
海外のダイビングへ行く際は、行きたいところが多く、今までは、順番的にあっさりと決まってしまうのだが、今回はなかなかうまくいかなかった。
9月の初め、チュークに行き、レックダイビングの豪快さと神秘さにはまり,次回もレックダイビングをと、色々調べて、バヌアツに白羽の矢を当てました。
バヌアツをご存知ですか?
昔の名でニューヘブリディーズと聞くと思い出す人も多いかと思いますが、もう50年も前に、かの有名な(?)ミュージカル映画「南太平洋」は原作者ジェームス・ミッチナーが太平洋戦争時、
この島に滞在していた時の経験を基に書いたものです。
ロジャース&ハマースタインが遥かなるロマンの島《バリ・ハイ》を彩る魅惑の調べと、ブロードウエーで謳いあげ、一躍有名になりました。
今でも、私の南太平洋のイメージの原点はこの映画です。
その頃、行くこともままならなかった南太平洋をこの映画を通じて思い描いたものです。
バヌアツは、南太平洋上に浮かぶ島国。
西にオーストラリア、北にソロモン諸島、東にフィジー、南にニューカレドニアがある。
800kmにわたって北北西から南南東に連なる83の島からなる。
大部分は火山島で、特にアンブリム島、タナ島、ロペヴィ島の火山は活火山として活動が継続している。
このバヌアツの北西部にあるエスプリット・サント島では、プレジデント・クーリッジという全長201m、幅25m総重量22,000トンもの巨大豪華客船が沈んでおり、豪快なレックダイビングが出来る。。
しかし、ここは水深が40から50mと深く、テクニカルダイビングの範疇であるため、現地ガイドは一発で深場に案内はしてくれない、3日ぐらいかけて技量をみながら、徐々に体を慣らし本命の場所に行き着くのだ。
また、タンナ島のヤスール火山では、世界でも最も火口に近づける火山として有名で、溶岩が飛び散る噴火の様子を間近に見ることが出来るのだ。
レックダイビングができて、火山の噴火が間近に見えるとなれば、最近地球科学に強い興味を持っている私としては、即バヌアツ行きを決心し、旅行会社に相談したのだが・・・。
バヌアツへは日本から直行便はなく、ニューカレドニア経由が一般的だが、サント島で3日間のダイビング、タナ島で1日の火山見学をすると、1週間や10日ぐらいの休暇では実現できないことが分かり、あえなく夢破れてしまった。
がっかりして、次の候補地を考える気もなくなっていたところ、最近になって、旅行会社から、JALパラオ直行便ツアーに空席が多く、格安となっているが、如何ですかとの誘いがあった。
パラオのハイシーズは2,3月の冬場で、今は季節の変わり目で天候が安定しない時期なので敬遠する人が多いのか、今問題となっているJAL再建問題を心配して行く人が少なくないのか、よく分からないが、新しい候補地を考える気も起きず、二つ返事でOKした。
パラオには過去二回行っている。
3度目のパラオを決心したのは、今までに行くことが出来なかったブルーホールに今度は行けるだろうとの期待もあったからだ。
初めてのパラオは夏の雨季だった。
風、波が激しく、船酔いしながら潜ったが、結局ブルーホールには行けず。
2度目は、是非冬場に来いと云われ、昨年の2月に行った。
天候は全く問題なく、ならば、流れが激しいが、大物の大群に遭遇できるペリリュー島へ行きたくなり、無理してツアーを組んでもらい、大物の群れを見ながらのドリフトダイビングを堪能させてもらった。
おかげで、スケジュールが狂い、再び、ブルーホールへは行けずじまいとなった。
今度は絶対、ブルーホールに行くぞと、天候の安定を強く願う次第だ。
それにしても、パラオの凄いところは、迫力たっぷりの大物&群れだ。
マンタ、バラクーダ、ギンガメアジ、ナポレオン、サメその他の回遊魚など、憧れの生物が次々に登場する。
生物の多い地域は、地球規模の地形と海流の影響があると思います。
地形に関しては、パラオ諸島は、九州・パラオ海嶺(九州日向灘からニューギニアまで続く長大な海嶺で、日向灘で沈み込み、地震の元になっている)にのっており、比高2000mにも及ぶ断崖構造で、栄養豊富な深海水の湧水が起こる。
海流については、グリーランド近海で沈み込んだ表層海流は、4000mという深海を深層流となって、2000年もかけて豊富な栄養素(ミネラル)を溜め込みながら流れ、北太平洋で湧き上がる。
その後、太陽の光を受け植物プランクトンを大量発生させた海流は、北赤道流となって西進し、フィリッピン東岸にぶつかり、九州・パラオ海嶺に沿って北上し黒潮となる。
そうなのです、パラオは地球の雄大な造成活動と、海洋循環システムにより作り上げられた、まれに見る豊饒な海域となっているのです。
こんな壮大でダイナミックな地球創造のドラマに夢はせながら、パラオの豊饒な海を楽しんできます。