先日(19日)、例年の如く新年にあたって、取引のある金融会社が主催する経済セミナーに出席してきた。
標題は「2019年の世界経済の展望」だ。
金融会社の顧客が参加するセミナーでは講師に呼ばれた偉い先生方もあまりがっくりするようなことは言わないのが普通のようだが、今回の講師:明治大学教授 蟹瀬誠一氏も大変流暢に分かりやすく世界経済はまだまだ成長する元気づけてくれた。
 
経済のサイクルには大きく4つのパターンが有るという。
1つ目は4年サイクルの在庫の増減によるもの
2つ目は10年サイクルの銀行の融資強弱によるもの
3つ目は20年サイクルの大型資産への投資によるもの
4つ目は50年サイクルの大型の社会インフラ、ダムや鉄道などの投資によるもの
 
明治維新から150年が経過する日本は、イフラの新設、改善、拡大の大きな波押し寄せている。
確かに、オリンピック、万博、リニア新幹線、5G通信網、AI、自動運転車、サイバー・・・・社会構造を大きく変え、莫大なお金と人と技術を必要とする変革が目白押しだ。

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大きな目で見れば日本の経済は今後さらに大きく発展していくだろうし、世界経済は、人口が増加し続く限り消費が増加し経済は成長していく・・・、但し時の経過とともに発展していく地域は変わるであろうから注意が必要だ。
 
勿論、色々リスクは存在する
・米国第一主義・・米中貿易戦争、欧州・日本との貿易交渉
・中国の景気失速懸念
・欧州政治リスク・・英国:EU離脱問題、フランス:財政再建を巡る政情不安・・
心配したらキリがないほどあるが、中国の景気だが、何でも反対する野党がいない国だからイザっとなったら思い切った手を打つはずだ、なにしろ、経済成長を7%程度に維持しないと若者たちの就職がままならず国民の不安が増大し政変に繋がるの嫌うだろうから。

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又、金融会社の提示資料によると、日本経済について、
「消費増税については家計への負担軽減措置等で限定的な影響になる見通しで、中国の景気失速懸念はあるものの、政府の景気下支え策の効果もあり、緩やかな景気回復の継続を想定する」と報告され、
又、「日本の人口減少による消費力の低下という、日本経済が抱かえる課題に対し、2018年の訪日外国人旅行者がはじめて3000万人を超え、消費の面でも大きな影響力を持ち、人口減による消費をサポートとなることが期待される」
 
などの話を、大阪の豪華なホテルで美味しいコーヒーを飲みながら聞き少し晴れやかな気分になって帰宅することが出来た。

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だが、しかし、今日(22日)の日経新聞の朝刊をみて、その晴れやかな気分も瞬時に吹き飛ぶような世界景気減速に関する記事が目白押しだった。
 
まず、第一面にドーンと
「中国経済の減速鮮明 18年成長率 28年ぶり低水準」とある。
記事によると
「中国経済の減速が鮮明だ。2018年の実質成長率は6.6%と28年ぶりの低水準で181012月期は6.4%に落ちた。7~9月期比での低下幅は0.1ポイントにすぎないが、消費などの主要指標は米中貿易戦争の影響が本格化した秋以降に急変している。」
そして、 「中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は21日、政府高官らを集めた党会合で「経済が直面する国際環境と国内条件は深刻で複雑な変化が生じている」と強調した。経済運営に細心の注意を払うよう指示した。
 通年の成長率は天安門事件の余波で経済が低迷した90年以来の低水準。昨年1012月の成長率はリーマン・ショック直後の09年1~3月以来9年9カ月ぶりの低さだ。」とある。

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更に、2面の社説では
「中国は成長維持へ大胆な対外開放を」と追い打ちをかけ
 
「安定成長を目指してきた中国経済の行方に黄信号がともった。地方政府や企業の債務過剰に伴う不振に、米国との経済・貿易、技術覇権の戦いが拍車をかけた。中国政府は中小企業の経営を改善する景気対策とともに、構造改革に寄与する大胆な市場開放を早期に決断すべきだ。」と述べている。
 
同じく2面に

「中国「二人っ子政策」息切れ 出生数、57年ぶり低水準 昨年、少子高齢化が加速 消費の足かせに 」と景気の足を引っ張る記事が。

本文では

「中国の少子高齢化が加速する。国家統計局の21日の発表で、2018年の出生数は17年比200万人減の1523万人だった。毛沢東氏による「大躍進政策」の失敗で多くの餓死者を出した1961年以来、57年ぶりの低水準。一方で高齢者は増え、65歳以上が人口に占める比率は18年末に11.9%と前年比0.5ポイント上昇した。社会保障の財政負担や個人消費の低迷につながりそうだ。」
とある。
 
一足先に少子高齢化の課題に直面する日本は、訪日外国旅行者の旅行者の消費増でひとまず息をつくが、マスが大きい中国は影響は急加速で待ったなしだ。

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そして、3面には1面の記事の補足説明として
「中国の債務問題 景気刺激策で拡大重ねる」が記載されている。
本文では
「中国の地方政府や企業が多額の債務を抱えている問題。中国政府は2008年のリーマン・ショック直後、4兆元(当時の為替レートで56兆円)にのぼる景気刺激策を実施した。地方政府や国有企業は道路や鉄道といったインフラを建設するために借金を膨らませ、過剰債務が積み上がった。国際決済銀行(BIS)によると13年末に約120兆元だった債務残高は18年6月末に約220兆元にまで膨らんだ。」(中略)
更に、「大きな企業債務を抱える一方で、金融不安の別の火種も現れている。近年、政府債務や家計債務も増加しているためだ。インフラ整備や、住宅市場の活性化を目的とした住宅ローンの拡大が背景にある。減税や金融緩和策で景気失速を防ぎたい中国政府だが、長期的な債務削減とのバランスで難しいかじ取りを迫られている。」とあった。

