聖母マリア、聖マラキの預言といった歴史的側面と、遺伝子組み換え作物、地球の人口問題、世界種子貯蔵庫、蜂群崩壊症候群(ミツバチの謎の失踪)といった科学的側面・・それらが結びついたその先にあるのは、人類の運命がかかった「ドゥームズデイ・ブックの鍵」その鍵を求めて、シグマとギルドが対決する最終決戦の地は、世界有数の厳重な警備を誇る場所だった……
 
DARPA〈国防高等研究計画局〉の新長官の就任で〈シグマフォース〉はどうなるか? 『マギの聖骨』以来の登場となるレイチェルとグレイソンの関係は? そして謎の女・セイチャンの存在とは? そして〈ギルド〉とは何か……? 様々な要素が絡み合い、物語は新たな展開を迎える!
 
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いつものごとく盛り沢山の歴史的側面と科学的側面を組み合わせに、シグマと謎のテロ組織ギルドの熾烈な戦いが絡む。
 
だが、今回の作品の背景の主要テーマは「地球の人口問題だ」。
 人口問題はすでにローマクラブの「成長の限界:人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と1972年に警鐘が鳴らされていたところであるが、その解決策として有効な手段がない。
 
それは
「人は幾何学級数的に増加するが、食料は算術級数的にしか増加しない」ということで、食糧増産を化学肥料や農薬の大量投入により図ろうとすると、土壌の塩害、酸性化、地下水の汚染等による新たな問題を誘起し、
一方、人口減少策は人権や倫理面の問題も絡み難しいため、人口爆発は依然として衰えを知らず、このままでいくと食糧問題、エネルギー問題で人類の将来は非常に暗い。
 
このような状態の中で、本作品ではテロ集団が自らの生き残りのために、世界の人口を減らす計画を画策するさまを描いている。
 
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難しい問題だ。
折しも、2014/8/3日本経済新聞 朝刊に
 
 
人は生きるために食べ、食べものは農が育む。
日本の国内総生産(GDP)のうち農業は1%にすぎず、食べものは4割しか国内でまかなえない。2050年には90億人が胃袋を満たそうと競い合う世界が待っている。
備えは十分か。市場の広がりを追い風にできるか。環境を守り、安全と安心をどう確保するのか。
日本の食と農も変わらなければ生き残れない。

と書き出し、 本作品の舞台となった、北極海に浮かぶノルウェー領スピッツベルゲン島のスバールバル国際種子保管庫を紹介している。
ここは、米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ(58)の財団による寄付などで08年に稼働した現代の「ノアの箱舟」だ。イネと麦は各15万種、トウモロコシは4万種……。世界中から集めた80万品種の種が零下1718度で凍って眠る。
 
話が長くなったが、ジェームズ・ロリンズ氏の作品は単なるアクション小説でなく、現在問題となっている世界的課題についてそれとなく思い越させてくれるので好きだ。
 
 2. 「蛮族王アッティラの秘宝を探せ」
 
本作品はトレジャーハンター・ファーゴ夫妻のシリーズで
 
Bookデーターによると
西暦453年、フン族王アッティラが毒殺され、その遺体と共に膨大な宝物が隠された。知り合いの考古学者フィッシャー博士から、ハンガリーでのフン族のものらしき遺跡発見の報を受けたファーゴ夫妻は、アッティラの墓のありかを示す暗号を解くことになる。
 
ハンガリーにはフン族の遺跡に強い関心を持つ財界の大物アルバド・バコという男がいて、自らをアッティラの子孫と主張しアッティラの墓と財宝をわがものにしようとしていた。バコはファーゴ夫妻らに王の墓を発見させ、それを横取りしたのち彼らを亡き者にしようとしていたのだ・・・。
 
フン族王アッティラに関して色々記述してあり興味深く読んだが、共同執筆者が変わったためか、今までの作品と雰囲気が変わってアクション主体になってしまった感じがするのが残念だ。
 
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それにしてもこのファーゴ夫妻はお金持ちで、力があり、知恵は人一倍で政治力もある。
アメリカ人の理想家の夫婦なのであろう。
 
 
3. 「ヘラクレスの墓を探せ」
 
「アトランティス殲滅計画を阻め!」に続く、冒険スリラー小説第2弾。
 
Bookデーターによると
世界各地の文化遺産保護のため、国連に新たに設置された国際遺産保存局(IHA)は、水中探査船で遺跡の引き上げ作業を行っていた。
そこへ謎の集団が現れ、作業員を抹殺、機密ファイルを奪うと探査船を沈めて消えた…。
 
一方、IHAの役員を務める考古学者のニーナ・ワイルドは、プラトンの幻の著書『ヘルモクラテス』に、ヘラクレスの墓への言及を発見し、墓は実在すると確信する。
『ヘルモクラテス』原典に何千年ものあいだ隠されてきた暗号は解読できるのか?彼らに迫る、謎の組織の正体は?
 
