明日よりオーストラリア北部のGBR(グレートバリアリーフ)でのミンククジラウォッチングダイブクルーズと南部のSouth West Rock(サウスウエストロック)のシロワニ(サメ)及びザトウクジラを見るダイビングに行ってきます。
GBRの北端部、リボンリーフやゴッドホールでは6月中旬から7月中旬頃のこの期間がミンククジラが回遊してくる本格的シーズンで、ほぼ100%の確率で見ることが出来るとのこと。
行程は月曜日(3日)の昼前ケアンズの港でスピリットオブフリーダムというクルーズ船にのり、途中ダイビングをしながらリボンリーフ&コッドホールを目指し北上するルートで最終日はリザード島へ上陸してチャーター機でケアンズ昼ごろ帰るという3泊4日の比較的短いクルーズだ。

Sprit of Freedom号 ダイビング設備が整った豪華な船だ

ミンククジラ こんなによく見れたら良いのだが
(共にインターネットより)
だが、状況が良ければ1日最高5本のダイビングも計画されている意外とハードな面もあるダイブクルーズである。

今回のSprit of Freedomの航海ルート 赤枠のもの GBRの北端を目指す
又、サウスウエストロックはゴールドコーストとシドニーの丁度中間くらいにある海沿いの自然豊かな小さな町だが、クルーズ下船後ケアンズで一泊して翌日シドニー経由してコフスハーバーという空港へ行き、そこから車で一時間ぐらいで到着するところだ。
この小さな町の沖合に世界中のサメ好きダイバーが一度は行ってみたいと憧れるフィッシュロックというシロワニが群れで棲む洞窟のダイビングポイントがあるのだ。

長さ125mの洞窟にサメがウジャウジャ・・・(The South West Rocks Dive Centreより)
水深20Mぐらいの海中の片側から反対側まで約125mの長さにわたって続く1本の洞窟があり、 その海底にはシロワニがうじゃうじゃと棲みついているという有名なサメポイントだ。
洞窟、そしてサメがうじゃうじゃ。
更に、そのサメがシロワニという獰猛(実際はおとなしいサメだが)な顔つきで最もサメらしい(?)サメである事より、地形派で大物派の私のダイビング趣向にピッタリなことより以前から行くてチャンスを狙っていた所だ。


フィッシュロックと言う洞窟でシロワニが棲みついてじっくりとこんなのが見れるという
この写真を見たら誰でも行ってみたくなるでしょう(The South West Rocks Dive Centreより)
インターネットよりの動画
今回、今年初めにメキシコ・コスメル、セノーテへ行ったショップからGBRのミンククジラクルーズを誘われたので、ついでにいいチャンスとばかり、念願のサウスウエストロックのシロワニダイビングを合わせてしまったのだ。

オーストラリアではサメの事故がありサメよけスーツが
売られているという。チョットほしいな!(インターネットより)
念願のミンククジラとシロワニダイビングで期待一杯というところであるが、心配事もある。
今年の4月25日付けのNATIONAL GEOGRAOHICに
「グレート・バリア・リーフの93%でサンゴ礁白化」という記事が掲載されていた。
この記事によると
「グレート・バリア・リーフは、2900の小規模なサンゴ礁から構成される。
今回調査したのは911のサンゴ礁で、このうち実に93%に上る843のサンゴ礁が、何らかのかたちで白化していることが判明した。
さらに、主に北部にある手つかずの316のサンゴ礁において、そこに生息するサンゴの60~100%が白化していた。
一方、南部のサンゴ礁の大半は、深刻な損傷を受けていなかった。

