
先日安倍内閣の閣僚資産が公開され、平均1億193万円 野田政権から倍増したという。
最高額は麻生太郎副総理の4億7136万円で、1億円を超えたのは6人で、最も少ないのは岸田文雄外相の2131万円だったという。
この資産公開は、在任中に職務を利用して不正に蓄財するのを防ぐため、ロッキード事件を契機に導入されたが、閣僚本人と同じ家計の配偶者、子どもが持つ土地・建物や預貯金、有価証券などが対象で、普通・当座預金は除外され、株式は銘柄と保有数だけでまだ資産が正確に把握されたとは言いがたい面もある。
叉、野田内閣の閣僚の辞任時の資産も併せて公開されたが、就任時と比べて大きな変化はなかったという。
我々庶民から見るとやはり政治家はお金持ちだとも思えるが、日夜天下国家を考え、国民のためと身を削るような想いをして頂いている政治家としては以外に少ないとも見えますが。
ただ、政治家の皆さんであるから数字に表れない隠れたものもあるのではないかと思いますが・・・。
それにしても唖然とするのは中国の党幹部達の腐敗の状況だ。
最近読んだ「紅の党」に 中国の権力闘争の姿と巨万の富を築く党幹部子弟・親族達の実態をあからさまにしている。
この本は朝日新聞社が中国の権力の闇の内幕に鋭く切り込んだレポートだ。
2012年11月、5年に1度の党大会を開催し、毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤に続く「第5世代」の習近平体制が発足したが、
この10年ぶりの最高指導部の交代の舞台裏での、野心家の薄熙来の失脚、党大会の開催遅れ、その直前に忽然と姿を消した習近平など、壮大な規模の権力闘争と巨万の富を築く高官子弟の優雅な暮らしぶりや、権力をほしいままにする党幹部たちの実態に迫るとともに、軍のトップ・党中央軍事委員会主席の座をめぐっての江沢民を道連れにした胡錦濤の決断など、中国の闇の内幕を白日の下にさらした。
党幹部や高級官僚などの腐敗振りを現す「裸官」と言う言葉をよく目にするようになった。
中国で賄賂などで不正に稼いだ資産を、家族と共に海外に移し自分だけ中国に残っている人のことを「裸官」と呼ばれている。
党内の検査部門は2011年、「裸官」幹部がどのくらいいるのか調査したことがあるが、いまだ公表されてない。
それは余りにも数が多いので社会への影響が余りにも大きいからだと推測されている。
党幹部、高級官僚やその親族たちの腐敗振りはインターネットで調べるといやっと言うほど多く、かつ信じられないほどの高額だ。
・温家宝首相の一族が首相就任後に27億ドル(約2100億円)もの巨額な蓄財をしたと米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
・鉄道省の元運輸局長が20億ドル(約1600億円)もの資産を海外に持ち出したと中国メディアが報じる。
・薄熙来の妻谷開来の60億ドル(約4800億円)に上る海外への不正送金疑惑。
・本年の党中央規律検査委員会の報告では、2007年11月から2012年6月までの約5年間に汚職や職権乱用など腐敗問題で処分された党員は66万8429人に上り、腐敗の深刻さを浮き彫りにした。この間立件した贈収賄事件は8万1391件、賄賂は総額222億300万元(約2900億円)に及んだ。
・2012年の年間を通じて、北京空港から国外に逃亡した党および政府の"処級以上(日本の「課長以上」)"の幹部は354人に上り、過去最高を記録した。彼らは家族を帯同し、国内で汚職や腐敗によって稼いだ汚れたカネを不当に国外へ持ち出した。その総額は3000億元(4兆800億円)以上。彼ら一人当たりの平均持ち出し額は9億元(約122億4000万円)に達している。
一体この国はどうなっているのだろうか?
地殻変動をいち早く感知して逃げ出す小動物のように、党の幹部達はこの国の行く末を察知し自国を捨てて逃げ出しているのだろうか?
習近平国家主席は党中央大会の後、記者会見で、新体制が直面する多数の重大な内政課題に、汚職や政府と一般国民との乖離、過度の形式主義、官僚制の弊害などに言及し、早急な対策を打ち出す必要性を強調した。
しかし、現在、党幹部の親族の多くは、有力企業に入ったり金融や不動産分野で事業を立ち上げたりして、発展する中国経済の利益を享受しており、この既得権益にメスを入れるような政治や経済の改革がうまく進むはずがない。
習近平政権発足後も暴動が続く中国では、結局、歴代の統治者と同じく、国内の混乱収拾のためにわざと国際的危機を作り出して国民の目を外に逸らすような方策に打って出るのであろう。
それを予兆しているのが尖閣諸島で中国の領海、領空侵犯、そしてレーザー照射と次々と危機を煽り国民の目を内政に向かないように演出している。
どうやら習近平政権は本気で、日本との「尖閣紛争」を起こす、いや起こさざるを得ないのだ。
「紅の党」 朝日新聞中国総局 朝日新聞出版 1300円