My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心に思いついた事柄をつれづれに書き綴ります

タグ:その他金融と投資

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先日、楽天証券主催の
「10周年記念投資セミナー」
なるものを受講した。

大阪中之島国際会議場で開催されたのだが、
主催者側の報告では参加者は2500人を超えたと言っていた。

リーマンショックをきっかけに、世界経済の急激な収縮が起こり、
株価が大暴落したが、
最近は少し持ち直したかに見え、このまま景気の回復が進むのか、
回復は一時的で、更なる下落が待っているのか・・・。

もしかしたら、こんな疑問に解決のヒントでも聞けたらと
参加したのだが、
思いは皆同じで、朝早くから8時間にもわたる講演に本当に多くの人が参加していました。

セミナーのプログラムは

1.竹中平蔵氏(慶応義塾大学教授グローバルセキュリティー研究所所長)
   「世界経済危機と日本の行方」
2.森永卓郎氏 (獨協大学教授 経済アナリスト)
   「超節約?年収防衛?個人投資家が効率的に殖やす方法」
3.澤上厚人氏(さわかみ投信 代表取締役社長)
   「長期投資で実現する輝く未来」
4.堀古英司氏(ホリコ・キャピタル・マネージメントLLC最高経営責任者)
   「2009年後半米国経済・株式相場の見通し」
5.和島英樹(ラジオNIKKEI記者)
   「それでも、日はまた昇る!次のステージで活躍する企業群」
6.福永博之氏(螢ぅ戰鵐肇肇薀好搬緝充萃勛髻
   「いざ!というときに備えるリスクヘッジとその方法について」
7.大島和隆氏(楽天投信投資顧問顧問CEO兼最高運用責任者)
   「最近の投資環境事情~今注目のビジネストレンド~」

どうですか、題目を見ると世界経済の今後の動向へのヒントが十分得られた、と思うでしょう。

結果は・・・

       
今回の講演をを聞いて印象に残った事を少し述べると、

竹中平蔵氏は、
15兆円の補正予算について、景気対策には二通りある。
一つは「助ける政策:Policy to Help」
もう一つは「解決する政策:Policy to Solve」で、
前者は始めはいいが直ぐ効果がなくなる。

本当にしなければならないのは、経済を強くする解決(改革)する
政策を実行しなければだめだ。
そのためには強いリーダが必要だ。

慶応大学の教授らしく、最後には、福沢諭吉の
「学問の進め」についてふれ、
福沢諭吉は「国民一人一人がしっかり考え、賢くなれ」と
「学問の進め」書いた。

当時の人口レベルから、現在に置き換えると1000万部も
売れたことになる。

当時の人は皆よく読み勉強していたのだ。

現在の我々も、国民が一人一人よく勉強し、賢くなって、
真のリーダ^を見極める力を持たなければならないと結んでいた。

森永卓郎氏は
英国サチャー元首相の行き過ぎた完全民営化で、庶民への増税、福祉の切捨てなどの問題点を説くと共に、昔は労働者が額に汗して付加価を出していたが、
金融資本主義では、金融資財が主役で労働者は道具化され、必要なくなればすぐ捨てられてしまう。
節約して抵抗すると力説していた。

堀古英司氏は
仕事の拠点をニューヨークに置いたファンドマネージャーで、
今米国で何が起きているのか、これからどうなるのか、生の情報を教えてくれた。

米国の景気も少し持ち直してきたかにみえ、今年いっぱいは上がったり下がったりしながら、
少しずつ回復すると思われるが、来年、もしくは今年の年末頃には再び大きな下落があるかもしれない。

その理由は、オバマ政権はブッシュ前政権が総額7000億ドル(約66兆円)で作った不良資産救済プログラム(TARP)と政権発足直後に決めた総額7800億ドル(約74兆円)の景気対策をフル活用している。
が、この大盤振る舞いの原資は国債だ。

米政府は不況に伴う税収減も加わり、2009年会計年度に1.8兆ドル、
対国内生産(GDP)比13%という戦後最大の財政赤字となる。

さらに、米政府は、FBR:620兆円、預金保険関連:170兆円、住宅関連:75兆円
という莫大な金額で、TARP資金の枯渇分を政府の保証という形で補っている。

米国には 「ノンリコースローン」といった日本にはない制度がある。

これは住宅の価格がある比率(20%)以下に 下落した場合、それ超す損害は金融機関が負担するというものだ。

現在、住宅価格の下落率は18%になっているが、これが20%を超えると、住宅を売る人が急増する。

金融機関が20%超えた下落分を負担し、買い取った、人の住まない住宅は価値がどんどん下がり、金融機関の財政を悪化さす。

金融機関には政府の保証があり、最終的に国の
財政を更に悪化させる。
この事により再び急激な経済収縮が起こるという理屈だ。


ほかの講演者も、最近のトレンドとして、環境、スマートグリド、クラウドコンピュターなどのキーワードに注目せよと協調しており、それなりに有意義な一日を過ごすことが出来た。