NATIONAL GEOGRAOHICが報告したGBRの珊瑚の白化調査
サンゴ白化の拡大によって、副次的な影響が大きくなることは明らかだ。というのも、グレート・バリア・リーフには1500種を超える魚、世界のウミガメ7種のうち6種、30種のクジラやイルカが暮らしている。
それに、ユネスコの世界遺産にも指定されている同リーフは、オーストラリアにとって観光業の中心であり、約7万件の雇用と500万ドル以上の現金をもたらしている。 」
とあった。
今度行くミンククジラウオッチングがまさにGBRの北端部であり、珊瑚の白化現象がひどくなっている地域だ。
珊瑚の白化現象はその地域に棲む生物に大きな影響を与えるが、一体どうなっているのだろうか? 魚など殆ど見ることが出来ないようになってしまっているのだろうか?
この現象はオーストラリアに限ったものでなく世界的な規模で白化現象が起きているという。
1998年にも世界中で珊瑚の白化現象が発生しており、なんとか回復してきたところだというのに。
珊瑚の白化現象は環境ストレスによるもので、その主たるものは海水の温暖化による温度上昇によるものであるが、他に淡水や土砂の流入、オニヒトデなどの天敵の異常発生。
さらに我々ダイバーによる珊瑚の破損などもあるという。
どうか、冬を迎えたオーストラリアで海水の温度が下がり、白化現象が回復して魚が満ち溢れた海であって欲しいと祈るばかりだ。
勿論、我々ダイバーは珊瑚にストレスを与えないよう細心の注意を怠らない事が肝心だ。
それにしても、中国の南シナ海の埋め立て、写真を見ると環境保護など一切考慮していないようだが、このまま行くと20年も経つと南シナ海も中国の沿岸や河川と同じように死の海になると警告する記事を読んだことがある。
中国は本当に傍若無人に世界を汚染していく。なんとかならないものか。
さて、珊瑚の白化現象の問題は行って見てきた後に詳しく書きたいが、やはり今、頭のなかを占めている大きな問題は英国のEU離脱決定問題だ。
6月23日英国は国民投票によりEUより離脱することを決定した。
英国がEUを離脱することにより英国、欧州そして世界にとって明らかに不都合な事が起きうるであろうと予測されていたのにも拘わらずだ。
英国がEUから離脱すると
・まず英国の経済弱体化、欧州そして世界の経済低迷
・英国のドル箱である金融面での、ロンドンのシティの地位の急低下
・英国(連合王国:イングランド、ウエールズ、スコットランド、北アイルランド)の
分裂の恐れ、特にスコットランドと北アイルランドは英国がEUに加盟していることで
やっと英国に留まる決定を下ばかりだ。
・EUの加盟国の離脱ドミノ現象によるEU解体の恐れ
離脱派の主な主張は
・EUの過剰な規制
・国家主権の回復
・課題なEUへの拠出金
・移民の増加による失職、治安の悪化、福祉の低下
などであった。
案の定、離脱決定のショックでグローバルに株安が連鎖し、先週末24日の1日だけで世界の株式時価総額は約3.3兆ドル(330兆円強)と全体の約5%に相当する額が消失したという。

英国EU離脱決定後一日での主要各国の株価下落((日経新聞より)
当事国の英国が下落小さく、相変わらず日本が大きく反応している
24日の時価総額の減少幅は、英国の15年の名目国内総生産(GDP)の約2兆8000億ドルを上回る規模だ。米リーマン・ブラザーズが破綻した08年9月15日は46兆ドル程度あった世界の時価総額が約1.7兆ドル(4%弱)減少した。
今回の方が時価総額の減少幅・減少率ともに大きい。

英国のEU離脱による金融ショックで世界の景気が下押しされる(日経より)
又、スコットランドや北アイルランドは残留派が多くを占めるため、単独でEU加盟や独立への国民投票をすべきとの意見が上がっている。
ロンドンまで独立してEU加盟するとの話まである。