 
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ヘラクレスはミーノータウロスを退治したテセウスとともにギリシャ神話の2大英雄として有名で、なかでもヘラクレスは美徳の道を行くか、悪徳の道を行くかの「ヘラクレスの選択」や「ヘラクレスの12功業」などの逸話が多く、私も何度かブログに書いた記憶がある。
 
このヘラクレスに関して本書で更に詳しく書かれているのでないかと期待したが、
ギリシャの哲学者プラトンが著した対話集・『ティマイオス』・『クリティアス』・『ヘルモクラテス』で、クリティアスではあの有名なアトランティスのことに詳しく触れているが、ヘルモクラテスについては書かれなかったということが定説であるが、
 
本作品ではその原本がが見つかり、そしてそこにはヘラクレスの墓の地図が暗号化されていいたという仮説で話を展開させている。
 
歴史的考察はここまでで後は善悪入り乱れたアクションとインディージョンズなどにも出てくる墓のいくつもの(ヘラクレスの12功業になぞられているが)秘密の仕掛けを解き明かしながら通過していく話だ。
 
歴史的側面の記述が少なく、単なるアクションものになってしまており、ちょっと物足らず残念だ。
 
 
4. 「テロリストの回廊」
 
トム・クランシーが1310月に急逝された後発刊された小説で大変印象深い作品だ。
 
Bookデーターによると
パキスタン沖三海里、会合点F・・。
CIA工作員ムーアは、タリバン捕虜をインド政府から密かに引き渡してもらうためパキスタン海軍の高速攻撃艇で現地に向かう。
しかし、突如、同海軍の潜水艦が出現、魚雷攻撃を受けた。辛くも難を逃れたムーアは事件の調査を開始。
やがてタリバン組織の幹部二人が浮かび上がる。
アメリカが最も恐れる二大巨悪組織、南米麻薬カルテルとタリバン・テロリストが手を組んだのか。
メキシコ国境の警備を強化する中、全米を震撼させる超大型テロ計画が見え隠れしてきた。
あの911の悪夢を阻止すべく、ムーアは大胆かつ意外な行動に出るが・・。
 
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南米麻薬カルテルとタリバン・テロリストが手を組で米国内にテロを仕掛けようとする話だが、色々登場人物と場所が飛び中々全体が理解できなかったは残念だ。
 
 
著者のトム・クランシーは13101日に出身地であるボルティモアの病院で急逝されたのだが
氏の作品はデビュー作で映画化もされた「レッドオクトーバーを追えから、最近作の「ライアンの代価」、そして今回の「テロリストの回廊」まで大抵は読んおり、本当に楽しませてもらった。
 
まだ未翻訳の本もあるようで是非読ましてもらおうと期待している。
 
それにしても66歳で急逝されるとは・・益々円熟して素晴らしい作品を世に出してくれると思っていたのに・・・。
 
残念です。ご冥福をお祈りします。
 
 
話が長くなりましたが、読書は本当に奥が深く、読む人に感動と知恵と熱情を与えてくれるものです。
 
時間ある限りどんどん読んで紹介していきたいと思います。
 
 

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先日、3月24日オランダ・ハーグで米中首脳会談が行われた。

米国が中国にウクライナ情勢で協力要請をしたものだが、中国は国内に新疆ウイグル、台湾問題等を抱え、うかつにクリミアの住民投票を認めれば民族問題に火がつきかねないため、中国から「中立」の態度の表明を得るのが精一杯であった。

だが、これと引き換えに日本および東南アジアの諸国にとって大変重要な事がやり取りされている。

この会談の共同声明で、オバマ大統領が「新型の米中両国関係の強化と構築」を宣言し、習国家主席は「米中両大国の新型関係」を強調し、「対決や衝突をなくし、相互尊重、ウィン・ウィンの協力」を築くことを力説した。