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まだまだ景気失速関連の記事は記載されていました。
 
5面には
「世界経済3.5%成長に減速 IMF、19年予測修正 」とあった。
 
本文では
「国際通貨基金(IMF)は21日に世界経済見通しを改定し、2019年の成長率予測を3.5%と1810月時点から0.2ポイント下方修正した。米国発の貿易戦争や中国経済の減速が世界的に波及し、欧州や産油国の成長率が下振れした。日本の景気予測には消費税増税をにらんだ需要喚起策が加味され、成長率を0.2ポイント上方修正した。」そして、
「日本の19年の成長率見通しは0.2ポイント上方修正されて1.1%となった。安倍政権が検討する需要喚起策で、消費税増税の影響を一時的に緩和できると見込んだ。20年も0.2ポイント上方修正したが、増税の影響は避けられず0.5%まで成長率は落ち込むとした。」
最後に
「中国景気の減速は資源安を引き起こし、産油国経済も下振れが避けられない。サウジアラビアの19年の成長率見通しは0.6ポイント下振れし、ナイジェリアやメキシコなども予測が下方修正された。
 18年の世界経済の成長率は3.7%だった。先行きは米中の貿易戦争が打開に向かえば、企業投資などの持ち直しにつながる。
 一方で英国がEUと折り合えず「合意なき離脱」に突き進めば、英国やユーロ圏などは大幅な景気減速に見舞われるリスクがある。各国の政策に景気が大きく左右される状況が続きそうだ。」と結んでいる。

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8面には
18年海外直接投資 世界全体で19%減 米国内へ資金回帰 」の記事があり
「国連貿易開発会議(UNCTAD)は21日、2018年の世界各国への海外直接投資が前年比19%減の推計1兆2000億ドル(約131兆円)だったと発表した。前年比減は3年連続。米企業の海外移転防止を目的としたトランプ米政権の減税策が影響し、欧州などから投資を引き揚げる動きが加速した。」(中略)
そして「UNCTADは19年の世界の海外直接投資について「若干持ち直すが基調は弱い」と予想した。米中の貿易戦争や3月末に予定される英国の欧州連合(EU)離脱などで世界経済の不透明感が強まっていると指摘した。」と結んでいる。
 
同じく8面には、紙面の半分も占める記事が・・・
「中国 地方の開発投資失速、隠れ借金摘発…寂れる街 「工事 全部止まった」 
と中国の地方のインフラ投資の現状を記述している。
「中国の2018年の実質成長率は前年比6.6%と28年ぶり低水準だった。地方政府のインフラ投資の伸びが失速したのが一つの原因だ。」
地方都市では工事が中途で中止され、放置されている工事が数多く見られ、立ち退きも一部分のみされて放置された計画も見受けられる。
これらは政府による景気刺激策の引き締めが響いたもので、地方政府などによる公共事業の抑制や、銀行を介さずに資金を融通する「影の銀行」の規制強化などの影響によるものだという。
 
更に、同じ面で
「「灰色のサイ 警戒を」 習氏、地方債務念頭か」
という記事があった。
 
「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は21日、地方や中央政府のトップを北京に集めて学習会を開き「我々は変化の激しい国際情勢や複雑で敏感な周辺環境に直面しており、高度な警戒を保たなければならない」と訴えた。中国経済の減速が鮮明になるなか、米国との貿易戦争を乗り切るために指導部の引き締めを狙ったとみられる。」そして、
「習氏は警戒すべきリスクとして「『ブラックスワン』だけでなく『灰色のサイ』も防がなければならない」と強調した。
 「ブラックスワン」はリーマン危機のようにめったに起こらないが、いったん発生すれば極めて大きな影響を及ぼす問題をさす。一方、「灰色のサイ」は起こる確率が高いものの、だれも何もできずに見ているしかないリスクを意味する。
中国ではしばしば、シャドーバンキング(影の銀行)や地方政府が抱える巨額の債務といった問題が「灰色のサイ」にたとえられてきた。習氏はそれにあえて言及することで、中国経済のアキレスけんである債務問題への危機感を高めるよう地方政府の指導者らに求めたとみられる。」
インフラ投資か債務削減か、難しい舵取りが迫られている。
 
 
まだまだ「世界経済失速」に関係する記事はあるようだが、文字数制限で終了するが、年明けての「新春特別セミナー 「2019年の世界経済の展望」」なるセミナーに参加して、講師や金融会社の説明で少しホッとしていたところ、日経新聞の世界経済へのネガティブな記事のオンパレードには冷水を掛けられた様に吃驚したが、内容的には今まで言われ、推測されてたことを整理されたということで、これからが為政者の腕の見せ所であろう。
 
同じ日の一面下に
「防衛省、レーダー「音」公開 韓国との協議「継続は困難」という記事があった。
日本側はどんな証拠を示しても、嘘と言い訳で事実を認めず、全く異なる主張を繰り返している韓国にほとほど愛想が尽き、疲れ切ってしまった防衛省が上述した世界経済情勢や安保状況を推測して大人の判断をしたのだと思う。
私個人はビザ発給停止や経済制裁などにも踏み込んでほしいところだが、泥沼状況になり収束不可能になってしまうのも困ることである。
本当に困った”お隣さん”だ。

注:経済セミナー関係の画像はセミナー主催会社資料を借用
  世界経済失速に関する記事、説明図は日経新聞22日付けから借用