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一寸前になりますが、アメリカで世界金融業界を巻き込んだ巨大詐欺事件が発覚したと、報道され注目されたが、その内容は新聞記事によると

「米証券界の実力者で、元ナスダック・ストック・マーケット(現ナスダックOMXグループ)会長のバーナード・マドフによる巨額詐欺事件で15日、
古典的とも言える「ねずみ講」まがいの手口にだまされたことを認める世界の大手金融機関が相次いだ。

 投資残高を明らかにした銀行などは英、仏、日本、スペインなどに及び、
総額は最大で500億ドル(約4兆5600億円)にも達するとみられる。

 米捜査当局は、マドフ容疑者が新規顧客の投資資金を密かに配当にあて、
高い利ざやを維持する「ねずみ講」方式で高い利回りを装っていたとみている。

新規顧客を勧誘できていた間は運営を継続できたが、資金の引き上げを求める顧客が現れ始めると潤沢なはずのマドフ氏の投資ファンドの実態が発覚した。」とある

この手の「ねずみ講」をポンジ・スキームと呼ぶと、合わせて次の記事が日経新聞の「春秋」のコラムに掲載されていた。

「二十世紀の始めのボストンに稀代の詐欺師がいた。
彼の名はチャールズ・ポンジという。

彼は国によって値段が大きく異なる「国際郵便返信用クーポン」なるものをネタに、90日で利回り100%などとうたって巨額のカネを集めた。

最初は、たしかに驚くべき高配当がもたらされた。
が、じつはクーポン云々は真っ赤なウソで、先に出資した人々への支払いを常に後ろの顧客の資金で賄っていただけだ。」

この事件以降、「ねずみ講」のような詐欺をポンジ・スキームと呼ぶようになった。

何故、海千山千の金融のプロたちが、簡単な手法の詐欺に引っかかったのだろうか


それは、マドフ氏は1960年に証券会社を創業、米株式市場のナスダックを運営するナスダック・ストック・マーケットの会長を務めた経験もあるウォール街の名士であったことと、

市場関係者の間でマドフ氏のファンドについて「あまりに長期間高利回りを維持しており不自然」とささやかれており、
米証券取引委員会(SEC)は99年に取引に疑問があるとの訴えを受けたが、本格的な調査は実施されなかった。
などが被害を拡大させた要因のようだ。

投資家保護問題の専門家は「当局の監督体制に不備があったといわざるを得ない」と指摘、ヘッジファンドに対する監視強化を求める。

確かにそうだろう、サブプライムローンによる金融危機も証券会社に対する格付け会社の審査がいい加減であったため、事を大きくした面もある。

だが、本当はこの事件の本質は「モノつくりをしなくなった、アメリカの強欲資本主義」にある。

文芸春秋社刊 神谷秀樹著 「強欲資本主義 ウォール街の自爆:世界バルブ大崩壊」で失敗の本質はウォール街の「強欲」と「傲慢」にあると言い切る。

本書によると、第二次大戦以降、アメリカは世界でも最も健全な経済を維持していたが、「強いアメリカ」を縹渺した1980年代のレーガン大統領以降大きく舵を変えることになり、
今では中心産業は金融となり、全企業の収益の4割を占めるようになった。
これはモノつくりが出来なくなったから金融が発展したとも言える

このように金融産業にシフトしたアメリカでは、
金融業そのものが他の産業を(保護するのでなく、吸収、合併、転売を続ける結果)つぶしながら拡大を図っていくが、

その根底は、刹那的な利益の追求もとめた「強欲」と「傲慢」によるもので、もはや、そこは、社会にどのように貢献したか、倫理観が高いとか、そうしたお金以外の要素は全く評価の対象にならない「強欲」の世界なのだ。

最近批判に晒され始めた、企業の最高経営責任者(CEO)の高額報酬問題でもその一環が窺われる。

米シンクタンクの調査では、1965年にCEOと労働者との報酬格差は24倍であったが、89年には71倍、2005年には262倍に拡大したという。

又退職金も物凄い、数年前(数年の勤務で)の就任時より株価が下がったにもかかわらず、
ホーム・デポCEOの退職金246億円、ファイザーCEOが234億円と庶民感覚からまったくかけ離れている。

一握りの経営者が好き勝手に自分の常識はずれの高額報酬を決め、
それを見る周りの人も我もわれもと、強欲の連鎖が続く、

これだけのお金があれば、会社のための収益改善が、労働者のための作業環境が、地域への環境改善が出来るかなど、一切考えない。

ファンドの世界も輪にかけた強欲の世界で、

「今日の儲けは私のもの、明日の損失は君のもの」と言い切り、
人のお金を集め、自分の利益のために好き勝手にあらん限りのことを平気で行う。

このような社会で、多少胡散臭い話と感じても、人の金、人の会社と思えば、利益のため話に乗ってしまうのだろう。

強欲資本主義が崩壊させた世界経済、金融制度の見直しに繋がればと思うが、甚大な被害を蒙るのは一般の我々だ。

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