この「新型大国関係」は昨年6月ハワイでオバマ大統領と習国家主席の会談の時に中国が提案したもので、中国の主旨は表向きは、米中両国が共に大国として特別の絆を結び、国際秩序の運営に主導的な役割を果たすというものだ。

だが、その本音は、米中は対等であり、「米国は、中国が核心的利益とみなすチベットや新疆ウイグル両自治区、台湾などに口出しない。
その代わり、中国は経済や安保の共通課題について、米国に協力する。」
というもので、中国の核心的利益には南シナ海、東シナ海も入るであろうし、米側としては受け入れることは出来ず、このときは軽く受け流した。


しかし、一年も経たないうちに、米国は何故か中国の腹黒い意図を承知しながら、中国の言う「新型大国関係」の話にのるような態度を見せたのだ。


国際ルールを守らず、捏造と恫喝と暴力的な振る舞いで周辺国に脅威を与えている中国がどんな国際秩序の運営を図れるというのだろうか?

中国はインド、パキスタン、ロシア、北朝鮮の4つの核保有国に囲まれ、さらに尖閣問題、南シナ海やインド国境など難しい国境問題に直面している。

加えて国内では環境破壊、経済格差、台湾、国内移民、汚職、人権侵害、新疆地域やチベットでの民族独立問題など多くの内政問題がある。

こんな国が米国と世界を二分して、対決や衝突がなく、相互尊重し、ウィン・ウィンの世界を構築できるはずがない。


小説の世界では中国がからむ近未来のシナリオは中国が突然東南アジア諸国に武力侵攻し、米国との開戦となる話がほとんどだ。

最近読んだ本でも

「米中開戦 1~4」トム・クランシー著 新潮文庫刊
「中国軍を阻止せよ 上下」ラリー・ボンド著 二見文庫刊

共に中国の南シナ海強奪を切っ掛けに米国を巻込んだ世界大戦を描いている。

簡単に内容を紹介すると

「米中開戦」は最近急逝したトム・クランシーのジャク・ライアンシリーズの作品で2014年1月13日のブログで前半の1,2巻について触れたが、今回後半の3,4巻も出版されたので改めて記載するが、

強力な軍事力により、中国は一方的に南シナ海を封鎖宣言し南シナ海を強奪し、インドの航空母艦が海域に侵入したとたん、対艦ミサイル四発を発射した――。

その一方、中国のサイバーテロによる、米国全土の都市インフラを始め、金融システム、原子力発電所、軍事偵察衛星へまでの陰湿・巧妙・非常で激烈な攻撃に襲われたジャック・ライアン米国大統領が決断を下す・・・。

本著はサイバー空間での戦いを中心に据えた軍事・諜報・謀略・政治小説である。



「中国軍を阻止せよ」は、以前私のブログでも紹介した「レッド・ドラゴン侵攻シリーズ」で中国による侵略戦争を書いているラリー・ボンドの作品だ。

前作「レッド・ドラゴン・・」は温暖化により飢餓が進む中国はベトナム軍が中国へ侵攻したと口実をつけ、肥沃な農地と豊富な海洋油田を持つベトナムへ侵攻し、アジア全土を制圧しようとする野望いだく中国とそれを阻止しようとする米国の話だ。

今回の「中国軍を阻止せよ」は中東からの石油資源の減少に悩む中国は南シナ海の資源に目をつけ、強力な戦闘攻撃装備を持つ巨大な石油プラットフォームを密かに建造し設置しようと計画する。

それ察知した日本は、関係諸国(インド、韓国、ベトナム)と「沿岸同盟」を作り中国の作戦を阻止するため、密かに中国に向かう巨大タンカーや商船を次々と攻撃、撃沈していく。

「沿岸同盟」の動きを察知した中国は同盟国の主要都市にミサイルを発射する・・・。

不干渉の立場をとっていたアメリカは戦いをやめさせるために原子力潜水艦にある指令を出す・・・。



この小説では米国は不干渉の立場で、中国の不穏な動きを一切掴んでいない。

先日の中国との「新型大国関係」で、米国はアジアでの中国のすることには口出さないとする関係をいみじくも表している。

2年ほど前に書かれているため、韓国が日本との同盟に参加するというのはご愛嬌であるが。

いくら米国が中国との経済の結びつきが無視できなくなったとしても、中国はちょっとスキを作ると強引で暴力的な手段で我が物し、それを既成事実化してしまうので、この「新型大国関係」は本当に油断できない。

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