UK(連合王国)の絆も今回のショックで分裂もあるのか(日経より)
EU内部においても、26日に行われたスペインの総選挙で急進左派が伸びず、ひとまず反EUドミノは一旦回避されたが、デンマーク、オランダなどEUに懐疑的な国々が選挙などを控えており今後の各国への波及は不透明である。
英国はEU離脱を決めたことで、悪い方向へ大きな一歩を踏み出したのは間違いなが、一つの選択として尊重されなければならない。
だが、どうしてキャメロン首相は国民投票という無謀な賭けにでたのだろうか?そもそも国民投票は本当にこのような重要案件を決定するにのに適切な方法なのだろうか?
EUは、二度の世界大戦を経た欧州で再び戦争を起こさないこと、米国に対抗できる28か国(5億740万人:米国の1.6倍 英国を含めた)の自由貿易圏をつくるという2つのビジョンにより誕生して、2012年には「EUがその前身の時代も含めて60年以上にわたって「平和と和解、民主主義と人権の向上に貢献してきた」としてノーベル平和賞を受賞している。
だが、確かに最近のEUは加盟国が増え、規制、統制が強くなり、ドイツ一強はど不満が多くあり、そこに移民問題が発生してギクシャクしているのは事実だが、現在に至るまでのEUの努力の歴史は我々が誇るべきものだと思うが、これらの枠組みを崩壊させるのはこれ又実に簡単である。
一国の目先の利害だけのポピュリズム(大衆迎合主義)に負けた国民投票により解体の憂き目に立たされるのもなんともやるせない。
それにしても、なぜ今国民投票なのかというと、3年前にギリシャの財政危機をきっかけに、「ギリシャを我々の税金で助ける必要が無い」といった感情的な世論が広がり、それを背景に保守党内でも反EU勢力が力を増して党内運営が行き詰まってしまたとき、キャメロン首相は、「皆で議論して国民投票で決める」という極めて安易な決定をして決断から逃げてしまった。
それならそれで、残留と離脱の利害得失を示す判断材料を提供して徹底的な国民的議論を組織しなければならなかったが、たぶん「まさか離脱には行き着くまい」という甘い見通しがあったのだろう、ろくな努力もしないまま投票日を迎えてしまった。
26日付読売に、成田憲彦 駿河台大学教授は「国民投票という制度は主権者である国民の意思を直接確認するという意味で、絶対的な正統性を持つように見えるが、それが本当に優れたシステムかどうか検討を要する」と指摘している。
このような場合、何よりも重要なのは「主権者1人1人に、十分に的確な判断ができるだけの情報が与えられた」上での「熟議」だが、国民投票は結局プロパガンダの応酬となり、熟議民主主義は成立しないのではないか。
それよりも代議制を鍛え直す方が先だというのが成田教授の主張で、なぜなら「もし国民投票で誤った選択がなされた場合、誰が責任を取るのか。この点で行き詰まる。
代議制なら、代表者や党派に「選挙を通じて」責任を取らせることで、方向転換が可能になる」からであるとあった。
まさにそのとおりだ、今回の国民投票でも離脱派のリーダー達は、「離脱により移民の流入が制限できれば、国民の社会保障費の負担が減り、雇用環境から医療、さらには交通渋滞までもが改善するとし、ナショナリズム、美化されたノスタルジア、エリートへの不信感などを煽って国民を離脱へ誘導する手段をとっている。
離脱派のリーダーは煽るだけ煽ったが、離脱すれば確実に低迷する英国の経済をどのように回復するかその手段を示すことなく、ジョンソン前ロンドン市長などは離脱が決定後すぐ、EUへの離脱通知は急ぐことなくしばらくこのままで良いのではないかと無責任なことを言っていたが、事もあろうに30日保守党首選挙に不出馬と宣言した。
煽るだけ煽った後始末の責任の重大性に怖気ついたのかもしれない。

英国が取るべきEUとの通称交渉 どれも難しそうだ(日経より)
又国民レベルでも、その結果の重大性に衝撃を受け、英国民の中に後悔の声が広がっている。
国民投票のやり直しを求めた残留派たちの署名は370万人にを超え、英国史上最高に上った。
離脱派からも「こんな事になるなら賛成するんだった」、「どうせ残留に決まるのだから軽い気持ちで反対票を入れてしまった」などのインタビュー放送を見た。
国民投票の難しさだ。
地域や年齢層によっても残留/離脱の比率が大きく違うようだ。
今後国内の分裂の爭いのもとにならなければ良いのだが。
国民投票をするなら為政者がしっかりした計画準備に基づき、国民に十分に理解、判断できる情報を提供して、かつ僅差の場合は次のステップで決める方法を考えるべきだ。
民主主義の発達した英国でこの状態であるなら、「戦争法案反対」などと連呼するするだけのデモや、又先日ある党の政策担当者は防衛予算を「人を殺す予算」と言ってはばからない政治家がいる国の国民投票は悲惨なものであろう。
今まで国民投票の経験はないが、近く憲法改正への国民投票があるかもしれないが、皆が賢い選択が出来るよう情報の収集と勉強を怠らないようにしなければならない。
6月29日にはオランダ・ハーグの仲裁裁判所は判決を7月12日に出すと発表した。南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶとする中国の主張に法的根拠がないとしてフィリピンが提訴した仲裁裁判で、同海域で軍事化を進める中国の主張について初めて国際司法の判断が下る事になる。
中国は自国に不利な判決が出ても従わないと主張するが、国際社会の風当たりが強まるのは確実であると思える。が、経済と政治は別などと言わずこの際多少経済が傷んでも国際社会全体で中国に「国際法」を順守させるように手を組むべきだ。
7月12日の裁判の結果が待たれる。
明日から2週間ばかりオーストリアにダイビングに行きますが、今回の世界株安金融危機はリーマンの時と違って原因がはっきりしているから極端な事になるようなことはないというが、更に南シナ海の裁判結果と世の中は増々混沌としてきた感じであるが、一時、どうかゆっくりとダイビングを楽しませて貰いたいものだ。